最高権力者の世襲/花づな列島復興のためのメモ(52)
北朝鮮の金正恩氏が、朝鮮労働者党の第一書記に就任した。
北朝鮮の朝鮮労働党代表者会が11日、首都平壌で開かれ、昨年12月に急死した金正日氏を「永遠の総書記」とすることを決定、金正恩氏は新たに設けられた党第1書記に就任した。
党代表者会は党大会に代わると位置付けられている会議で、2010年9月に正恩氏が公式に登場、党中央軍事委員会副委員長に就任して後継者に確定した時にも開催された。
正日氏死去後の昨年12月30日、正日氏の「遺訓」に基づく措置として、党政治局が正恩氏を軍トップの朝鮮人民軍最高司令官に任命。権力継承がスタートした。
朝鮮中央通信によると、正恩氏の第1書記就任は「金正日総書記の遺訓を示した」とし、民族の「大慶事」と表現。正恩氏の指導により、北朝鮮が新たな時代を築くことを強調した。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120411/kor12041117430010-n1.htm
予定されていた権力承継がつつがなく進んでいるということであろうか。
⇒2010年9月29日 (水):北朝鮮の権力承継
昨年末に金正日氏が亡くなったが、金正日の遺訓という性格を持たせている。
やはり金正恩氏の実績だけでは不十分ということであろう。
⇒2011年12月20日 (火):金正日総書記の死と世襲の論理
私は、TVに北朝鮮の人々が“慶祝”している様子を見ていて、違和感を否定できない。
一方で、食べるものも食べられないような状態の人も多いという現実があるといわれている。
慶事に花を添えようという意図であろうか、ミサイルの発射も予告している。
ミサイルの飛行ルートに近い沖縄県や関係省庁は、何が起きるか分からない」と緊張せざるを得ない。
国際的な情勢や近隣諸国の迷惑を敢えて無視しているように見える。
唯我独善?
違和感の原因は、国の力の注ぎ方のバランスの問題である。
国富が一定だとして、それをどう配分するか?
北朝鮮の場合、その偏りが極端である。
大衆の生活よりも、軍事に。一般人よりも、金“王朝”を支える人たちに。
金“王朝”は、血族と労働党エリートとから成る。
イデオロギーと血統が混在した体制。
しかし、考えてみれば60数年前までのわが国も同じようなものではなかったか。
万世一系の天皇の治める万邦無比の国体。
極端な軍事偏重。
八紘一宇のスローガンの下に、アジア諸国を侵略。
欧米列強の植民地支配からの解放という側面もあったにしろ、わが国の意図としては、勢力下に治めることであったのは疑いない。
天皇制という体制は変質しつつも、現在も生きている。
天皇は、現憲法では、政治的権力とは切り離されている。
しかし、大日本帝国憲法では、最高の政治権力であった。
天皇の地位は、男系男子による世襲によることが法的に定まっている。
皇室典範の改正も課題とされているが、皇位継承については、当面触れないという。
北朝鮮における金体制の世襲と、天皇の地位の世襲とはどう違うのであろうか?
⇒2010年9月30日 (木):権力の世襲と権威の世襲/「同じ」と「違う」(15)
今日の日本経済新聞のコラム「春秋」は、竹山広さんの歌「体制といふ櫓にて微笑せる金正日がまた手をたたく」を引用して、次のように書く。
「正日」だけ「正恩」と変えてみればいい。いまもそのままである。その北朝鮮で、三本足の櫓に正恩氏がのっかる準備が着々進む。
三本足の体制とは、人民軍と一党独裁の朝鮮労働党、そして国家そのもの、としている。
それに、もう一つの櫓として、人工衛星と称するミサイルの発射台を挙げる。
そして、
その施設やらロケット、衛星やらを報道陣に公開したのは「平和利用」をアピールするためだろうが、日ごろことごとくベールに覆っておじぬ国だ。だしぬけにベールを脱いでも、素顔だと信じるお人よしはよもやいまいということになる。
その通りなのであるが、日経新聞は原発再稼働に賛成のようである。
フクシマの事故は、海洋汚染等により近隣諸国に影響を及ぼしている。
原発を再稼働させようとすることは、ミサイルの発射と五十歩百歩ではないのか。
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