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2012年3月 6日 (火)

AIJ投資顧問をめぐる闇(2)/花づな列島復興のためのメモ(32)

AIJ投資顧問という会社が、主として国内の企業年金からの投資一任契約に基づいて預かっていた約2000億円の大部分を消失していた事件のウラ側に何があったのか?
単なる運用の失敗だけでは済まされない問題が含まれているようである
⇒2012年3月 3日 (土):AIJ投資顧問をめぐる闇/花づな列島復興のためのメモ(31)

状況的には、計画的に詐取したとしか思えない。
誰がどう関与していたか、実態の解明が待たれるが、消失した年金が返ってくる可能性はないだろう。
この事件が、例外的であることを祈る。

私が不思議に思うのは、企業年金の運用責任者はどのような評価基準でAIJ投資顧問を選択したのかということである。
同社のサイトを見る限りにおいては、大事な資産を預ける気にはならないだろう。
以下のような指摘もある。

AIJは、リーマン危機後に株価が急落した2008年が7~8%程度、東日本大震災でやはり株価が急落した2011年には5%程度と、高位安定した収益を上げていたとされるが、現在の金融理論からすれば、どうして市場が急落した時点でブレずに安定的な高収益が達成できるのかの説明がつかない。
なぜ、摩訶不思議な運用の実態についてのチェックが働かなかったのだろうか。
AIJのホームページを見ると、「会社案内」「地図」「事業内容」が記載されているだけで、それもすべての情報を合わせてA4 で1枚に満たない程度の開示でしかない。加えて、第22期事業報告書が付加されているが、スキャンした際だと思われるが、原本が斜めに傾いたままのPDFになっている。HPを見ただけでも通常の神経なら首を傾けたくなるのではないだろうか。
年金2000億円消失問題の本質は何か

企業年金側の事情としては、加入者に約束している給付を死守したいと考えるの は当然である。
AIJ投資顧問は、ファンドの私募投資信託の運用利回りについて2002年度に約35%、03~05年度に14~18%台、06年度以降には1ケタになるが5~9%になると謳っていたそうである。
低金利のご時世であるから、この利回りは魅力的である。
しかし、「うまい話には気を付けよ」というのも常識ではないか。

資金の運用を任せる側は、(1)なぜこのような高利回り運用が可能になるのか理由が理解できるか、(2)本当に高利回りが実現していることを裏付ける証拠があるか、(3)これは虚偽報告ではないのか、(4)そもそも本当にこんなに上手く運用できるなら、他人のお金を運用していることが不自然ではないか、といった疑問を抱くべきだった。
AIJ投資顧問事件、企業と個人への教訓

「運用」の実態はどうだったのか?
AIJは、平成22年の実績について、少額の資金で多額の取引ができる「デリバティブ取引」で取引高が約57兆円に達していたとする事業報告書を関東財務局に提出していたという。
金銭感覚が私などにはよく分からないが、関東財務局は提出されたものを受け取るだけだったのか?

新聞報道などによると、AIJは、実質的なグループ会社であるアイティーエム証券を通じてケイマン諸島に登記した3つの私募投信に年金資金を投資していた。
ケイマンに流れた資金は、実はそのほとんどが香港に流れていた模様であり、本当に運用が行われていたのかどうか。
運用を仮装した詐取ではないかと私は思う。
売買で反対の行動を選択していれば、AIJ投資顧問の損失を利益化できるであろう。
やましいところがなければ、ケイマンで実態を隠す必要はない。

この問題は、天下りの問題を抜きにしては考えられない。

AIJ投資顧問(東京)による企業年金資産の消失問題で、厚生労働省は5日、全国の厚生年金基金に天下りした旧社会保険庁(現・日本年金機構)など国家公務員OBの役職員が、2009年5月時点で646人に上ったことを明らかにした。当時あった614の厚年基金のうち399基金に国家公務員が天下っていた。646人の内訳は、理事など役員が466人、職員180人。厚労省は、さらに天下り職員の詳細な実態調査を進めている。
http://news.livedoor.com/lite/article_detail/6340485/

この天下り役職員のネットワークがAIJ投資顧問の営業チャネルとして機能していたのである。
「フザケルナ!」と言う以外の言葉が見つからない。

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