« 最高権力者の世襲/花づな列島復興のためのメモ(52) | トップページ | 北朝鮮と民主党の「終わりの始まり」/花づな列島復興のためのメモ(53) »

2012年4月13日 (金)

拙速に過ぎる政府の大飯原発再稼働判断/原発事故の真相(26)

先ほど、TVの画面に、大飯原発の安全性を最終確認、というテロップが流れた。
ネットで検索してみると、以下の簡単な記事があった。

枝野幸男経済産業相は13日、原発の再稼働を検討する関係閣僚会合後の記者会見で、関西電力大飯原発3、4号機の安全性について「最終的に確認した」と述べた。(2012/04/13-19:54)
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2012041301042

「安全性を最終的に確認」とはいかなる意味か?
昨日は、拙速との批判を受けて「熟慮」すると言ったばかりである。

 野田佳彦首相と枝野幸男経済産業相ら関係3閣僚は12日、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働の「妥当性」について結論を持ち越した。再稼働を急ぎたい政府は最大の焦点である安全性について9日の前回会合で「(再稼働の)判断基準におおむね適合している」と発表。ところが、首相と3閣僚が決めた「判断基準」に批判が強まったことから「熟慮の判断」を訴えるため結論を13日以降に先送りしたとみられる。
 「大変重要なことでもあり、さらに議論する必要があるだろうということが本日の結論だ」。枝野氏は会合後の記者会見の冒頭、こう述べた。
 記者団が「安全性については前回『おおむね適合』ということだった。どの点について議論を続けるのか」とただしたが、枝野氏は「何らかの区切りなり、結論が出た段階で報告することだと思っている」とかわし、具体的な説明を避けた。

http://mainichi.jp/select/news/20120413k0000m010100000c.html

茶番である。
昨日から今日にかけて「熟慮」した結果、何をどう確認したのだろう。
こんなことを続けていれば、野田内閣の命運が尽きるのも時間の問題だろう。

国民の多数は現時点の再稼働に反対である。

関西電力の大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の再稼働について読者の意見を聞く投票を1週間行なったが、この問題に対する関心の高さに驚いた。
13日午後1時半現在で、投票数1万2000票を超えている。これまでJRTが行った投票で最もたくさんの方が参加してくださったのではないか。賛成は7%、反対92%である。寄せられたコメント400通以上は、ほとんどが反対意見であった。

http://jp.wsj.com/japanrealtime/blog/archives/10549/

もちろん、この種の調査は、国民のランダムサンプリングではないから、バイアスがかかっているだろう。
しかし、そのバイアスは、問題をより真剣に考える方向のものだろう。
つまり「心ある人たち」ということである。

そもそも、需要見通しについても説明は不十分である。
私も、昨年経験した計画停電を再び味わいたくはない。
しかし、需給の実態がどうなのか、本当に電気が足りないのは、どの時間帯にどの程度なのか。
供給に制限があるとすれば、何らかの形で需要を抑えるしかない。
病院などの必需的な需要を優先的に満たし、後は需要抑制的な料金体系とするのが最も合理的なように思える。

それにしても、足りない量については下記のように報道されている。

 関西電力の全原発停止が続いた場合、電力需要が昨夏並みだと、今夏に電力が足りなくなるのは計58時間で全体の2・8%となり、ほとんどの時間は電力不足を回避できる可能性があることが関電の公表データから11日、分かった。
 関電は供給力不足のため、大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働が欠かせないと強調している。今回は、供給力と昨夏実績の単純比較だが、需要が大きくなる時間帯の対策ができれば、再稼働を急がなくて済む可能性があり、短時間のピーク時対応が最重要課題と言えそうだ。

http://www.47news.jp/47topics/e/228012.php

関係閣僚会議でどのような議論が交わされたのか?
野田内閣はどうしても再稼働を明言したかったらしい。
しかし、何故だろう、というのが大方の疑問であろう。

田中秀征氏は次のように論じている。

 ただ、再稼働については、当然のことながら厳しい前提条件がある。
(1)まず、政府、国会、民間の事故調の最終報告を踏まえて、専門家による新しい安全基準を策定する。
(2)早急に原子力規制庁を発足させ、新しい安全基準を法制化する。
(3)並行して今回の原発事故に対する原子力ムラの各組織の責任と政治家、官僚、学者の責任を追及すること。原発事故が“人災”であるからには当然である。
 だが、現在の大飯原発の再稼働決定過程はこれらの手順が省略、あるいは先送りされて進んでいる。
・・・・・・
 実際、野田政権の再稼働への対応は、消費税増税に対する対応とそっくりで「野田流ありき政権」と言われても仕方がない。肝心なことが横に置かれて、カレーライスの福神漬けのようになっている。先送りされた課題が実現する保証は全くない。

http://diamond.jp/articles/-/17091

佐藤雄平福島県知事も、「東京電力福島第一原発事故の検証がまだ終わらないのに再稼働することは問題だ」と述べてえいる。
誰が考えても、政府の再稼働方針は疑問だろう。
原子力規制庁が発足すらしていないのである。
原発事故の当事者である枝野、細野両大臣は、再稼働の判断に関わるべきではない。

|

« 最高権力者の世襲/花づな列島復興のためのメモ(52) | トップページ | 北朝鮮と民主党の「終わりの始まり」/花づな列島復興のためのメモ(53) »

ニュース」カテゴリの記事

思考技術」カテゴリの記事

原発事故の真相」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 拙速に過ぎる政府の大飯原発再稼働判断/原発事故の真相(26):

« 最高権力者の世襲/花づな列島復興のためのメモ(52) | トップページ | 北朝鮮と民主党の「終わりの始まり」/花づな列島復興のためのメモ(53) »