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2012年4月

2012年4月30日 (月)

川平法の印象/闘病記・中間報告(47)

早いもので、霧島での生活も10日余が過ぎたことになる。
この間、自分なりに精一杯リハビリに取り組んできたつもりであるが、生来の不器用さもあってまだ目に見えた効果はない。
しかし、まったく動かなかった右手の中指に、かすかな蠢動の気配は感じる。
季節外れの啓蟄といったところか。
あと2週間続ければ、目に見えるレベルになるのではないか。

今日は振替休日ということで、リハは連休である。
あいにく朝から雨天であったが、昼には雨は上がったようである。
120430
朝方の病棟からの風景

GWは、あと5日(土)と6日(日)が連休となるので、今週はリハは4日になる。
個人的にはやっていただきたくてウズウズする気持ちではあるが、世の中は「風薫る」ころであり、療法士の方々にも家族がいらっしゃる。
わたし自身、若いころは、休みになると待ちかねたように、家族を連れ出して出かけていたのだから。
一般論でいえば、日本人のライフワークバランスは、まだまだワークに傾いているだろう。
むしろ、○連休などと言われている中で、最大2日の連休しかないのは立派である。

それにしても、看護師は大変である。
そういう仕事といってしまえばそれまでであるが、本当に頭の下がる思いである。
わがままをいう患者に辛抱強くつきあっている。
なるべく煩わせないでいたい。

昼食後病室で一休みしていると川平教授が部屋に現われて、今からトレーニングできるか、と言う。
どなたかに、川平法の実際を見させるのが目的らしいが、願ってもないチャンスなので、「もちろん、できます」と答えた。
約1時間半、私ともう1人の患者2人に対して、交代で施術をしていただいた。

まだ「川平法=促通反復療法」についてはぼんやりとしか理解できないが、今までに得た知識をまとめておこう。
まず、去年の9月4日のNHKスペシャル「脳がよみがえる~脳卒中・リハビリ革命~」をみた時のメモである。
筆記ができないので、詳細なメモは不可能である。
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279万人/脳卒中/リハビリ/6カ月過ぎると麻痺が直らないという常識/藤田太寅元NHK解説委員-4年前に脳卒中発症/2009年「戦うリハビリ」/4年間ではかばかしく改善しなかった/指で輪を作る/1分で可能にする/脳の再生力/脳卒中リハビリの最前線/脳卒中の死亡率は改善された/要介護の30%は脳卒中/回復曲線における6カ月の壁/乗り越えるリハビリ/鹿児島大学病院霧島リハビリテーションセンター/入院患者50人のほとんどが6カ月の壁を過ぎた人/鹿児島大学医学部川平和美教授/ある患者10点/手首を回す/脳の活動/全体から部分へ/脳から手足への神経連絡/理化学研究所脳科学総合研究センター脳信号処理研究チーム/ブレインマシンインタフェイス/脳波を取り出してその指示とおりにロボットのアームが動く/2009年9月20日の日曜日の新聞記事/慶應義塾大学病院/力を抜く/脳波→増幅→促通反復→回復/機能テスト/大阪森ノ宮病院/褒められること-教育/具体的にほめる/すかさずほめる
**********

脳卒中により脳のある部位の細胞が死ぬ。
その結果として、壊れた部位に対応した機能に障害が起こる。
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川平和美『片麻痺回復のための運動療法・第2版』医学書院(1005)

死んだ脳細胞は復活することはない。
障害が後遺症として残ることになる。

ところが、脳には可塑性があるらしい。
可塑性とは、物質などが、外部からの入力に対応して変形適応すること、である。
脳の可塑性とは、脳に新しい回路が形成されることである。
損傷した部位に替わって、新しく機能を再構成する能力があるということだ。

言いかえれば、頭の柔らかさということになろうか。
身体の機能回復のトレーニングは、実は頭の体操だったのである。

上掲書に、片麻痺回復のための4つの視点として、以下が挙げられている。
1)片麻痺の回復は、大脳皮質から脊髄前角細胞までの新たな神経回路の形成・強化である。
2)麻痺の回復促進は、促通手技や注意喚起によって、目標の神経路の選択的興奮を実現し効率よく強化するかに依存する。目標の運動と実際に生じた運動の誤差が確認できる状態で、その誤差の修正を繰り返す。
3)神経側芽やアンマスキングによるダイナミックな神経路の組み換えが行われている時期に、できるだけ多くの刺激と運動を反復する。
4)筋肥大による筋力増強を目的とした訓練と、損傷された神経路の再建と強化を目的にした運動パターン反復を区別する。最大の筋力を求める訓練は、強化したい神経路だけでなくほかの神経路の興奮を伴うため選択的な神経路の形成・強化には効果的ではない。

私にとって新鮮だった点を思いつくままに記すと以下のようなものである。
1)右肩が亜脱臼していること→力が入りにくい
2)驚くほどの反復を実行すること
3)極力不自然な力が入るのを避けること
4)上記の一環として、歩行時に健側に重心を置くよう留意すること
今までは、どうしても麻痺側をかばうので、麻痺側に重心を置くように注意されてきた
5)低周波の電流を流すことにより、筋収縮を促進すること
6)誤差の極小化はマネジメント手法と同一であること(Do→Check or See)

効果は時間を要するだろうが、死んだ細胞の齢を数えても始まらない。
なんとか新しい神経路を形成すべく努力するしかない。
それが、頭のヤワラカサの指標でもあるのだから。

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2012年4月29日 (日)

「女性宮家」に関する有識者ヒヤリング/やまとの謎(63)

23日に、「女性宮家」創設に関する第4回の有識者ヒアリングが開かれたという。
何が問題になっているのか?
そして、有識者とはどのような人か?
この問題については、1次的なメモを書いた。
⇒2012年3月 4日 (日):女性宮家創設問題とは何だろう/やまとの謎(57)

今回改めて、ヒヤリング項目について検索してみた。
皇室制度に関する有識者ヒアリングの実施について

ヒアリング事項について
1.象徴天皇制度と皇室の御活動の意義について
○現在の皇室の御活動をどのように受け止めているか。
○象徴天皇制度の下で,皇室の御活動の意義をどのように考えるか。
2.今後,皇室の御活動の維持が困難となることについて
○現在の皇室の構成に鑑みると,今後,皇室典範第12条の規定(皇族女子は,天皇及び
皇族以外の者と婚姻したときは,皇族の身分を離れる)などにより皇族数が減少し,現在
のような皇室の御活動の維持が困難になることについて,どのように考えるか。(皇室典
範改正の必要性・緊急性が高まっていると考えるが,このことについてどう思うか。)
3.皇室の御活動維持の方策について
○皇室の御活動維持のため,「女性皇族(内親王・女王)に婚姻後も皇族の身分を保持い
ただく」という方策について,どう考えるか。
○皇室の御活動維持のため,他に採りうる方策として,どのようなことが考えられるか。
また,そうした方策についてどのような見解を持っているか。
4.女性皇族に婚姻後も皇族の身分を保持いただくとする場合の制度のあり方について
○改正後の皇室の規模はどのくらいがふさわしいか。
○配偶者及び子の身分やその御活動についてどのようなあり方が望ましいのか。皇族とす
べきか否か。
5.皇室典範改正に関する議論の進め方について
○皇室典範について,今回,今後の皇室の御活動維持の観点に絞り緊急課題として議論す
ることについてどう考えるか。
6.その他
○女性皇族に婚姻後も皇族の身分を保持いただくとした場合,婚姻等が円滑になされるよ
う,どのような配慮が必要か。
○その他,留意すべきことは何か。
http://www.cas.go.jp/jp/houdou/pdf/120220koushitsu.pdf

また、ヒヤリングをされた有識者とは以下のような人たちである。
1回:今谷明・帝京大特任教授(日本中世史)
   田原総一朗・ジャーナリスト
2回:山内昌之・東大大学院教授(イスラム地域研究)
   大石真・京大大学院教授(憲法学)
3回:櫻井よしこ・ジャーナリスト
   百地章・日本大教授(憲法)
4回:笠原英彦・慶応大教授(日本政治史)
   市村真一・京都大名誉教授(経済学)

選定の基準は明らかにされていない。
というか、基準など設けられないだろう。

ちなみに、3回目までのヒヤリング結果の概要は以下のようであった。
Photo_2
産経新聞120411

第4回まで含め、女性宮家の創設に反対という意見は、第3回の櫻井よしこ氏と百地章氏だけであって、他は賛成である。
有識者ヒヤリングは今後も続けられるというが、結論は既に見えているといえよう。

象徴天皇制の下で、皇室活動を維持していくためには、女性宮家の創設が望ましい。そのために、皇室典範を改正し・・・・・・

大方そんなところに落ち着くだろう。
政府は、女性宮家創設の理由を、皇位継承制度とは切り離して論ずる、として上記のようなヒヤリング項目を設定したようだ。
しかし、女性宮家は皇位継承制度と切り離せるものかどうか自体が大きな論点でもある。

皇位継承制度あるいは天皇制のあり方を問題にしない限り、隔靴掻痒という感じは否めない。
しかし、民主党には、象徴天皇制ありきの発想しかないだろう。
⇒2011年11月28日 (月):天皇制と女性宮家問題/やまとの謎(50)
そして、女性宮家が女系天皇に繋がるという反対論を納得させ得るような議論にはならないだろう。

厄介なのは、天皇制の価値を重く見る人ほど、女性宮家創設に反対という傾向があることだろう。
私感では、下図のようである。
Ws000000
所詮論理的に結論が出るような問題ではない。 
いくら有識者ヒヤリングを重ねても、余り意味はないのではないか。

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2012年4月28日 (土)

活断層の上の原発/花づな列島復興のためのメモ(57)

福井県敦賀市の日本原子力発電敦賀発電所)の真下に、おびただしい活断層が存在する疑いが原子力安全・保安院の調査で浮上した。
活断層とは以下のようなものをいう。

活断層は〈最近の時代まで活動しており,将来も活動する可能性のある断層〉と定義される。ここでいう〈最近〉とは,厳密な規定はないが,現代の地質・地形学の分野では,一般に第四紀または第四紀の後期(およそ数十万年前以降)を指す。 1906年のサンフランシスコ地震のときに,以前から地質学的には知られていたサン・アンドレアス断層が再活動し,新たな変位を生じた。それまで断層とは,過去の地質時代に岩石がずれ動いたことを示す単なる痕跡と考えられていたのが,このとき,断層のなかには現在もまだ活動をやめていないもの,したがって将来にも活動するかもしれないものもある,という考え方が生まれた。・・・
http://kotobank.jp/word/%E6%B4%BB%E6%96%AD%E5%B1%A4

火山でいえば、活火山ということになろう。
要するに、過去の遺物とはいえないということだ。
敦賀原発の敷地の地質状況は以下のように報じられている。

PhotoPhoto_2

 日本原電によると、敦賀原発の敷地内には判明分だけで約160の断層(破砕帯)が見つかっている。この日は、保安院の意見聴取会のメンバーである産業技術総合研究所と京大、福井大の専門家4人が調査を実施。1、2号機と3、4号機の建設予定地、日本原子力研究開発機構の新型転換炉「ふげん」=廃炉作業中=付近の6地点の斜面などを調べた。
 その結果、2号機の原子炉の直下にほぼ南北に走る断層について「地震が起きた場合、ずれる可能性が否定できない」などの意見が相次いだ。敦賀原発の敷地内では活断層の「浦底断層」が確認されており、4人は、浦底断層が地震を引き起こした場合、原子炉直下の断層も同時に動く可能性が高いとの見方で一致した。保安院の小林勝・耐震安全審査室長は、過去に断層が動いた可能性を指摘し、「比較的新しい時代に浦底断層に引きずられたのではないか」と話した。

http://www.asahi.com/national/update/0424/OSK201204240118.html

この地層については再調査されるが地震国のわが国には、数多くの活断層が存在する。
下図は今までに公表されている活断層である。
Photo
http://www.jishin.go.jp/main/p_hyoka02_danso.htm

当然調査が進むにつれ、さらに活断層は増大していくであろう。
今回の調査結果を、原発再稼働に関連させるか否か?
私はもちろん少しでも危険性の高い原発は再稼働させるべきではない、と考える。
というよりも、本気で原発ゼロの社会を構築していくべきだろう。
エネルギーを無尽蔵に使う社会からの転換である。

メディアの論調も2極化しているようだ。
産経新聞は、敦賀原発と大飯原発は無関係であり、大飯原発の再稼働の阻害要件にはならないと主張する。

 結論が出るまで敦賀原発の運転は見込めない情勢だ。だが、同じ福井県内にある関西電力大飯原発3、4号機の再稼働問題に、この件を絡めてはならない。
 大飯原発再稼働の検討は、地元おおい町で26日に行われる国の説明会などを経て粛々と進められるべきである。いたずらに議論を拡散させ、再稼働への判断を遅滞させる愚は避けたい。
・・・・・・
 日本列島は、地震の活動期に入っており、東日本大震災をもたらした巨大地震の影響で、さらに続発しやすくなっている。電力各社には地震への原発の防備を一段と強化してもらいたい。
 同時に電力不足という、もう一つの危機の接近も国民が失念してはならない重大な案件である。基幹電力である原子力発電の長期停止は、日本社会を、根底からの崩壊に導く可能性をはらんでいる。大飯原発はその危機回避の分岐点だ。適切な判断に基づく再稼働の意味は極めて大きい。

http://sankei.jp.msn.com/smp/politics/news/120426/plc12042604000003-s.htm

政府・民主党の路線も似たようなものと言えよう。
これに対し、朝日新聞は、敦賀原発に限らず、調査を拡充すべしという意見だ。

 忘れてならないのは、この問題は敦賀原発だけに限った話ではないということである。
 国内で原発立地が大きく進んだ1970~80年代に比べて、最近は活断層をめぐる新しい知識が蓄積してきた。
・・・・・・
 東海、東南海、南海地震などのプレート境界型地震とは違って、活断層による地震は、発生周期を読みとるのは難しい。しかも日本列島のあちこちに走っているので「いつ」「どこ」で起こるかがわからない。
 今こそ、科学者の3・11後の新しい目でもう一度、全国の原発周辺の断層を調べ、活断層の影響や揺れがどうなるかを見直すべきだ。

http://www.asahi.com/paper/editorial20120426.html#Edit1

東京新聞は、詳細な調査が済むまでは、大飯原発を含めどの原発も再稼働すべきではない、としている。

 敦賀原発の直下を含む敷地内には、破砕帯と呼ばれる古くてもろい断層が、少なくとも約百六十本走っているのが知られていた。さらに、敷地内には活断層の「浦底断層」が通っている。浦底断層が起こす地震に、破砕帯が連動する恐れがあることは、以前から知られていた。しかし、原電は設計上の考慮に入れていない。
 ところが東日本大震災が、風向きを変えつつある。動かないはずの断層が動いたからだ。
・・・・・・
 地中深くに何があるかは、まだよく分かっていない。二〇〇七年の新潟県中越沖地震を起こした海底断層が柏崎刈羽原発の直下まで延びていることも、その余震を分析してみて初めて分かった。津波、電源だけでなく、巨大地震の揺れへの配慮が必要なのは、中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)だけではない。
 保安院から指摘を受けた四原発のうち、泊1、2号機と敦賀2号機が安全評価(ストレステスト)を保安院に提出し、再稼働を求めている。だが敦賀の結果を見れば、活断層の詳細な実地調査と連動の影響評価がすむまでは、泊や敦賀、渦中の大飯原発などに限らず、どの原発も再稼働を許すべきではない。全原発で詳細に調査し直して、結果を公表すべきである。
 連動を考慮に入れれば、敦賀原発は活断層の真上にあるといえるだろう。ルール上、1、2号機ともに廃炉は免れない。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012042602000117.html

「3・11」を体験したわれわれは、原発に対して、というよりも未知なる地球の営みに対してもっと謙虚になるべきではなかろうか?

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2012年4月27日 (金)

歴史上の「天皇陵問題」/やまとの謎(62)

宮内庁の羽毛田信吾長官は、天皇、皇后両陛下の「ご喪儀」について、26日、火葬の方向で検討していくと発表した。

 大正以降の天皇、皇后(皇太后)の陵は、東京都八王子市の武蔵陵墓地に造られたが、宮内庁によると、地形や広さの問題から徐々に用地確保が難しくなる見込み。羽毛田長官によると、両陛下はご喪儀について度々「極力、国民生活への影響を少ないものにすることが望ましい」と簡素化を希望し、「火葬が一般化しており、陵の規模や形式も弾力的に検討できる」との考えも示しているという。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120426-00000049-mai-soci

これは現代の天皇陵問題であるが、日本史の重要テーマに、「天皇陵問題」というものがあると井沢元彦氏は言う。
『日本史の授業2天皇論』PHP研究所(1202)によれば、以下のような問題である。

「天皇陵問題」というのは、古代から平安の前期ぐらいまでの間の天皇が葬られている古墳が、どの天皇のものかわからなく、宮内庁が「これが○○天皇の御陵である」と言っているものが、明らかに違うという問題なのです。
p77

矢澤高太郎『天皇陵の謎』文春新書(1110)の三浦佑之氏の書評(読売新聞111205)に、「研究が深まれば深まるほどわからないことがふえる」という言葉があった。
わが意を得た思いである。
このブログを書き始めて2年目の日に、「知れば知るほど、知らないことが増える」というパラドックスのような現象」について書いたことがある。
未知を意識するのは既知と未知の境界線であるが、それが既知が増加するに従い長くなることで説明できる、とした。
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2008年8月 8日 (金):2年目を迎えて

学習理論の見地からは、正しいのかどうか分からないが、実感的にはこんな感じだと思う。
上記の書評で、三浦氏は、天皇陵について、「今までのように、宮内庁が発掘はもちろん天皇陵への立ち入りさえ認めようとしない状態が続くかぎり、被葬者は揺れ続け混迷は深まる。」と書いている。
考古学の知見は増えても、肝心の天皇陵はアンタッチャブルである。

「文藝春秋」3月号に、夢枕獏氏と矢澤光太郎氏の、『天皇陵に秘められた古代史の謎』という対談が載っている。
古代の天皇陵として名前が冠されているもののうち、真に天皇陵と言えるのは、用明、推古、舒明、天智、天武、持統だけである、という。
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牽牛子塚古墳などは、斉明天皇陵の可能性がきわめて高い、といわれているにもかかわらず、宮内庁は比定の見直しをすることを頑なに拒んでいる。
⇒2010年9月10日 (金):牽牛子塚古墳は、斉明陵か?
⇒2010年12月10日 (金):大田皇女の墓?/やまとの謎(14)

宮内庁の天皇陵治定は、1881(明治14)年が最後である。
このとき、天武・持統天皇陵が見瀬丸山古墳から野口王墓古墳に、文武天皇陵が野口王墓古墳から栗原塚穴古墳に変わった。
卑弥呼の墓ではないかといわれる箸墓古墳も、7代孝霊天皇の皇女・ヤマトトヒモモソヒメの墓に治定されていて、発掘調査ができない。

宮内庁の言い分は、「陵墓の成案と尊厳を守るため」である。
しかし、エジプト、中国等の王墓の発掘に日本人学者が携わってもいっこうに問題にならないあるいは問題にしない。
このような唯我独尊的思考が、先の戦争(大東亜and/or太平洋戦争)の悲惨な帰結を招いたとも言えるだろう。
そして、その戦争に対して、天皇はまったく責任はないと言えるのだろうか?

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2012年4月26日 (木)

小沢裁判の影響/花づな列島復興のためのメモ(56)

政治資金の収支報告書に虚偽記載をしたとして強制起訴された民主党の小沢元代表に、東京地方裁判所が無罪を言い渡した。

小沢一郎民主党元代表は初公判から一貫して、起訴議決を出した検察審査会ではなく、捜査を担った検察への批判を繰り広げた。「検察VS小沢氏」の構図となった法廷。裁判所は審理の末、今回の起訴議決に基づく強制起訴を「適法で有効」とし、強制起訴の効力に関して初めてとなる司法判断を提示。一方で、捜査を「謀略」と指弾した小沢氏側に軍配を上げて無罪とし、検察当局には衝撃が広がった。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120426-00000582-san-soci

この裁判は、きわめて不可解なものだった。
検察庁が強制捜査の末、起訴を見送り、これに対して検察審査会が起訴相当の議決を出し、もう一度検察庁が起訴を前提とした捜査を行って起訴に至らなかったものである。
それに対し検察審査会はもう一度起訴相当の議決を出して、強制起訴となったものである。

検察審査会への告発者は匿名のままである。
このような手順で起訴できるとすれば、誰かを陥れることも容易である。
まさに『真昼の暗黒』である。

経緯からしても多くの疑問があり、無罪は当然の結果と言えよう。
検察審査会の存在意義さえ問われかねない。
⇒2012年2月18日 (土):小沢裁判に対する疑問

消費税増税に前のめりしてしまった野田政権は、原発再稼働で大きなミスをしてしまったように見える。
⇒2012年4月25日 (水):大飯原発の再稼働を急ぐ政府を打倒しよう/花づな列島復興のためのメモ(55)

現在の民主党の混迷は、マニフェストを放棄し、あるいはマニフェストの失敗を真摯に総括せず、衆院での多数ということだけで理の通らないことを、強引に推し進めようというところにある。
さらに言えば、マニフェストを隠れ蓑にして、路線確立のための努力をサボってきたことにある。
⇒2011年1月 5日 (水):綱領なき民主党の菅VS小沢の不毛な争い

しかも、小沢氏が起訴されたことをもって、現民主党執行部は、小沢氏の党員資格停止という処分をしたのである。
本来は、裁判のおかしさを糾弾すべき時に、政権交代の功労者を葬ろうとしたのである。
念のため言っておくが、私は小沢シンパではない。
日本の政治の改革を願って政権交代に一票を投じたものであるが、その願いが裏切られたことは既に明白である。

小沢氏に対する無罪判決によって、俗物的な政治家たちが舞台から去っていくことを期待する。
⇒2012年2月22日 (水):小沢強制起訴裁判で墓穴を掘るのは誰か?

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2012年4月25日 (水)

大飯原発の再稼働を急ぐ政府を打倒しよう/花づな列島復興のためのメモ(55)

大阪市の橋下徹市長と大阪府の松井一郎知事が、24日、大飯原発の再稼働に関する8提案を受け入れるよう藤村修官房長官に申し入れた。
しかし、藤村官房長官は、再稼働に向けた政府の手続きを見直す考えのないことを強調した。

 藤村氏と橋下氏らは約25分間会談した。政府側から斎藤勁官房副長官が同席した。
 橋下氏は会談で大飯原発の再稼働について「政治家が安全宣言をしたのは絶対におかしい。国民は納得していない。(原発)事故が起きていない平時の再稼働手続きを、事故後もそのまま進めるのはおかしい」と政権の対応を批判した。
 藤村氏は「(8提案は)将来的には考えるべきことだ」としながらも「(大飯原発では)手続きを進めている」と述べ、再稼働の手続きは見直さない考えを示したという。
 橋下氏は会談後、記者団に「安全かどうか、科学者のチェックもないまま政権が安全宣言したのは国家運営の危機だ」と批判した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120424-00000040-mai-pol

8提案の内容の是非はともかく、藤村氏が、「将来的には考えるべきことだ」というのは、どういう意味だろう?
原発の安全基準、再稼働の要件は、まさに「今」問わなくて、いつ問えばいいというのだ。
8提案とは以下のようなものである。

◇原発の安全性に関する提案◇
・独立性の高い規制庁の設置
・安全基準を作り直す
・新安全基準に基づく完全なストレステストの実施
・重大な原発事故に対応できる防災計画と危機管理体制の構築
・原発から100キロ程度の都道府県と協定を締結できる仕組みの構築
・使用済み核燃料の最終処理体制の確立
・電力需給の徹底的な検証と結果開示
・損害賠償など原発事故によるリスクに対応できる仕組みの構築

同上

私は、福島第一原発事故の当事者でもある枝野氏や細野氏などは、そもそも再稼働の是非の判断に加わるべきではない、と考える。
適格性に疑問符を付けざるを得ない人たちが、密室で決めたことにどんな正当性があるというのだろう。
⇒2012年4月 4日 (水):「大飯原発再稼働」の政治判断?/原発事故の真相(24)
⇒2012年4月 6日 (金):大飯原発再稼働というリトマス試験紙/花づな列島復興のためのメモ(48)
⇒2012年4月10日 (火):暴走が止まらない民主党政権/花づな列島復興のためのメモ(50)
⇒2012年4月11日 (水):大飯原発に対する大阪維新と政府の対比/花づな列島復興のためのメモ(51)
⇒2012年4月13日 (金):拙速に過ぎる政府の大飯原発再稼働判断/原発事故の真相(26)
⇒2012年4月14日 (土):北朝鮮と民主党の「終わりの始まり」/花づな列島復興のためのメモ(53)
⇒2012年4月15日 (日):理解と同意/「同じ」と「違う」(46)
⇒2012年4月17日 (火):壊れてしまった民主党/花づな列島復興のためのメモ(54)
⇒2012年4月23日 (月):なぜ急ぐ、大飯原発再稼働/原発事故の真相(27)

田中秀征氏も次のように批判している。
全面的に賛成である。

 そもそも、法的根拠がなく“政治判断”で決めた安全基準で再稼働を決めることは許されることではない。しかも原発事故に一義的責任がある安全・保安院や電力会社の提案でまとめた安全基準では、ほとんどの人が納得しないだろう。いくら電力不足を叫んでも、相当の節電努力を覚悟している消費者を動かすことは難しい。
 大飯原発を再稼働させても、それが原発事故につながる可能性はほとんどないかもしれない。
 問題は、事故後1年しか経たないうちに、原発の安全性に対する安易な対応をするなら、今後のモラルハザードは際限なく進むということだ。喉元過ぎれば熱さ忘れる。5年後、10年後には、いつかどこかで事故を再発させることにもなりかねない。最初の対応が方向を決めるのである。
 枝野経産相は、再稼働容認の決断が事故につながれば、自分や政治の責任であることを強調している。しかし、ことは政治家の辞職などで済む話ではないのだ。
 原発事故対応や規制庁発足、あるいは再稼働問題が遅れてきたのは、首相や民主党政権が消費税増税という次元の違う課題に夢中になってきたからである。
 これでは大事故から何も学ばなかったことにもなりかねない。

http://diamond.jp/articles/print/17091

私は枝野氏の、大飯原発に対する責任論を聞いた時、心底この人はダメだと思った。
福島の事故の総括も済んでいないのに、何を言っているのだろう。
枝野氏が辞職して、取り返しのつくような話ではないことは小学生でも理解できるだろう。
国民は政府打倒に立ち上がるべき時ではないか。

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2012年4月24日 (火)

救急車か!タクシーか!/闘病記・中間報告(46)

今日は週に一度の教授回診日だ。
病室で待機していると、まだ時間があるからとOTのJさんに促され、リハ室で自主トレ。
時間が迫ってくると看護師に、「そろそろ部屋へ」といわれ病室に戻る。
なるべく時間を有効にという配慮に感謝。

1300より、『脳卒中の再発予防』のテーマで、学習会。
一番関心のあるテーマなので参加。

たまたま新聞の広告で、発売中の「週刊新潮」120426号に、『有名人が語る「脳卒中」 前兆と初期症状の研究』という記事が載っていることを知った。
気になるので、先日妻に買ってきてもらっておいた。
リハセンターの近くにコンビニがあるが、独りの外出は禁じられている。

最初に、『「喋れない」「力が入らない」-大山のぶ代、山川静夫を襲った脳梗塞』という記事がある。

 脳卒中は日本人の死因では第3位で、患者数は年々増加傾向にある。この〝国民病〟ともいえる脳卒中とは、どんな病気なのか。
「脳卒中とは、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの総称です」
 と言うのは、日本脳卒中協会専務理事で中山クリニック(大阪市)院長の中山博文氏である。
「脳の中の血管が詰まるのが脳梗塞。脳の中の細い動脈が破裂するのは脳出血。動脈の瘤が破れるのが、くも膜下出血です。これらに共通しているのは、突然、起こることで、脳の循環障で害がもたらされ、麻痺などの症状が生じるのです」

ここまでは、大体周知されていることだろう。
私も、中間報告で書いたことがある。
⇒2010年3月 6日 (土):闘病記・中間報告

『「脳卒中」もし自覚症状を感じたら救急車か!タクシーか!』という記事がある。
私の体験では、予知することは極めて難しい。
⇒2010年3月22日 (月):闘病記・中間報告(2)予知の可能性

上記にもあるように、「突然、起こる」ことが特徴である。
恥ずかしながら、私は発症した段階であってさえも、自分が脳卒中に罹ったことを自覚できなかった。
⇒2010年4月11日 (日):闘病記・中間報告(3)初期微動を捉えられるか

仮に自覚できたらどうするか?
専門家の間には、「タイム・イズ・ブレイン=時は脳なり」という言葉があるそうだ。
一刻も早い処置が有効であることは強調し過ぎることはない。
「週刊新潮」の記事では、「タクシーか救急車か」の両説が併記されていて、「タクシーにすべきか、救急車にすべきか……。生死をかけた選択なだけに、ハムレットのように悩みは深まるが、……」と歯切れが悪い。

肝腎の結論ナシでは、謎解きのない推理小説のようなものだ。
栗本慎一郎さんは、「救急車はNO]と言うが、私は「救急車にすべし」派である。
⇒2010年4月18日 (日):闘病記・中間報告(4)初動対応と救急車の是非

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2012年4月23日 (月)

なぜ急ぐ、大飯原発再稼働/原発事故の真相(27)

今日が実質的な初日かも知れない。
朝から夕方までハードな1日だった。
朝一のリハ体操の途中からPTが始まり、自主トレの途中一休みしていると、OTの自主トレに誘われた。
午後は、OTとSTがあり、肩のレントゲン撮影後病室にいたら、川平先生が来られて「少し見てみましょう」ということになった。
今日から研修に来た大阪の病院と戸塚の病院のOT、PTの実習を含め、先生から直接指導していただく幸運に恵まれた。
5週間の入院だけでは限界はあるだろうが、自主トレの方法論も学んで帰りたいと思う。

野田政権および民主党は、何で大飯原発再稼働を急ごうとするのか?
この問題の「影の司令塔」といわれるのは仙谷政調会長代行らしい。
仙谷氏といえば、菅内閣の官房長官として、尖閣問題で不可解な動きをした実績がある。
⇒2011年9月28日 (水):尖閣諸島中国漁船衝突事件の真相は?

当然のことながら、民主党内部にも「影の司令塔」に違和感がある人たちはいるようだ。

 「仙谷さんはどんな資格で閣僚会合に出席しているんだ。おかしい!」
 山田正彦元農林水産相が仙谷氏にこう迫ると仙谷氏は「前原誠司政調会長と話した上で行ってるんだ」と言い返し、険悪な雰囲気が漂った。
 会議では「政府はなぜそんなに再稼働を急ぐのか」などの批判も続出。仙谷氏は「再稼働というのは行政執行の問題だ」と説明したが、再稼働反対派が納得することはなかった。
 山田氏が言う閣僚会合とは、大飯原発再稼働の「容認」を決めた野田佳彦首相、藤村修官房長官、枝野幸男経産相、細野豪志原発事故担当相、斎藤勁官房副長官による関係閣僚会合を指す。4月3日から始まった会合はこれまで6回開かれ、議論を主導したのは、ほかならぬ仙谷氏だった。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120418-00000093-san-pol

仙谷氏の考えが分からない。
福島原発事故の全体像も不明だし、今後の対策も十分にできているとはいえない。
仙谷氏は東大全共闘の活動家だったといわれる。
全共闘運動の悪しき側面を体現しているのではないか?

20 政府は22日、東京電力福島第1原発事故で福島県内に放出された放射性物質を巡り、20年後までの年間空間線量率の予測図を発表した。昨年11月の航空機モニタリング結果を基に▽12年3月末▽1年後▽2年後▽5年後▽10年後▽20年後−−の6枚を公表。平野達男復興相は「理論値に基づいた予測図であり、除染の要素は加味していない」と説明した。
 政府が長期にわたる将来予測図を示したのは初めて。各自治体が住民の帰還計画などを作る際の判断材料にしてもらうため、第1原発から北西方向に延びる高汚染地帯を中心に作成した。それによると、原発が立地する大熊町と双葉町の境界付近では20年後でも居住が原則制限される帰還困難区域(年間被ばく線量50ミリシーベルト超)が、両町に加えて浪江町、葛尾村では居住制限区域(同50ミリシーベルト以下20ミリシーベルト超)が残る。
 予測図は福島市内でこの日開かれた原発周辺の8町村長との意見交換会で示した。帰還困難区域は賠償が長期にわたるため、細野豪志原発事故担当相は「しっかり検討する地域だと認識している」と述べた。
http://mainichi.jp/select/news/20120423k0000m010076000c.html

Photo_2http://sankei.jp.msn.com/smp/affairs/news/120423/dst12042300460001-s.htm

もちろん、福島の事故は特別の条件下で起こったことではあるだろう。
しかし、その事故の経緯は未だ十分に明らかになっているとはいえない。
政府事故調(東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会)の最終報告さえ出ていないのだ。

しかも、福島原発事故を受けて、国は事故時に避難などの措置をとる範囲を、原発30キロ圏に指定する方針であるのにかかわらず、住民全員の避難手段と避難先確保のめどがついた地域は、現時点では1つもできていないという。

渋滞対策など課題が山積し、実現性を疑問視する自治体も目立つ。国は原発の再稼働を急ぐが、人口密度の高い日本では、前提となる十分な防災対策が困難な現実が浮き彫りになった。
・・・・・・
 更に、入院患者や介護が必要な高齢者の避難対策は事実上手つかずの状態だ。西端の一部が玄海原発の30キロ圏にかかっている福岡県のみが「入院患者は県内の災害拠点病院に受け入れ可能」と回答したが、移送手段は決まっていない。他の県からは「病床の空いている病院を探すのは難しい」(長崎県)、「県境を越えた対応が必要だが、自治体同士の調整には限界がある」(島根県)などの声が上がっている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120423-00000015-mai-soci

災害には階級性があるという。
すなわち、弱者にしわ寄せされるということだ。
われわれが政権交代で願ったのは、弱者にも気を配る政治の実現ではなかったのか。

仙谷氏は、いま原発の再稼働をしなければ、日本は集団自殺をするようなもの、と言った。
⇒2012年4月17日 (火):壊れてしまった民主党/花づな列島復興のためのメモ(54)
私たちは、ヒロシマ、ナガサキ、第五福竜丸のみならず、福島第一原発の事故を体験してしまった。
原発の安全性について、「大丈夫」と言い切れる根拠も基準も示されていない。
いま急いで大飯原発を再稼働させることは、集団自殺というよりもむしろ大量他殺と言った方が妥当ではないだろうか。

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2012年4月22日 (日)

霧島高原「まほろばの里」/闘病記・中間報告(45)

日曜日はリハはお休みなので、さっそく外出訓練に出た。
妻は明朝帰るので、ランチでも一緒に、というわけである。
近くに「まほろばの里」というレジャー施設があると聞き、行ってみることにした。

朝方は、あいにく昨夜の激しい雨の名残りがあって、名の通り霧が深く視界が悪い。
それでも、許可を得ていた10時頃にはほとんど止んでいたので、予定通りバスに乗って出かけた。
リハセンターのある丸尾から10分ほど下ったところにある。
Photo

人工芝スキー場、陶芸体験教室、焼肉BBQなどがある典型的な高原リゾートであるが、信州や伊豆に馴染んだ人間には魅力に乏しいと見た。
霧島高原 まほろばの里

「まほろば」というのは、素晴らしい場所」「住みやすい場所」という意味の古語である。
ヤマトタケルの歌はよく知られている。

やまとは国のまほろばたたなづく青垣山ごもれるやまとしうるわし

ヤマトタケルは終焉の地となる能褒野(能煩野:のぼの)に着く。そして,ここで力尽きた。
その知らせは宮にいる妃たちにも届いた。そして,能褒野に陵を造った。みなが嘆き悲しんでいると陵から一羽の白鳥が空へ舞い上がり,大和の方へ飛んでいった。
http://www.asukanet.gr.jp/tobira/yamatotakeru/yamatotakeru.htm

やはり『古事記』に縁がある。
霧島高原の「まほろばの里」も晴れていれば印象が違ったかも知れない。
ただ、園内の天降川焼という登り窯が、1年に3回という火入れの時に遭遇したのはラッキーだった。
Photo_2
昔よりは短時間で焼き上げられるように効率の改善が図られているようであるが、何日間かは緊張の時であろう。
供えられているお神酒が焼酎であるのは、さすが鹿児島である。

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2012年4月21日 (土)

快適な入院生活/闘病記・中間報告(44)

入院して3日目であるが、快適に過ごせそうな予感がする。
来る前はいろいろ不安もあったが、前回の入院の時とは自分自身の状態が違う。
まったく未知の事態に遭遇していた前回とは異なり、基本的には様子が分かっている。ただ、新しい場所ということと、効果の程度が分からないということだ。

それに、前回はインターネット環境がなかった。
もちろん、施設にはあったし、作業療法の一環としてパソコンは用意されていた、
しかし、患者用の利用はスタンドアロンに限定されていた。

この2年数か月の間のICTの進歩もすごいと思う。
ケータイは、スマートフォンが主流になった。
私の同世代はITリテラシーが概して低いこともあって、まだガラケーが圧倒的であるが、年若い知人はほとんどがスマートフォンを利用している。

パソコンも変わった。
タブレットをパソコンに分類するかどうかは分からないが、軽量化、高機能化して、廉価になっている。
通信機能も充実した。

私も小型パソコンを持参してきた。
WiFiとWiMAX機能を備えている。
WiFiは職員は利用しているようだが、患者にパスワードが開放されているのかどうか分からない。
しかし、WiMAXで十分である。

一方で、パソコンが安くなった分、通信コストが高くなったという問題がある。
通信関係の契約を整理して、より合理的な契約体系を考えたいと思うが、契約が複雑でやる気を失う。

まあ、外部との連絡も維持できているので、まったく遠隔地に来ている感じはしない。
入浴についても、初日に「自立」の判定をもらったので、豊富な温泉に毎日入れる。
温泉効果だけでも、麻痺に対する効能がかなりあるのではないか。
もっとも、脳卒中患者には長湯は禁物であるが。

リハビリ施設は、もともと湯治場としても有名な場所だったところが多いようだ。
伊豆にしろ霧島にしろ、昔から湯治で有名である。
霧島に来ることができたということは、休養しろということかも知れない。

食事も、1600kcalに制限され、塩分も6gで薄味なので、それなりであるが、もともと美食家ではないないのでまったく不満はない。
部屋も4人部屋であるが、お互い病人同士なので気になることもない。
個室に入ったら、かえって孤独感で不安になるのではないかと思う。
まあ、病室の相方が重篤患者だと様子は変わってくるだろうが。

というわけで、とりあえず快適に過ごさせて頂いています。

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2012年4月20日 (金)

リハビリ訓練の始まり/闘病記・中間報告(43)

霧島リハセンターでの訓練が始まった。
昨日の検査と問診で当面の方針は決まったらしい。
自分としては、言語聴覚の訓練も希望していたが、今回はナシということらしい。
ST(言語聴覚士)が不足しているという事情もあるだろうし、限られた予算の中で、効果最大化を狙わなければならないという事情もあるだろう。

PTについては、杖・装具の使用が1つのテーマになる。
私は、杖を使うことにより空いているのが麻痺側の手だけになり実質両手が使えないことのデメリットが大きいと考える。
それが実生活を過ごした上での結論だ。

しかし、PT(理学療法士)の立場からすると、歩行の安全性、効率性、歩容の点で、杖を使用した方がいい、ということになる。
もちろん、それは理解できる。
私も、右手さえもう少し可動性が向上すれば、たとえばつり革に掴まれるようになれば、杖を使用したくなるかも知れない。
もっとも、そういう状態になればそもそも杖を必要としないだろうなぁ。

装具の使用もいろいろ難しい問題がある。
先ず第一に、装着時の違和感である。
装具の機能は、姿勢の安定性の向上であろう。
安定性が向上するというこは、自由度が減少することを意味する。
どちらを優先するか・
最終的には、ライフスタイル等によるのではないだろか。

手の訓練は今回の入院でもっとも期待が大きいものだ。
全廃状態から少しつ改善されてきてはいるが、基本的には廃用手のままである。
可能なのは、ごく軽い補助動作(ベルトを押さえる等)だけである。

今日、STEFという簡易機能検査を行った。
昨年の10月に実施したことのあるテストだ。
⇒2011年10月25日 (火):簡易上肢機能検査/闘病記・中間報告(35)
このときは13点だったが、今日は25点だった。
もちろん、まだまだの点数ではあるが、一応かなりの改善がみられるといってもいいだろう。
担当して下さるOT(作業療法士)は、50点くらいを目指したいと言ってくれた。
是非そうなりたいと思う。

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2012年4月19日 (木)

入院しました/闘病記・中間報告(42)

いよいよ、霧島リハセンターに入院した。
午前中に受付を済ませ、すぐに諸種の機能検査に移る。

手際の良さはさすがである。

主治医、担当療法士、ナース、薬剤師などが決まっていて、これから予定では5週間、これらの人々のお世話になる。
具体的なリハビリメニューは明日からであるが、気合いを入れ直して、やる気が湧いてくる。

昨日は、少し早めに霧島に入り、霧島神宮にお参りして回復を祈願した。
都合のいい時だけの信仰心である。

霧島神宮は、天孫降臨ゆかりの神社である。
日本神話のハイライト、ニニギノミコトが天上より降臨したのが高千穂峰であるとされる。
『古事記』1300年の年に霧島に来ることになったのも何かの縁か?
もっとも霧島が唯一の候補地というわけではないし、天孫降臨自体がお話(フィクション)に過ぎないわけであるが。

アマテラスからニニギ、神武(イワレヒコ)を経て今上天皇に至る系譜は以下のように示される。
Photo_2
霧島神宮のサイト

神武のY染色体という人たちは、神武以前の遺伝子についてどう説明するのか?
しかし、霧島神宮自体は、山中の静謐な神社であった。
Photo_3

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2012年4月18日 (水)

川平法に期待して再入院/闘病記・中間報告(41)

去年の9月,、NHKスペシャルで大きな反響を呼んだ番組が放映された。
脳がよみがえる~脳卒中・リハビリ革命~」である。

私も含め、脳卒中罹患者のほとんどが後遺症に苦しんでいる。
脳科学の急速な発達により、傷ついた脳が再生するしくみ、いわゆる脳の可塑性のメカニズム、が次第に明らかになりつつある。
鹿児島大学の川平教授が開発した「促通反復療法」によって、時間を経過した患者でも、マヒが改善することが確認されている様子が映像化されていた。
⇒2011年10月 5日 (水):後遺症を克服する意志の力/闘病記・中間報告(32)
⇒2011年10月25日 (火):簡易上肢機能検査/闘病記・中間報告(35)
⇒2011年11月10日 (木):アシモの動きをリハビリに応用できないか?/闘病記・中間報告(36)

私がその番組を見ていたのは、偶然だったかも知れない。
前後のいきさつは忘れてしまったが、インパクトは大きかった。
私でも回復するかも知れない!

ほとんどの医者が、「元通りにはなりませんが、リハビリに励んでください」と、モチベーションの上がり難いような言い方で“励まして”くれる。
もちろん、「元通り」とは行かないだろうと思う。
番組に登場していた人も、効果の大きかった人であるだろう。
しかし、一般に「維持期」といわれる段階でも、効果があることが示されていたのだ。
多くのリハビリ患者が光明を見た思いがしたのではなかろうか。

NHKでは、その後「あさイチ」でも放映した。
多くの人が、「川平法=促通反復療法」の存在を知ることとなった。
私も、すぐに、同療法を実施している鹿児島大学病院付属霧島リハビリテーション・センターへ、主治医の診断書やMRI像などと共に、申し込みをした。
しかし、申し込みが殺到しており、入院可能なのは3月以降になるという返事だった。

そこで気長に待つことにして、川平教授のDVD付きの書籍を購入し、真似てみた。
Photo
片麻痺回復のための運動療法―促通反復療法「川平法」の理論と実際

しかし、実際に素人が真似しても、ほとんど分からない、ということが分かった。
何とか、霧島で受術できないものか。
気長に待つ、といっても、やっぱり早い方がより回復するだろうな。

そうこうするうちに、先日、「19日から入院可」という連絡が届いた。
しかし、いざとなると、余りに遠隔の地であることを実感する。
そして、再入院というのも、一面気が重いものだ。病院のあの雰囲気が好き、という人は少ないだろう。
しかし、せっかく得られたチャンスであるから、精一杯頑張ってみよう。
ということで霧島にやってきた。

しばらく入院生活を送ることになります。
前回は、救急車で搬送され、即入院だったので、本当に突然消息不明になり、ご心配をいただいたりもしたが、今回は前向き・計画的なものなので、ご安心ください。
病棟でアクセスできれば更新もするつもりですが、入院してからの話になります。

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2012年4月17日 (火)

壊れてしまった民主党/花づな列島復興のためのメモ(54)

今に始まったことではないが、ここのところ民主党は変だ。
田中防衛相のお粗末ぶりにはとっくに愛想が尽きている。
⇒2012年4月 6日 (金):大飯原発再稼働というリトマス試験紙/花づな列島復興のためのメモ(48)
⇒2012年4月10日 (火):暴走が止まらない民主党政権/花づな列島復興のためのメモ(50)

今度は、前田国交相が、自身のミスに関し、容認できないような対応ぶりである。

 前田武志国土交通相は17日午前、衆院国土交通委員会に出席し、岐阜県下呂市長選で特定候補の支援を依頼するサイン入りの文書を郵送した問題について「誠に軽率であり、深く反省している。今後この反省の上に立って職務の遂行には慎重を期していく」と述べ、陳謝した上で重ねて辞任を否定した。
・・・・・・
 前田氏は衆院国交委で、文書の作成、郵送について「私は関与していない。私自身も思いも寄らないような内容の文書が、思いも寄らない形で使用された」と関与を強く否定した。11日の衆院国交委では、文書にサインした場所を「議員会館の事務所」としていたが、「国交省の大臣室」と訂正した。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120417/plc12041711280010-n1.htm

自ら署名している文書を、「私自身も思いも寄らないような内容」とは?
もちろん「誠に軽率であ」るが、それで済むと思っているのだろうか?
文書作成に関与した前田氏の三好琢政務秘書官は16日付で辞任している。
部下に責任を押しつけて、自分の地位は守ろうということか?

前田武志氏の略歴を、氏のサイトから引用しよう。

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建設省は、例外的に、京大が東大と拮抗していた官庁であり、技官と文官が交互に次官に就任していた。
つまり、前田氏は、型的なエリート官僚だった。
ノブレス・オブリージュという言葉はすでに死語である。
ちなみに、日本語では、しばしば「位高ければ徳高きを要す」などと訳される(Wikipedia)。

また、仙谷政調会長代行の発言も首を傾げたくなるものだ。

 民主党の仙谷由人政調会長代行は16日、名古屋市内で講演し、原発再稼働問題に関連し「止めた場合、経済と生活がどうなるかを考えておかなければ、日本がある意味で集団自殺をするようなことになってしまうのではないか」と発言した。
 発言の前段で「専門家への信頼が回復するまで稼働を止める、あるいは止めた原発を一切動かさないことをせよという話なら、その結論に向けてどうするのか」と指摘。「日本は電力なしに生活できなくなっていることは明らかだ」と述べ、重ねて原発再稼働の必要性を強調した。仙谷氏は党の原発再稼働問題検討の中枢メンバーで、政府の「再稼働路線」を後押ししてきた。

http://www.sponichi.co.jp/society/news/2012/04/17/kiji/K20120417003060590.html

仙谷氏は、民主党の重鎮である。
「日本は電力なしに生活できなくなっていることは明らか」である。
日本のみならず、「文明は」といってもいい。
しかし、それを直ちに原発再稼働に結びつけるのは、論理の飛躍というべきだろう。
仙谷氏は枝野経産相と近いといわれている。
大飯原発の再稼働にかんする関係閣僚会議にも出席していたという。

もうすぐ日本の原発の稼働はゼロになる。
われわれは、腹を括って、しばらくは、その状態を続けるしかないのではなかろうか。
原発は、工業社会の遺物(産業遺産)と考えるべきだ。

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2012年4月16日 (月)

『西郷の貌』と万世一系のフィクション/やまとの謎(61)

西郷さんといえば、われわれに馴染み深いイメージは、上野公園にある銅像だろう。
Photo_5
Wikipedia西郷隆盛像

実際に西郷さんの銅像を仔細に眺めてみる機会はそんなにはないが、恰幅の良い太鼓腹と太い眉で浴衣姿で犬を連れて散歩する。
些事にこだわらない人物というイメージであって、西郷の大衆的人気の大きな要因になってもいる。

この像は、高村光雲によるものである。
上記Wikipediaには、次のような解説が記されている。

西郷には信頼性のある写真が一枚も残っておらず、光雲は肖像画や弟の西郷従道の風貌を参考にした。銅像の建設委員長をしていた樺山資紀を助けて奔走していた子息の樺山愛輔は、銅像の顔は極めてよくできているが、光雲は西郷の特徴ある唇(何とも言えない魅力と情愛に弱いところが同居している唇)を最後まで表現しきれないことに苦しんだと書いている。公開の際に招かれた西郷夫人糸子は「宿んしはこげんなお人じゃなかったこてえ(うちの主人はこんなお人じゃなかったですよ)」と腰を抜かし、また「浴衣姿で散歩なんてしなかった」といった意の言葉(薩摩弁)を漏らし周囲の人に窘められたという。

注目したいのは、糸子夫人の言葉である。
「こげんなお人じゃなかった」「浴衣姿で散歩なんてしなかった」という言葉が本当なら、西郷隆盛のイメージをミスリードするような銅像である。
高村光雲ともあろう作家が、なぜそんな作品を作ったのか?

われわれが馴染み深いのは、次の肖像画であろう。
Photo
西郷隆盛のホームページ「敬天愛人」

加治将一『西郷の貌』祥伝社(1202)は、この点に着眼した小説である。
具体的に書くとネタバレになる恐れがあるが、流布している西郷のイメージと実際の西郷とは乖離していた。
何故か?

そこに教科書では教えられない明治維新の裏面史がある。
明治政府には西郷の本当の顔を封じ込めなければならない理由があったのだ。
いわゆる南朝正閏論を背景としている。
Wikipediaでは次のように説明している。

南北朝正閏論(なんぼくちょうせいじゅんろん)とは、日本の南北朝時代において南北のどちらを正統とするかの論争。閏はうるう年の閏と同じで「正統ではないが偽物ではない」という意味。

女性宮家創設問題をめぐって、万世一系の皇統論が盛んに主張されている。
しかし、万世一系などはフィクションに過ぎないと思う。
その一端を材料にした小説である。

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2012年4月15日 (日)

理解と同意/「同じ」と「違う」(46)

橋下大阪市長の発言が波紋を起こしている。

橋下市長は同日朝、報道陣の取材に対し、当初は「支離滅裂と言われて、僕は普段からそうだから、そうかなと思う」と話していたが、次第にヒートアップ。藤村氏が、再稼働をめぐる大飯原発の隣接府県の了解要件について「理解と同意は違う」と発言したことについても「理解と同意は、市民もうちのオカンもみんな同じ意味だと思っている。政治家としてあり得ない」とぶちまけた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120411-00000527-san-pol

問題は、「理解と同意は、市民もうちのオカンもみんな同じ意味だと思っている」という部分である。
辞書的には、「理解」と「同意」は明らかに異なる。
実生活でも、「理解はするが同意はできない」ということはザラにある。

「理解」の英訳は?
辞書には次のように載っている。

understanding
【形式ばった表現】 comprehension

understandingは馴染みがある。
comprehensionは馴染みがあるとはいえないかもしれないが、comprehensiveと銘打った参考書があったような気がする。

「同意」は、英語ではagreeだろう。agree to disagreeという表現がある。

agree to disagree [differ]
見解の相違であるとしてそれ以上争わないことにする

http://dic.yahoo.co.jp/dsearch/1/1na/001369000/

あるいは、名詞形のagreement。
「協定、 契約」の意味で企業では普通に使われている。
たとえば、NDA=Non-Disclosure Agreement。

一般に公開されていない情報を入手する場合に、その情報を外部に漏らさせないために交わす契約のこと。新しいOS向けのアプリケーションソフトを開発してもらうために、開発中のOSのコードをアプリケーションソフト開発会社に引き渡すような場合に使われる。
http://e-words.jp/w/NDA.html

これらの用例からすれば、「同意」と「理解」は違うだろう。
という意味では、藤村官房長官は正しい、のか?

しかし、である。
言葉の意味は文脈によって定まる。
文脈が上位で、単語は下位である。
その言葉がどういう文脈で用いられているかが重要である。
「アナタなんて大嫌い!」という愛情表現だってあるのだ。

この場合は、文脈をどう考えるか?
私は常識的に、「地元の理解を前提として」と言えば、地元が納得して同意すれば、ということだと「理解」する。
藤村氏と橋下氏のやりとりをみてみよう。

そのことについて官房長官は支離滅裂とコメントされました。枝野大臣は京都と滋賀の理解を得なければならない。さらには国民全般の理解を得なければならないと発言。その後、理解と同意は異なると発言。官房長官は地元の同意は法的に義務付けられているものではないと発言。 via ついっぷる/twipple
2012.04.10 23:55

僕の国語能力では、理解と同意の区別は分かりません。大阪市が地元の範囲に入るのかも分かりません。国がどこまでを地元とし、そして地元自治体との関係で何を要件とされているのかも分かりません。大阪には国の方針が何も伝わってきません。むしろ国の方針が錯綜していると感じます。 via ついっぷる/twipple
2012.04.11 00:00

引用は、橋下氏のtwitterだから公平ではないかも知れない。
しかし、私の感覚からすれば、激しく「同意」である。

枝野氏の発言のブレについては先日触れた。
⇒2012年4月 4日 (水):「大飯原発再稼働」の政治判断?/原発事故の真相(24)
ブレと言うよりも、二枚舌という方が合っている。
枝野氏が「国民全般の理解を得なければならない」と言ったときの「理解」は、明らかに「同意」の意味を持った「理解」のはずである

辞書に、次のような用例があった。

理解を求める
ask somebody to understand
ask for permission (許可を)

「地元の理解を求める」という場合は、to understandを求めるというよりも、to permissionを求めるに該当するのではないか。
だいたい、同意の意義を含まない理解をすればいい、とはどういうことだろう。
単に、説明を行えば、「一定の理解が得られた」などと言い出しかねないことは目に見えている。
枝野氏や藤村氏のような二枚舌、三枚舌の使い手が政府の要職に居座っていることを問題とすべきではないか。

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2012年4月14日 (土)

北朝鮮と民主党の「終わりの始まり」/花づな列島復興のためのメモ(53)

今朝のニュースに接していて、これはどうやら「終わり」が見えてきた、と感じたことが2つあった。
1つは北朝鮮の、人工衛星と称するミサイル発射の失敗である。

失敗そのものは、この種の実験にはつきものであろう。
特に、朝鮮中央通信報道のように、「軌道進入は成功しなかった」と失敗を認めることは、今後の進歩にとっては重要なことだと思われる。
失敗を失敗と認めなかったら、改善・改良することが難しいからである。

しかし、状況が余りにも問題である。
この日、北朝鮮の国会に相当する最高人民会議が開かれ、金正恩氏が国防委員会第1委員長に就任した。
軍、党、国家の3つの櫓の頂点に就くことが完了したわけである。
⇒2012年4月12日 (木):最高権力者の世襲/花づな列島復興のためのメモ(52)

人工衛星(ミサイル)の発射は、本来はそれを慶祝するはずのものだったと考えられる。
それが失敗だったというのでは、慶祝どころか大恥である。
権力承継を急いだ結果なのかも知れないが、矛盾が臨界に達するのはさほど時間を要しないのではないか。

わが国は、近隣ということもあって、多くの国民が息を詰めるような感じで動向を見守っていたのではなかろうか。
それにしても、政府は相変わらずの不手際ぶりを露呈した。

 北朝鮮の「人工衛星」と称する長距離弾道ミサイル発射に際し、政府は国民への情報発信に完全に失敗した。発射をただちに覚知しながら裏付けに手間取り、「発射は未確認」と発表した約20分後に「飛翔(ひしょう)体が発射された」と説明するなど対応は二転三転。Jアラート使用は日本飛来時に限るとの方針を自治体に周知することも怠り、民主党政権の危機管理能力に不安を残した。
 「どういう内容で出すべきだったか。出すべきであったかを含め、検証が必要だ」。藤村修官房長官は13日昼の記者会見で情報発信のミスを認めた。

http://app.f.cocolog-nifty.com/t/app/weblog/post?__mode=edit_entry&id=78664726&blog_id=405618

幸いにして(?)失敗したから大きな問題にならなかったが、コトがコトだけに、後からゆっくりと検証するというのでは許されまい。
報道が先行し、政府が追認するという構図はデジャビュのよう気がする。

昨日は速報的な情報しかなかったが、政府は大飯原発の再稼働を容認した。

野田政権が、関西電力(9503.T: 株価, ニュース, レポート)大飯原子力発電3、4号機(福井県おおい町)の再稼働が「必要ある」とした13日の政治判断は、国民の信頼が大きく欠けた中で行われた。
枝野幸男経済産業相は13日の記者会見で、電力需給について「楽観論に軽々に与し、供給が足りなることは許されない」と語ったが、「原発ゼロでも夏は乗り切れる可能性がある」とした1月末の自身の発言と矛盾する。有識者からは官僚に取り込まれた
民主党政権の限界を指摘する声が聞かれる。
http://jp.reuters.com/article/jp_quake/idJPTJE83C01C20120413

当然のことながら、広域的な意味での地元の嘉田滋賀県知事や橋下大阪市長は猛烈に反発している。

 滋賀県の嘉田由紀子知事は13日、県庁で記者団に対し、京都府の山田啓二知事とともに12日に視察した大飯原発3、4号機の安全性について「応急措置はしているが、恒久措置はしていない」と指摘。そのうえで自身が打ち出した原発の近隣府県を指す「被害地元」との言葉を用い、「万一事故が起きたらどうなるか。絶対の安全性をどう担保するのか。何よりも守らないといけないのは命」と述べ、強い懸念を表明した。
 また、政府に対しては「再稼働は切り捨て見切り発車。アクセルをかけるだけで、ブレーキのない政権」と断じ、改めて枝野幸男経産相が滋賀県に説明するよう求めた。

http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/120413/waf12041322020022-n1.htm

政府が関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働を容認することを決めた13日、大阪市の橋下徹市長は、記者団に「民主党政権の統治のあり方は本当におかしい。次の選挙で政権は代わってもらわないといけない」と述べ、次期衆院選で政権交代を目指す考えを明らかにした。
 橋下市長は、再稼働方針の決定プロセスについて「最高権威である原子力安全委員会の見解を封印している。大変危険だ」と批判。大阪維新の会としての決定ではないと断った上で「次の選挙では絶対に民主党に反対でいきたい。維新政治塾のメンバーにはとにかく国政に行ってもらいたい。今日から反対運動だ」と息巻いた。
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/120414/waf12041400020000-n1.htm

野田政権は明らかにコントロール機能を失っている。
民主党は政権担当の資格もなく(マニフェスト破綻)、能力もない(失政が続く)。
かくなる上は、下野すべきだろう。
菅前首相が言うような「任期中の独裁」などあり得ない。
民主党政権は既に終わっているのである。

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2012年4月13日 (金)

拙速に過ぎる政府の大飯原発再稼働判断/原発事故の真相(26)

先ほど、TVの画面に、大飯原発の安全性を最終確認、というテロップが流れた。
ネットで検索してみると、以下の簡単な記事があった。

枝野幸男経済産業相は13日、原発の再稼働を検討する関係閣僚会合後の記者会見で、関西電力大飯原発3、4号機の安全性について「最終的に確認した」と述べた。(2012/04/13-19:54)
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2012041301042

「安全性を最終的に確認」とはいかなる意味か?
昨日は、拙速との批判を受けて「熟慮」すると言ったばかりである。

 野田佳彦首相と枝野幸男経済産業相ら関係3閣僚は12日、関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働の「妥当性」について結論を持ち越した。再稼働を急ぎたい政府は最大の焦点である安全性について9日の前回会合で「(再稼働の)判断基準におおむね適合している」と発表。ところが、首相と3閣僚が決めた「判断基準」に批判が強まったことから「熟慮の判断」を訴えるため結論を13日以降に先送りしたとみられる。
 「大変重要なことでもあり、さらに議論する必要があるだろうということが本日の結論だ」。枝野氏は会合後の記者会見の冒頭、こう述べた。
 記者団が「安全性については前回『おおむね適合』ということだった。どの点について議論を続けるのか」とただしたが、枝野氏は「何らかの区切りなり、結論が出た段階で報告することだと思っている」とかわし、具体的な説明を避けた。

http://mainichi.jp/select/news/20120413k0000m010100000c.html

茶番である。
昨日から今日にかけて「熟慮」した結果、何をどう確認したのだろう。
こんなことを続けていれば、野田内閣の命運が尽きるのも時間の問題だろう。

国民の多数は現時点の再稼働に反対である。

関西電力の大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の再稼働について読者の意見を聞く投票を1週間行なったが、この問題に対する関心の高さに驚いた。
13日午後1時半現在で、投票数1万2000票を超えている。これまでJRTが行った投票で最もたくさんの方が参加してくださったのではないか。賛成は7%、反対92%である。寄せられたコメント400通以上は、ほとんどが反対意見であった。

http://jp.wsj.com/japanrealtime/blog/archives/10549/

もちろん、この種の調査は、国民のランダムサンプリングではないから、バイアスがかかっているだろう。
しかし、そのバイアスは、問題をより真剣に考える方向のものだろう。
つまり「心ある人たち」ということである。

そもそも、需要見通しについても説明は不十分である。
私も、昨年経験した計画停電を再び味わいたくはない。
しかし、需給の実態がどうなのか、本当に電気が足りないのは、どの時間帯にどの程度なのか。
供給に制限があるとすれば、何らかの形で需要を抑えるしかない。
病院などの必需的な需要を優先的に満たし、後は需要抑制的な料金体系とするのが最も合理的なように思える。

それにしても、足りない量については下記のように報道されている。

 関西電力の全原発停止が続いた場合、電力需要が昨夏並みだと、今夏に電力が足りなくなるのは計58時間で全体の2・8%となり、ほとんどの時間は電力不足を回避できる可能性があることが関電の公表データから11日、分かった。
 関電は供給力不足のため、大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働が欠かせないと強調している。今回は、供給力と昨夏実績の単純比較だが、需要が大きくなる時間帯の対策ができれば、再稼働を急がなくて済む可能性があり、短時間のピーク時対応が最重要課題と言えそうだ。

http://www.47news.jp/47topics/e/228012.php

関係閣僚会議でどのような議論が交わされたのか?
野田内閣はどうしても再稼働を明言したかったらしい。
しかし、何故だろう、というのが大方の疑問であろう。

田中秀征氏は次のように論じている。

 ただ、再稼働については、当然のことながら厳しい前提条件がある。
(1)まず、政府、国会、民間の事故調の最終報告を踏まえて、専門家による新しい安全基準を策定する。
(2)早急に原子力規制庁を発足させ、新しい安全基準を法制化する。
(3)並行して今回の原発事故に対する原子力ムラの各組織の責任と政治家、官僚、学者の責任を追及すること。原発事故が“人災”であるからには当然である。
 だが、現在の大飯原発の再稼働決定過程はこれらの手順が省略、あるいは先送りされて進んでいる。
・・・・・・
 実際、野田政権の再稼働への対応は、消費税増税に対する対応とそっくりで「野田流ありき政権」と言われても仕方がない。肝心なことが横に置かれて、カレーライスの福神漬けのようになっている。先送りされた課題が実現する保証は全くない。

http://diamond.jp/articles/-/17091

佐藤雄平福島県知事も、「東京電力福島第一原発事故の検証がまだ終わらないのに再稼働することは問題だ」と述べてえいる。
誰が考えても、政府の再稼働方針は疑問だろう。
原子力規制庁が発足すらしていないのである。
原発事故の当事者である枝野、細野両大臣は、再稼働の判断に関わるべきではない。

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2012年4月12日 (木)

最高権力者の世襲/花づな列島復興のためのメモ(52)

北朝鮮の金正恩氏が、朝鮮労働者党の第一書記に就任した。

 北朝鮮の朝鮮労働党代表者会が11日、首都平壌で開かれ、昨年12月に急死した金正日氏を「永遠の総書記」とすることを決定、金正恩氏は新たに設けられた党第1書記に就任した。
 党代表者会は党大会に代わると位置付けられている会議で、2010年9月に正恩氏が公式に登場、党中央軍事委員会副委員長に就任して後継者に確定した時にも開催された。
 正日氏死去後の昨年12月30日、正日氏の「遺訓」に基づく措置として、党政治局が正恩氏を軍トップの朝鮮人民軍最高司令官に任命。権力継承がスタートした。
 朝鮮中央通信によると、正恩氏の第1書記就任は「金正日総書記の遺訓を示した」とし、民族の「大慶事」と表現。正恩氏の指導により、北朝鮮が新たな時代を築くことを強調した。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/120411/kor12041117430010-n1.htm

予定されていた権力承継がつつがなく進んでいるということであろうか。
⇒2010年9月29日 (水):北朝鮮の権力承継
昨年末に金正日氏が亡くなったが、金正日の遺訓という性格を持たせている。
やはり金正恩氏の実績だけでは不十分ということであろう。
⇒2011年12月20日 (火):金正日総書記の死と世襲の論理

私は、TVに北朝鮮の人々が“慶祝”している様子を見ていて、違和感を否定できない。
一方で、食べるものも食べられないような状態の人も多いという現実があるといわれている。
慶事に花を添えようという意図であろうか、ミサイルの発射も予告している。

ミサイルの飛行ルートに近い沖縄県や関係省庁は、何が起きるか分からない」と緊張せざるを得ない。
国際的な情勢や近隣諸国の迷惑を敢えて無視しているように見える。
唯我独善?

違和感の原因は、国の力の注ぎ方のバランスの問題である。
国富が一定だとして、それをどう配分するか?

北朝鮮の場合、その偏りが極端である。
大衆の生活よりも、軍事に。一般人よりも、金“王朝”を支える人たちに。
金“王朝”は、血族と労働党エリートとから成る。
イデオロギーと血統が混在した体制。

しかし、考えてみれば60数年前までのわが国も同じようなものではなかったか。
万世一系の天皇の治める万邦無比の国体。
極端な軍事偏重。
八紘一宇のスローガンの下に、アジア諸国を侵略。
欧米列強の植民地支配からの解放という側面もあったにしろ、わが国の意図としては、勢力下に治めることであったのは疑いない。

天皇制という体制は変質しつつも、現在も生きている。
天皇は、現憲法では、政治的権力とは切り離されている。
しかし、大日本帝国憲法では、最高の政治権力であった。
天皇の地位は、男系男子による世襲によることが法的に定まっている。
皇室典範の改正も課題とされているが、皇位継承については、当面触れないという。
北朝鮮における金体制の世襲と、天皇の地位の世襲とはどう違うのであろうか?
⇒2010年9月30日 (木):権力の世襲と権威の世襲/「同じ」と「違う」(15)

今日の日本経済新聞のコラム「春秋」は、竹山広さんの歌「体制といふ櫓にて微笑せる金正日がまた手をたたく」を引用して、次のように書く。

「正日」だけ「正恩」と変えてみればいい。いまもそのままである。その北朝鮮で、三本足の櫓に正恩氏がのっかる準備が着々進む。

三本足の体制とは、人民軍と一党独裁の朝鮮労働党、そして国家そのもの、としている。
それに、もう一つの櫓として、人工衛星と称するミサイルの発射台を挙げる。
そして、

その施設やらロケット、衛星やらを報道陣に公開したのは「平和利用」をアピールするためだろうが、日ごろことごとくベールに覆っておじぬ国だ。だしぬけにベールを脱いでも、素顔だと信じるお人よしはよもやいまいということになる。

その通りなのであるが、日経新聞は原発再稼働に賛成のようである。
フクシマの事故は、海洋汚染等により近隣諸国に影響を及ぼしている。
原発を再稼働させようとすることは、ミサイルの発射と五十歩百歩ではないのか。

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2012年4月11日 (水)

大飯原発に対する大阪維新と政府の対比/花づな列島復興のためのメモ(51)

大阪府市統合本部のエネルギー戦略会議が、関電や政府に求める「原発再稼働に関する8条件」案をまとめた。

Photo_6 関電の筆頭株主の大阪市も含め、同原発から100キロ圏内の自治体と安全協定を結ぶことなどを盛り込んでいるのが特徴。同日午後の統合本部会議などで最終検討されるが、原発立地の福井県に隣接する京都府や滋賀県も再稼働に慎重な構えを見せる中、大阪府市の提案となれば政府の判断にも影響を及ぼしそうだ。
 8条件案では、国家行政組織法3条に基づく独立性の高い行政委員会(3条委員会)として「原子力規制庁」の設置を要求。規制庁のもとで新たな安全基準を策定し、再度ストレステスト(耐性検査)を行うことを求めている。また、使用済み核燃料の最終処理体制の確立や、事故が起きた場合の損害賠償などで生じる倒産リスクの最小化なども条件に含んでいる。
http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/120410/waf12041011520017-n1.htm

政府は、近々再稼働について「妥当」との判断を示す見通しであり、対立の図式であることは明らかだ。
ただ、この「8条件」については、、「行政的な権限のないことを条件にできるのか」などという異論が出たため決定を先送りしている。
しかし、橋下市長は、政府方針と比較し、最後は国民にどっちを取るか選択してもらう、と述べている。

対立の図式の根底には、原発立地の「地元」の定義も絡んでいる。
当然、当該自治体のみならず、影響を受ける範囲をすべて含めて考えるべきだろう。
しかし、政府は限定的に捉えて再稼働を急ごうとしている。

福島第一原発の事故の被害実態の全貌が明らかでない段階で、再稼働を云々すること自体が正気とは思えないが、大飯原発と福島第一原発を重ね合わせた図がある。Photo_2
http://d.hatena.ne.jp/byebyegenpatsukyoto/20111227/1324968864

大阪府市統合本部のエネルギー戦略会議が、100キロ圏内の自治体と安全協定を締結、を条件としているのは自然であルと思う。
しかるに、藤村官房長官は、この「8条件」について、「当然、丁寧に意見を聞く」と語る一方で、橋下氏の発言を「支離滅裂」を批判した。
藤村氏は「再稼働は法的に何の規定もなく、関電がやろうと思えばいつでもやれる」と語っているが、福島第一原発の事故の教訓など、まったく視野の外ということであろうか。

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2012年4月10日 (火)

暴走が止まらない民主党政権/花づな列島復興のためのメモ(50)

現在の議院内閣制では、政府は衆議院の信認によって成立する。
直近の2009年の衆議院選挙によって圧倒的多数派となった民主党は、あと1年4カ月ばかりは政権党の権利を有しているといえる。
しかし、直近の国政選挙である参議院選挙や各種の地方選挙では、ほとんど全敗ともいうべき状態である。
はたして、民主党政権に正当性はあると言えるのだろうか?

政府は、9日の関係閣僚会合で、関西電力大飯原発について、暫定的な安全基準に「おおむね適合している」と判断し、安全性を確認した。
この「安全性の確認」には、何重もの欺瞞があると考える。

先ず第一に、安全基準についてである。
本来、科学的な基準であるはずであるにもかかわらず、たった4人の政治家が、密室の談合ともいうべき決め方で決定している。
4人の政治家のうち、少なくとも枝野経産相、細野環境相兼原発事故担当相は、福島第一原発事故の当事者というべきである。
福島第一原発事故の検証が終わらない段階で、このような立場に携わること自体が不見識というべきであろう。
⇒2012年4月 4日 (水):「大飯原発再稼働」の政治判断?/原発事故の真相(24)
⇒2012年4月 6日 (金):大飯原発再稼働というリトマス試験紙/花づな列島復興のためのメモ(48)

第二に、地震や津波が起きても全電源が失われない対策や、炉心などの冷却機能を維持する対策について、関電の安全対策が、「基準をおおむね満たしている」としていることについてである。
これは、関電の実施した対策をもとに基準を決めたともいわれており、本末転倒である。
しかも、「おおむね満たしている」という一種の「東大話法」で、表現している。
⇒2012年3月29日 (木):2号機内部の内視鏡映像/原発事故の真相(23)

第三に、中長期対策である。
関電がこの日提出した「工程表」を盛り込んだ実施計画について、「事業者が安全確保に必要な措置を不断に実施する姿勢が明確だ」と評価した。
Photo
http://www.asahi.com/politics/update/0409/TKY201204090546.html

しかし、これは最低限の当たり前の条件である。
問題は、計画の実行をどう担保するかであり、計画が完了してから評価するべきことではないか。
計画されているから安全だ、というのは倒錯した論理である。

外交問題では、鳩山元首相が、与野党一致しての反対を押し切って、イラン大統領と会談した。

 藤村修官房長官は9日午前の記者会見で、民主党の鳩山由紀夫元首相がイランを訪れ、アハマディネジャド大統領と会談したことについて、「個人の立場でも、こういう時期に訪問をされない方がいい」と述べ、不快感を示した。
 イランの国営テレビが、鳩山氏が会談の中で、国際原子力機関(IAEA)は不公平だと述べたと報じたことに関しては、「わが国としては、核問題解決に向けたIAEAの役割を重視している。イランに対し、IAEAへの完全な協力を求めている」と指摘した。
 公明党の漆原良夫国対委員長もイラン側の報道を取り上げ、「元首相、しかも民主党の外交担当の最高顧問という立場だから、日本政府として間違ったメッセージを与えかねない」と鳩山氏を批判した。国会内で記者団の質問に答えた。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2012040900341

鳩山氏といえば、普天間基地移転問題を混迷させた張本人である。
その鳩山氏を民主党は、外交担当の最高顧問とした。
いくら藤村官房長官が不快感を示しても、所詮自分たちが決めた人である。
天に唾しても自分に降りかかるだけである。

鳩山氏と同時に、菅前首相も、新エネルギー担当の最高顧問になった。
私には、これらの処遇は“適材適所”のブラックジョークにしか思えない。
“最高”顧問などという肩書は、普通の感覚を持った人間なら、恥ずかしくて使えない。政治家とは不思議な種族である。

“適材適所”といえば、田中直紀防衛相を抜きにしては失礼だろう。
北朝鮮からミサイルが発射されようという緊迫したこの時期に、数々の失言・迷言を繰り返している。
野田首相は、「無知の知」と庇うが、文脈が違う。

藤村官房長官も、時宜に無神経な発言である。
⇒2012年4月 6日 (金):大飯原発再稼働というリトマス試験紙/花づな列島復興のためのメモ(48)

野田政権は、消費税増税と大飯原発再稼働に突き進んでいる。
このような政権の姿を、田中秀征氏は、徳川最後の将軍に見立てている。

 大連立は幕末の公武合体論のようなもの。万が一実現してもすぐ崩壊するし、第3勢力の討幕派の勢いを強めるだけである。
 結局、今の民主党政権、特に野田政権は幕末の徳川慶喜政権に擬せられる。既得権益の根幹を維持するために、表面的な改革を装っている印象だ。
 しかし、留意すべきはほとんどの人たちが、それを既に見抜いていることだ。

http://diamond.jp/articles/print/16827

野田首相は、果たして“悲願”が成就するのを見届けることができるだろうか?

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2012年4月 9日 (月)

復旧と復興/「同じ」と「違う」(45)

「東日本大震災復興構想会議」という組織があった。
東日本大震災の被災地域の復興に向けた指針策定のための復興構想について、内閣総理大臣の諮問に基づき審議を行うために設置された政策会議である。
この会議のサイトを開くと、以下のような説明が載っている。

 未曾有の複合的大災害である東日本大震災からの復興は、単なる復旧ではなく未来志向の創造的な取組が必要です。
 我が国の叡智を結集し、幅広い見地から復興に向けた指針策定のための復興構想について議論を進め、未来に向けた骨太の青写真を描いていきます。

http://www.cas.go.jp/jp/fukkou/

「復興は、単なる復旧ではなく」とある。
復旧と復興はどう違うか?

yahoo知恵袋に、以下のような例があった。

復興
いったん衰えたものが、再びもとの盛んな状態に返ること。また、盛んにすること。再興。「災害から―する」「伝統工芸を―する」
復旧
壊れたり、傷んだりしたものを、もとの状態にすること。また、もとの状態にもどること。「道は二日で―した」「―工事」

上記を前提とすると、東日本大震災の被害の関して、「単に壊れたり、傷んだりしたものを、もとの状態にするのではなく、再びもとの盛んな状態にする」ための構想を策定しようということになる。
元の状態に戻しただけだと、また津波や地震によって同じような災害が起きる可能性がある。
最新の科学技術が到達している水準を動員し、制度的な制約にとらわれずに考えようということであろう。

「単なる復旧ではなく未来志向の創造的な取組が必要」という視点は、大いに賛同したい。
⇒2011年3月22日 (火):津々浦々の復興に立ち向かう文明史的な構想力を
それで、この会議での議論に期待した。

会議のメンバーは以下のようであった。
議長に五百籏頭真(前防衛大学校長、神戸大学名誉教授)、 議長代理に安藤忠雄(建築家、東京大学名誉教授)と御厨貴(東京大学教授)、特別顧問(名誉議長)として梅原猛(哲学者)、委員として赤坂憲雄(学習院大学教授、福島県立博物館館長)、内舘牧子(脚本家)ら12人。
期待できる人選である。

会議は、2011年4月15日に第1回会議が開催され、6月25日に第12回会議と共に、『復興への提言~悲惨のなかの希望~(平成23年6月25日 東日本大震災復興構想会議)』が発表された。
約70日の間に、12回。毎週土曜日に、5時間をとったという。
その成果については、さまざまな見方があろう。
⇒2011年7月11日 (月):震災復興会議の提言と「霞ヶ関文学」/花づな列島復興のためのメモ(2)

この会議はその後どうなったか?
11月10日に第13回会議が開催されたきりである。
6月25日の「提言」で役割は終えたということであろうか。

第13回会議の議事録の中に、赤坂憲雄氏が以下のような趣旨の発言をしているのが印象的であった。

コミュニティ形成の上で、神社や寺などの宗教的な施設が重要であることを再認識した。
宗教を含めた文化的な復興が、地域のアイデンティティという面で、決定的に重要だ。
しかし、現在の復興の状況を見ると、文化に対する予讃措置がほとんど取られていない。
問題は、「提言」よりもそれがどう「実施」されているかである。

文化に対する復興予讃について、典型的と思えるニュースがあった。

 津波で壊滅した宮城県石巻市中心部に残る「石ノ森萬画館」をめぐり、先月26日の市議会で約7億5千万円の改修予算案が可決された。県出身の漫画家、石ノ森章太郎さんにちなみ平成13年に開館したが、震災後1年経ても休館している。
 市は萬画館の改修費を復興交付金事業に申請しようとしたが、「復興庁から対象事業ではないと言われた」(市商工観光課)。市は復興交付金をあきらめ、文部科学省の補助などを使い、独自で予算化した。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120408/dst12040809060001-n1.htm

復興構想会議は、この第13回会議で終了し、後継組織として復興推進委員会が設置されている。

東日本大震災の復興状況を調査する有識者会議「復興推進委員会」の初会合が19日、首相官邸で開かれ、野田佳彦首相は「被災地の声を受け止めて改めるべき点は改め、復興の取り組みを加速させたい」と述べた。同委員会は復興ビジョンなどの提言機関「復興構想会議」の後継組織で、メンバーは岩手、宮城、福島の3県の知事のほか、有識者ら計15人。委員長の五百旗頭真防衛大学校長は「どこが問題なのか政府と国民に語る機能を果たしたい」と述べた。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120319/plc12031919490012-n1.htm

是非、「単なる復旧ではなく未来志向の創造的な取組が必要」という初心を貫いて欲しい。
そしてそのために、地域固有のニーズに沿った施策が必要だと思われる。

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2012年4月 8日 (日)

厚労省不正郵便事件の不可解な着地点/花づな列島復興のためのメモ(49)

既に遠い過去になってしまった感があるが、社会的に大きな反響を呼んだ厚労省不正郵便事件という事件があった。
振り返ってみよう。同事件について、Wikipediaでは以下のように解説している。

障害者郵便制度悪用事件(しょうがいしゃゆうびんせいどあくようじけん)とは、2009年に大阪地方検察庁特別捜査部が、障害者団体向けの郵便料金の割引制度の不正利用があったとして、障害者団体・厚生労働省・ダイレクトメール発行会社・広告代理店・郵便事業会社等の各関係者を摘発した郵便法違反・虚偽有印公文書作成事件。
事件関係者とされた人のうち、虚偽の内容の公文書を発行させた事件については厚生労働省の局長・村木厚子と自称「障害者団体」会長・倉沢邦夫、発起人で幹部・河野克史については無罪となった。その後、本事件を担当した主任検事・前田恒彦、および上司の特捜部長・大坪弘道、特捜副部長・佐賀元明(いずれも当時の役職)が本事件の捜査中における違法行為の疑いで最高検察庁に逮捕される極めて異例の事態になった。

つまり公文書を偽造する形の郵便割引制度をめぐる不正があった。
事件の骨格は、偽造公文書は誰の責任で発行され、誰がメリットを享受したか、である。
検察は、発行責任者が不正公文書の発行の条件として、何らかの便益の提供があったという仮説を立てた。

ここまでは特に問題となるような点はないように思える。
しかし、検察側は、この仮説に合致するように、証拠を改竄していた。
改竄は、担当検事の独断で行われたのか、組織ぐるみで行われたのか。
「法と証拠」に基づいて行われるべき司法判断の根底が揺らいだ。
⇒2010年9月22日 (水):クリシンはどこへ行った?
⇒2010年10月20日 (水):佐藤優氏の大阪地検特捜部擁護論

検察の実態を知らしめたという意味では、同事件は大きな役割を果たしたといえる。
しかし、それは事件の副産物というべきものであって、事件の本線はどう決着したのか?
郵便制度を不正利用した障害者団体側に対する高裁の判断は無罪だった。
これに対し、大阪高検が上告せず、無罪が確定した。

 実態のない障害者団体に郵便料金割引を適用させるための偽証明書が発行された「郵便不正事件」で、有印公文書偽造・同行使の罪に問われた「凜(りん)の会」(解散)の発起人、河野克史(こうの・ただし)被告(71)を無罪とした大阪高裁判決について、大阪高検は5日の上告期限までに手続きを取らず、無罪が確定した。
 大阪地検特捜部が捜査した郵便不正事件では、今年1月の大阪地裁判決で上村(かみむら)勉・元厚生労働省係長が単独で偽証明書を作成したと認定され、共犯として起訴された元同省局長の村木厚子さんら3人は無罪が確定した。
http://mainichi.jp/select/news/20120406k0000e040186000c.html

この事件は何だったのだろうか、という気がする。
検察が、「法と証拠」に基づくべきことは言うまでもない。
したがって、捏造された証拠に基づいた判断は排除されるべきことは当然である。

しかし、「郵便制度を悪用した不正事件」は確かに存在したのであるから、その不正を実行した人間、その不正により不当な利益を享受した人間は、相応の罰を受けるべきであろう。
「凜の会」という障害者団体は、家電量販店や紳士服販売店のDMを、心身障害者用低料第三種郵便物として利用し、割引額は37億5千万円を不当に受益した。

上記のWikipediaでは、「障害者団体・厚生労働省・ダイレクトメール発行会社・広告代理店・郵便事業会社等の各関係者」とあるが、それぞれの「罪と罰」はどうなのか?
罪を犯した者は、相応の罰を受ける。
その公正・公平を維持することは、社会秩序の基本であろう。

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2012年4月 7日 (土)

官邸が隠した“悪魔のシナリオ”とは?/原発事故の真相(25)

「文藝春秋」の4月号に、「3・11日本人の反省」という特集記事が載っている。
その中に、2月28日に発表された「民間事故調」(民間有識者でつくる「福島原発事故独立検証委員会」の実施主体である一般財団法人日本再建イニシアティブの理事長船橋洋一氏の、『機密文書 官邸が隠した原発悪魔のシナリオ』というオドロオドロシイ文章が載っている。
タイトルは船橋氏がつけたのか編集部がつけたのか分からないが、「悪魔のシナリオ」を「官邸が隠した」とはどういうことか?
⇒2012年2月29日 (水):民間事故調報告書/原発事故の真相(18)

“悪魔のシナリオ”(最悪シナリオ)については、既に触れたことがある。
⇒2012年1月24日 (火):議事録の不作成は故意か過失か?/原発事故の真相(17)
同シナリオは、菅前首相の要請で、昨年3月25日、近藤駿介原子力委員会委員長が作成した「福島第1原子力発電所の不測事態シナリオの素描」という文書である。

 政府高官の一人は「ものすごい内容だったので、文書はなかったことにした」と言明。別の政府関係者は「文書が示された際、文書の存在自体を秘匿する選択肢が論じられた」と語った。
 最悪シナリオの存在は昨年9月に菅氏が認めたほか、12月に一部内容が報じられたのを受け、初めて内閣府の公文書として扱うことにした。情報公開請求にも応じることに決めたという。
 細野氏は今月6日の会見で「(シナリオ通りになっても)十分に避難する時間があるということだったので、公表することで必要のない心配を及ぼす可能性があり、公表を控えた」と説明した。
 政府の事故調査・検証委員会が昨年12月に公表した中間報告は、この文書に一切触れていない。

http://www.47news.jp/47topics/e/224789.php

政府の事故調査・検証委員会の最終報告が終わりもしていない段階で、再稼働の安全基準を「最終決定」するというのもアクロバティックだと思うが、「ものすごい内容だったので、文書はなかったことにした」では、何のために不測事態シナリオを検討したのか分からない。

民間事故調は、最悪シナリオを入手し、その作成プロセス、内容、伏せられた経緯を調査した。
昨年の3月14日から15日にかけて、2号機と4号機の状況が悪化する中で、官邸筋は「最悪シナリオ」を想定する必要を感じ始めていた。
最悪シナリオを想定するミッションは、本来は斑目原子力安全委員長であったが、12日の水素爆発の説明でミソをつけたことから、近藤原子力委員長に作成を依頼した。
作業は3日間の突貫作業で行われた。

シナリオは、以下のような事象を想定した。
①水素爆発によって、他の原子炉からも放射性物質が放出が続く。
→20kmという避難区域の範囲を変える必要はない。

②4号機プールの燃料破壊とコアコンクリート相互作用が発生。
→50kmの範囲は速やかに避難

③他の号機でのコアコンクリートの相互作用が発生。
→住民を強制移転しなければならない地域が半径170km以遠に及び、移転希望認めるべき地域が半径250km以遠にまで及ぶ。

使用済み燃料プールの燃料破壊が起こり、コアコンクリート相互作用が起きる場合を「最悪シナリオ」だということであるが、コアコンクリート相互作用とは、いかなる反応か?
Wikipediaに次のような説明がある。

2012年2月初めに、菅元総理大臣の要請により、内閣府の情報開示で入手した、福島原発事故の最悪シナリオ「近藤原子力委員長のメモ」が、公開された。
このメモの15ページ「線量評価結果について」に於いて、水素爆発が発生したとしても半径20 km圏内という避難区域を変える必要はない。しかし、4号機の使用済み燃料プールの燃料損傷が発生しそこから複数の号機の使用済み燃料プールでコアコンクリート相互作用(溶融燃料コンクリート相互作用、MFCI)が発生した場合、170 km以遠の地域にも強制移転を求めることが必要になる可能性があるということを述べている。
又、メモの10ページの「放出シーケンス」「被ばく線量評価結果」(放射性物質の放出予想)が示されており、グラフと表により、4号機(炉)の使用済み燃料プールからの放射性物質の放出量が大きく、避難規模に大きく影響される事が示されている。

MFCIについて調べてみると、Moltem fuel coolant interaction(溶解燃料冷却剤相互作用)のことだというが、結局よく分からない。
ただ、首都圏全域が避難しなければならない危機もあり得たということだろう。
そのどこまで進行したのかも詳らかではない。
そんな状態で、原発再稼働に突き進んでいる政権は、自滅願望に囚われているとしか思えない。

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2012年4月 6日 (金)

大飯原発再稼働というリトマス試験紙/花づな列島復興のためのメモ(48)

関西電力大飯原子力発電所の再稼働に向けて、野田首相と枝野経済産業相ら三閣僚は、5日新たな安全基準を大筋で了承したが、続けて6日夕には、同メンバーで、運転再開を判断するための安全基準を最終決定した。
拙速というよりも茶番というべきであろう。
三閣僚とは、枝野氏と細野環境相兼原発事故担当相、藤村官房長官である。

こんな4人で、密室談義のような形で「最終決定した」安全基準など何の権威も持ち得ないだろう。
橋下大阪市長の以下の発言は、まさに「その通り」である。

 大阪市の橋下徹市長は5日、関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の再稼働に向け野田佳彦首相が同県に協力要請する方針を固めたことに関し「安全性をしっかりチェックした上で動かすという当たり前のプロセスをすっ飛ばした判断だ。政権は持たない」と批判した。
 同時に、安全基準をつくる過程が最も重要だとの考えを強調。「(原子力安全)保安院が、ぱっぱと安全基準をつくって、それでオーケーと判断するなら(政府に)もう統治能力はない」と苦言を呈した。市役所で記者団に述べた。

http://sankei.jp.msn.com/smp/politics/news/120405/plc12040515090017-s.htm

そもそも、三閣僚の適格性に問題があると言わなければならない。
今西憲之+週刊朝日取材班『福島原発の真実 最高幹部の独白』朝日新聞出版(1203)に、印象的な記述がある。

 ただ私にも、よくわかる資料があった。メルトダウンの程度によって、放射能汚染がどこまで拡大するか、放射性物質の飛散予測がついていたのだ。
 うち、1枚の“放射能拡散想定”を見て驚いた。
 西端は静岡県。そして、北は青森を越えて北海道の手前まで汚染されると想定されていた。これが事実なら、あらゆる機能が集中する首都・東京は壊滅する。それは、日本全体の機能麻痺と同義だ。恐怖に襲われた。
「直ちに影響はない」と言い続ける政府の姿勢とは、まったく違うではないか

p190

「直ちに影響はない」と言い続けた政府といえば、誰でも枝野官房長官(当時)のことを思い浮かべるだろう。
⇒2011年3月24日 (木):安全基準の信憑性について

細野氏については、以下のように記されている。

 細野さんが原発担当大臣になって、世間には歓迎ムードがあるようだが、現場としては、「うーん」という感想だ。期待していたが、正直言って彼は経産官僚と変わりがない。現場が望むのは、意思決定のスピードとリーダーシップだ。しかし、細野大臣と話していてわかったが、彼はどちらも兼ね備えていない。経産官僚が言っていたことを、数日後に細野さんの口から聞くということが何度もある。経産官僚の言うがままの「操り人形」と我々は呼んでいる。
p94

経産官僚と変わらぬ人が、安全基準の評価基準を「了承・決定」するというのは如何なものか?
野田内閣の“適材適所”ぶりを示す例といえよう。

藤村官房長官は、発言が余り印象が残らないタイプだ。
その人が以下のように言って妙な存在感を示した。

藤村修官房長官は5日午前の記者会見で、原発再稼働にあたっての地元自治体の同意について「法律などの枠組みで同意が義務付けられているわけではない」と述べた。関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働を巡って、政府は福井県とおおい町の「同意」、滋賀県や京都府など近隣自治体の「理解」を得る必要があるとしているが、法律上の規定はない。あえて明確にする藤村長官の発言は地元軽視と受け止められ、反発を招く可能性がある。
日経新聞4月6日

法律上の文言はあるいは官房長官の言うとおりかもしれない。
しかし、今の状況であえてこういう発言をすることは、地元を挑発しているようなものではないか。
あるいは余程空気が読めない(KY)人なのか。
いずれにせよ、官房長官の適材とは思えない。
野田首相は、田中直紀防衛相を「無知の知」とまでいって擁護しているが、随処に“適材適所”が散りばめられている。

日本商工会議所の岡村会頭は、この問題で、次のように、運転を再開させるべきだという考えを示した。

岡村会頭は、国によるストレステストの1次評価が終わった大飯原発に関連して、「関西電力は原発への依存度が高いこともあって、大飯原発の再稼働がなければ、電力の需給が非常に苦しい状況になるのは明確だ」と述べ、関西電力管内を中心としたこの夏の電力不足に強い懸念を示しました。
また、岡村会頭は「去年は震災の直後ということもあって、工場も稼働率が低かったが、ことしは需要の増加に対応しないといけないことも十分考えられる。夏場をどう乗り切るか、企業も近々、対策を考えないといけない」と述べ、原発を含めた電力の需給状況は企業活動にも大きな影響を与えるという認識を示しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120406/k10014252901000.html

どうやら、大飯原発再稼動問題は、民主党の本質は何か、民主主義とは何か、安全性をどう考えるか等を仕分けするリトマス試験紙として機能するようである。
私たちは、これらをよく見据えて、次の選挙の投票行動の参考にすべきだろう。
それにしても、街頭デモが当たり前だった時代が懐かしい。

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2012年4月 5日 (木)

AQUOSブランドの凋落/花づな列島復興のためのメモ(47)

日本の家電産業について、グッドニュースを聞かない。
話題になるのは、「史上最大の赤字」「社長交代(更迭)」「海外企業の資本受け入れ」といったようなことばかりである。
もちろん苦しいのは家電産業だけではない。
日本の産業界全体が四重苦(クァドリレンマ)に苦しんでいるといわれる。
⇒2011年10月18日 (火):日本経済のクァドリレンマ/花づな列島復興のためのメモ(8)

四重苦とは、盛山和夫『経済成長は不可能なのか - 少子化と財政難を克服する条件 (中公新書)』(1106)によれば、以下の4つである。
1.デフレ不況問題
2.財政難問題
3.国の債務残高問題
4.少子化問題
これらは日本社会全体の問題であるから、特に家電だけに特別の条件のわけではない。

この3月期の決算は以下の通りであった。
Photo
http://diamond.jp/articles/print/16087

まさに壊滅的な状況というべきだろう。
私も退院後、ようやく買い換えた薄型TVがシャープのAQUOSだった。
その頃は、AQUOSはまだ光り輝いているように見えた。私が抱いていたのも、ずっと昔のSONYのトリニトロンのようなイメージだった。
「世界の亀山モデル」 というレッテルが誇らしげに貼られている。
実際に、2010年7月に実施されたブランドイメージ調査では、AQUOSが1位であった。

まず、パナソニックの「VIERA」、ソニーの「BRAVIA」、三菱電機の「REAL」、シャープの「AQUOS」、日立の「Wooo」、東芝の「REGZA」のテレビブランドについて、それぞれのイメージを複数回答で尋ねたところ、「AQUOS」が「信頼できる」「先進的な」「洗練された」「トラディショナルな」の4部門で1位を獲得。一方、「BRAVIA」は「個性的な」「スタイリッシュな」「センスのいい」「デザインのいい」の4部門で1位となり、各テレビブランドの特徴が浮き彫りになる結果となった。
テレビブランドイメージランキング、総合1位はシャープ「AQUOS」

シャープの株価の推移は下図のようである。
Photo_2
私がAQUOSを買った頃から比べると、ほぼ半値である。

「国内液晶テレビの想定以上の急激な市場悪化が起こった。金額ベースで(前年同期比)20%台です」。片山幹雄社長は開口一番、主力の液晶テレビ「AQUOS」が置かれている悲劇的な状況について語り始めた。エコポイント需要によって支えられた一昨年の年末商戦から一転して、液晶テレビの売れ行きは激減し、頼みの国内マーケットの“底”が抜けたのだ。
 結果は黒字から一転、過去最悪の2900億円の最終赤字に転落すると通期見通しを変更。テレビや太陽電池、携帯電話事業も軒並み赤字になり、将来の利益回復を見込んだ繰り延べ税金資産1190億円の取り崩しを迫られた。

http://diamond.jp/articles/print/16087

要するに、エコポイントによる需要喚起があったが、そもそも家電商品のほとんどがさほど更新需要のないものであるから、とうぜん反動により需要は冷え込む。

直近で株価が100円以上(20数%)跳ね上がっているのは、台湾企業が資本参加して提携が発表されたからである。

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シャープは27日、EMS(電子機器の受託製造サービス)で世界最大手の台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業と資本業務提携すると発表した。鴻海グループがシャープ株の約10%を取得し、事実上の筆頭株主となる。液晶パネルを製造する主力拠点の堺工場(堺市)にも約46%を出資し、同工場の生産量の半数を引き取る。シャープは液晶パネルから薄型テレビまで一貫生産する事業モデルを転換。鴻海との国際分業でコスト競争力を強化し、経営再建を急ぐ。
シャープ、国際分業で再建急ぐ 鴻海が筆頭株主に

かっての輝かしい日本産業の旗手は、自力では浮上できないところまで追い込まれてしまったということなのだろうか?

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2012年4月 4日 (水)

「大飯原発再稼働」の政治判断?/原発事故の真相(24)

野田政権は、3日夜、関西電力大飯原発の再稼働を協議する会合を首相官邸で開催した。
野田首相は、休止した原発の運転再開の判断が分かりにくいとの指摘が多いことを踏まえ、「暫定的であれ基準を整備し、提示してほしい」と述べ、政府としての再稼働の基準を策定するよう指示した。

首相は冒頭「これまでの安全対策の実施状況など、全ての事実を徹底的に検証したい」と述べ、原発の安全性に関する論議を尽くして国民の不安を払拭(ふっしょく)する姿勢を強調した。ただ、大飯原発が再稼働した場合、安全性が確保できるかという議論をこの日は行わず、次回以降に持ち越した。首相の指示を受け、経済産業省原子力安全・保安院が基準案づくりに取り組む。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012040300918

一時期は、そのまま再稼働を認めてしまうような流れだった。
しかしながら、京都府、滋賀県などの広域的な地元からの反対が強く、さすがにそのまま押し切るのはマズイと考えたのだろう。

Photo_2 首相も3月11日の記者会見で、原発が立地する自治体への再稼働の説明について「私も先頭に立たなければいけない」と前向きな姿勢を示した。これに先立つ3月5日、枝野氏は衆院予算委員会の分科会で「安全確認ができたならば、少なくとも当面は原子力を使わせてほしい」と理解を求めた。
 政府は再稼働に前向きな姿勢だったが、地元や周辺自治体は反発。枝野氏は4月2日の参院予算委員会で「地元をはじめとする国民の一定の理解が得られなければ再稼働はしない」と述べ、地元理解を求める姿勢を強調し、沈静化を図った。首相が会合で、福島第1原発事故の知見を反映した新たな「暫定安全基準」を次回会合に提示するよう枝野氏に指示したのも、大飯原発が立地する福井県の要望に応え手続きをスムーズに進める狙いがあるからだ。
 ただ、京都府の山田啓二知事と滋賀県の嘉田由紀子知事は慎重姿勢を崩していない。関電の大株主である大阪市は株主総会で「全原発廃止」を提案する方針で、橋下徹大阪市長は「総選挙で決着をつけたらいい」と反対姿勢を強調する。橋下氏が代表の「大阪維新の会」は国政への進出を目指しており、政権としても無視できない存在になっているが、理解を得られる見通しは立っていない。
 原子力安全委員会の班目春樹委員長は「1次評価のみでは不十分」と主張しているほか、政府や国会の事故調査委員会の報告もまだ出ておらず、詳細な事故原因も明らかになっていない。理解を求める「地元」の範囲や、必要となる「理解」の程度も定まっていない。こうした状況で再稼働に踏み切れば世論の反発も必至だ。

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20120404ddm003040063000c.html

枝野経産相は、事故発生当時官房長官の職にあった。
不眠不休という状態を讃える声も多いようである。
しかし、広報の責任者として有能ではあるだろうが、誠実であったといえるだろうか?
フクシマ原発事故の状況について、結果的に不適切だったと言わざるを得ないことが多々ある。

たとえば、事故発生当初の段階で、深刻な印象をもたらすのを避けていたと思われる。
⇒2011年3月15日 (火):地震情報と「伝える力」
⇒2011年3月20日 (日):福島第1原発事故と放射線量の用語について
また、弁論に長けているとの自負からか、強弁も多い。
⇒2011年5月25日 (水):誰を信じればいいのだろうか?/やっぱり菅首相は、一刻も早く退陣すべきだ(35)

原発再稼働について、フクシマの教訓をどのように考えているのだろうか?

Photo_3  関西電力大飯原発(福井県おおい町)の再稼働をめぐり、枝野幸男経済産業相の発言が迷走している。2日の国会で「再稼働に反対」と大見えを切ってからわずか一晩、3日朝には「今日は昨日の段階と違う」と発言を事実上修正した。3日の閣僚会議では野田佳彦首相が暫定的な安全基準策定を指示し、再稼働に向けた局面の打開を図る動きに出たが、腰の定まらない担当閣僚の発言に地元は不信感を募らせている。
・・・・・・ 
 実際、枝野氏の3日の会見は軌道修正のオンパレードだった。「得心していない」としていた安全性については「関係閣僚会議を開くよう申し上げる段階になった」と、一夜で一定の納得をしたことを示唆。同意対象の拡大については他閣僚も火消しに躍起で、藤村修官房長官は「理解を得るべくしっかり説明するのが重要」と述べ、同意までは必要ないとの考えを示した。
 枝野氏は、2日と3日では「段階が違う」と強弁したが、変化したのは、枝野氏の一連の発言が再稼働を遠のかせたという現実だけだ。発言を修正したところで地元がすんなり納得するわけでもなく、滋賀県の嘉田由紀子知事は「『地元の理解』ということがどういう意味なのか、政府の考えをお聞かせいただきたい」との談話を発表した。
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/snk20120404083.html

野田首相が再稼働に積極的なのは、いかに繕ってみても伝わってくる。
それも、増税法案を通したいためだからである、といわれる。
経団連などの再稼働推進派イコール増税賛成派である。
野田政権は、末期的様相といわざるを得ないだろう。

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2012年4月 3日 (火)

AIJ投資顧問をめぐる闇(7)厚生年金基金の運用/花づな列島復興のためのメモ(46)

AIJ投資顧問による厚生年金基金の消失事件の解明はまだ緒についたばかりである。
しかし、今の段階でも、証拠を隠して下さいといわんばかりの強制捜査や、虚偽答弁をしても罰しませんよという国会の参考人招致などの様子を見ていると、被害者は泣き寝入りすることになるのか、と思ってしまう。

そもそも、わが国の年金制度は分かりにくい。
問題の厚生年金基金はどういう位置づけになるか?
よく、年金は「3階建て」になっているといわれる。
図を見ると分かりやすい。
Photo_3
http://allabout.co.jp/gm/gc/13256/http://top.nrkn.co.jp/dcnrk/whtas-dc.html

1階部分は、20歳以上60歳未満の国民が加入する義務がある国民年金(基礎年金)である。
2階部分は、在職中の給料額によって変動する厚生年金保険(厚生年金)(公務員の場合は共済年金)である。
3階部分が企業年金、すなわち企業が退職した従業員らに給付する年金である。

厚生年金基金は昭和41年にスタートした。
1つの企業、あるいはグループ企業や同種の企業ごとに設立される特別法人で、平成23年7月1日現在、588の厚生年金基金がある。
加入者は、厚生年金基金が設立されている企業で働く厚生年金保険の被保険者である。
基金ごとに独自の規約を作って運営される。

厚生年金基金がほかの企業年金と異なるのは、「代行部分」と呼ばれる年金を持つことである。
厚生年金基金は、国の厚生年金の一部を代行するとともに、企業独自の退職金制度を上乗せすることによって、より手厚い退職給付を行うことを目的としている。

厚生年金基金制度は、 一見「より手厚い退職給付を行う」のであって結構な制度に思える。
しかし、運用成績が悪くなると、あらかじめ決まっている給付額を支払えない可能性がある。
リーマン・ショック後の世界的な株安や為替の影響を受け、厚生年金基金はほとんどが資産を減らしている。
不足額を穴埋めできなければ、年金給付にも支障が生じる。

また、基金を解散するとなっても、最低責任準備金が必要となり、簡単には解散もできない。
厚生年金基金を解散する場合、国に代わり基金に納められていた厚生年金の保険料に相当する積立金(これを最低責任準備金という)を、全国の企業年金基金などが加盟する「企業年金連合会」に返還しなければならないが、その準備金のメドがついていない基金も多いという。

AIJ投資顧問は、以下のような運用をしていたらしい。
Aij
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20120306/229532/?ST=print

ケイマンに組成されたファンドにより、運用の実態がヴェールに包まれている。
⇒2012年3月30日 (金):AIJ投資顧問をめぐる闇(4)ケイマンによる「見えさる化」/花づな列島復興のためのメモ(42)
しかし、そもそも年金資産を「運用」することなど必要があるのだろうか?

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2012年4月 2日 (月)

AIJ投資顧問をめぐる闇(6)被害の構造/花づな列島復興のためのメモ(45)

AIJ投資顧問による多額の厚生年金基金消失問題について、私は、詐欺事件として立件すべきだと考える。
詐欺とは何か?
刑法では、詐欺罪について次のように規定している。

第二百四十六条  人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
 2  前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

つまり、詐欺は、「人を欺いて」ということが基本的な要件であるが、山崎和邦『詐欺師と虚業家の華麗な稼ぎ方 人はこうして騙される』中経出版(0511)は、詐欺のプロセスを次のように分解している。

詐欺の第一段階:詐欺をしようとする相手を欺くこと
⇒2009年5月 4日 (月):詐欺の第一段階としての錯覚誘導

詐欺の第二段階:被害者が「瑕疵ある意思決定」をすること
⇒2009年5月 5日 (火):詐欺の第二段階としての瑕疵ある意思決定

詐欺の第二段階:財物の受け渡しによるクロージング
⇒2009年5月 6日 (水):詐欺の第三段階としての財物の受け渡し

AIJ投資顧問の浅川社長の国会招致の際の問答は以下のようであった。

--いつの時点からだまそうと行動したのか
 「はっきり申しまして、だます気は全くありません」
・・・・・・
--公認会計士に運用報告書の改竄(かいざん)を依頼したか
 「私が水増しした数字を渡して作っていただいた。だますというのではなくて、水増しして今の状態を維持したかった」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120328-00000115-san-soci

浅川社長が「だます気はありませんでした」と強調するのは、「だます」ことが詐欺の要件であるからである。
しかし、人を欺こうという人が、「最初からだますつもりでした」とは言うはずもない。
「だますのではなく、水増ししただけだ」という。
普通は「水増し」していることを隠して取引することを、「だます」というのではなかろうか?

詐欺の被害者は、錯覚によって、だまされる。
巧妙な詐欺とは、被害者が「だまされた」と気がつかないようなものといわれる。

どうせ私をだますなら 死ぬまでだまして欲しかった  
西田佐知子「東京ブルース」

AIJ投資顧問の場合、浅川社長は、「だます気はなかった」けれど、運用報告書は「水増ししていた」というのである。
<加入者→母体企業→年金基金→AIJ投資顧問>という資金の流れを想定する。
なにをもって「だました」というかであるが、AIJ投資顧問が、「だました」側にいることは間違いないであろう。
それでは「だまされた」のは誰か?

被害に遭った年金基金は、AIJ投資顧問の被害者であると同時に、年金の母体企業と加入者に対しては加害者の立場でもある。今回の損失で引き起こされた積立不足(の拡大)は、第一義的には企業が穴埋めすることになるが、これは間接的に年金加入者の給料やボーナスに悪影響を与えるし、企業が負担し切れない場合に、損失が加入者の直接的負担になる場合もあり得る。年金制度は複雑で、AIJ投資顧問の被害者も誰なのか分かりづらい。
http://diamond.jp/articles/print/16455

年金基金も母体企業も、共に被害者であると同時に加害者でもある。
しかし、責任の大きさは、「年金基金>母体企業」であろう。
また次のようにいう人もいる。

AIJ投資顧問が年金資産2000億円の大半を消失させた問題では、運用を委託していた84の企業年金の約88万人に影響が出るというのが一般的な報道だった。新聞もテレビも複雑な年金制度を理解していないので、問題の本質をはき違えている。
・・・・・・
 この認識には大きな間違いがある。
 被害を受けるのは、たった88万人ではない。AIJが消失させた年金基金の一部は日本全国の3441万人のサラリーマンが加入する厚生年金が補填することになる。つまり、AIJにあなたの年金が喰われたことになるのだ。ただでさえ年金財政の破綻が迫っているのに、消失問題によってまた財政が苦しくなる。
http://news.nifty.com/cs/headline/detail/postseven-20120305-92417/1.htm

つまり、サラリーマン全体が被害者だというわけである。
「そんなバカな」と思うが、それは年金制度全体のしくみの問題ということになる。

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2012年4月 1日 (日)

AIJ投資顧問をめぐる闇(5)社保庁OBの役割/花づな列島復興のためのメモ(44)

AIJ投資顧問は、運用リターンの良さがウリだったという。
厚生年金基金は、年5.5%の利回りを前提として将来の給付を設定しているものが多いという。
私などのように、早々と企業年金に縁のなくなった人生を過ごしている者には羨ましいような数字である。

しかし、低金利の現在、現実に5.5%の実績を維持するのは容易ではないだろうと思う。
よほど運用に長けた人でないと、実現は難しいのではないか。
しかし、「100年安心年金」のキャッチコピーが生まれた制度改革も、こうした高利回りを前提としていたらしい。

一般的に難しい運用リターン水準。そこが、AIJ投資顧問の狙い目でもあったのだろう。
インチキの実績表を見せながら、高い利回りで釣っていた。
そんなうまい話があるとすれば、どういう仕組みなのか、自分で確認したくなるのではなかろうか。

AIJ投資顧問に運用を委託していた企業には、中小・零細が多いという。
当然、金融のプロなどいるはずもない。
そこで年金のプロであると思われる社保庁のOBを頼った。

 厚労省が民主党ワーキングチーム(座長・蓮舫参院議員)に調査報告を提出した。同省は09年5月時点の調査で399厚年基金に国家公務員OB646人が天下りしていたことを明らかにしている。
 これを今回と同じ71基金でみると、09年時点では53基金の役員に国家公務員OB53人が再就職。人数で4人、基金数で六つ減少したが、10年9月に長妻昭厚労相(当時)名で役職員を公募するように通知しながら、徹底されていないとみられる。

http://mainichi.jp/select/biz/news/20120323ddm041020058000c.html

報じられているところでは、これらのOBのネットワークが被害を拡大させたらしい。
社保庁OBといっても、年金事務には詳しいかも知れないが、資金運用は素人だった。
素人は素人なりにリスクヘッジを考えるが、彼らにとっては所詮他人の資金であり、たとえ損を出したとしても痛痒を感じなかったのだろう。

天下りの実態はどうか?
以下のような図がある。
Photo_3

Photo社保庁の天下りがこのような華麗な生活を送っているのではないのかも知れないが、平均的な像はどのようなものだったのか。
本件の場合、社保庁OBは左図のような役割を果たしていた。

 年金資産約2千億円の9割を消失させたとされるAIJ投資顧問(東京都)が2004年、旧社会保険庁OBが経営する年金コンサルタント会社(千葉県)と顧問契約を交わしていたことがわかった。
 コンサル会社は基金運用のセミナーを開催。AIJ社長らを「講師」として招く一方、各地の年金基金に再就職していた 同庁OBらにセミナーへの出席を呼びかけていた。
http://n-seikei.jp/2012/03/post-7104.html

彼らの存在がAIJ投資顧問にとって好都合だったことは否めない。
このツケは誰がどのようにして負担するのだろうか?

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