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2012年3月 5日 (月)

メルトダウンの認識と隠ぺい/原発事故の真相(19)

どうやら厚く垂れこめていたヴェールが剥がされつつあるようである。
フクシマ原発事故の発生当初、政府は「レベル4~5」の事故であると発表していた。
⇒2011年3月13日 (日):歴史的な規模の巨大地震と震災
その後、「レベル5」に引き上げられたが、海外メディアは、もっとシビヤーではないかという見方をしていた。
⇒2011年3月20日 (日):福島第1原発事故と放射線量の用語について

政府が、「レベル7=史上最悪」を認めたのは、1ヶ月後の4月12日であった。
⇒2011年4月12日 (火):福島はレベル7/やっぱり菅首相は、一刻も早く退陣すべきだ(5)
しかし、その推測は私のような素人でも疑わざるを得ないようなものだった。
⇒2011年3月15日 (火):地震情報と「伝える力」

そして、東電がメルトダウンを、しぶしぶという感じで認めたのは、さらに1ヶ月以上後の5月15日になってからであった。
⇒2011年5月16日 (月):フクシマの現状と見通しは?/やっぱり菅首相は、一刻も早く退陣すべきだ(30)
政府と東電は、事故をなるべく軽微なものとして発表しようとした。
そのため、深刻な事故の情報開示は常に遅れがちであった。

政府の事故調査・検証委員会の中間報告でも、公表遅れは「国民に対する情報提供として問題がある」とされたが、「公表遅れ」というよりも、やはり「組織的な隠ぺい」と言わざるを得ないだろう。
議事録不存在問題も、「無い」のではなく、「隠している」あるいは「発表できない事情がある」という見方が有力である。

SPEEDIの適時開示をしなかったことと併せ、作為的な情報操作といわれても仕方がないであろう。
⇒2011年9月11日 (日):政府による「情報の隠蔽」は犯罪ではないのか
⇒2011年9月21日 (水):黒塗り報告書は何を隠したのか?/原発事故の真相(8)

このような隠ぺいも限界がきたようである。
事故から1週間後には、経済産業省原子力安全・保安院のチームが、1~3号機の原子炉内の核燃料が炉心溶融したと分析していたことがわかった。

Photo原子炉格納容器内の放射線量を測る「CAMS」(格納容器雰囲気モニター)の数値。昨年3月15日には1、2号機で放射線量が急激に上昇し、格 分析したのは、保安院内にある「緊急時対応センター(ERC)」で昨年3月14日から活動を始めた「情報分析・対応評価チーム」。もともと想定されていたチームではなく、保安院企画調整課の要請で、経産省や原子力安全基盤機構などの有志約10人で急きょ結成された。従来の分析部署が緊急対応に追われるなか冷静に分析する集団が必要だという判断だった。
メンバーが注目したのは、東電から24時間態勢で送られてくる水位や圧力データ、納容器底部に燃料が溶け落ちたことをうかがわせた。ほかのデータの変化もあわせ、同18日午後2時45分の時点で、1~3号機ですでに炉心溶融が起きたと判断している文書が残されていた。

http://www.asahi.com/special/10005/TKY201203030630.html

事故直後に広報を担当していた保安院の中村幸一郎審議官は、3月12日の時点で「炉心溶融の可能性」に言及していたが、その直後、広報担当から外(さ)れた。
そして、原子炉の状態については、明確な説明がなされなくなった。

本来、政府に対して批判的であるべきマスコミは、奇妙な論理により政府擁護にまわった。
たとえば、「海水注入問題 原発に政局持ち込むな」と題する5月24日付の毎日新聞社説である。
菅首相(当時)が、海水の注入を中断させたか否かという問題に関して、次のように論じた。

論戦を聞いて、二つの疑問を持った。まずは、海水注入中断問題の位置付けである。すでに1号機については地震発生翌日の3月12日朝の段階で燃料の大半が溶融したとの推測が一般的になっている。その日夜に海水注入が55分間中断したことが、事態の深刻化にとってどの程度本質的なものだったのか。
もう一つは、菅首相が日本を代表する形で、サミットの場で世界に対し今回の原発事故の原因、今後の対策をまさに発表しようとする矢先に、その信頼性をいたずらに失わせるような議論をすることが、日本の国益上いかがなものかという点だ。
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20110524k0000m070153000c.html

海水注入の中断が問われた当時、公式見解は、炉心溶融はしていない、だった。
後付けで、燃料の大半が溶融していたことが分かったからといって、その時の対応が正しかったかどうかは無関係である。
あくまでその時点で得られていた情報でどうすべきだったかを検証しないと、教訓としての意味がない。
また、信頼性を担保するのは、正確な情報を適時開示することであり、隠ぺいしていたことこそ「信頼性をいたずらに失わせる」ものであろう。

改めて炉心溶融の情報を探していたら、以下のような動画があった。
独立行政法人・原子力安全基盤機構が、事故前に、原子力防災専門官向け資料として作成していた炉心溶融のシミュレーション画像である。
Photo_3
http://youtu.be/wwYk62WpV_s

以下のようなコメントが寄せられている。

津波を予想した人、必然と捉えていた人は多くいた­のに、政府や電力会社は全くとりあおうとせず無視し続けた、その­対応にこそ原因があります。津波対策の無視は、「対策し難い事象­や余りに被害甚大な事象についてはその事象自体を “想定不適当” “絶対に起こり得ない” として無視する」という、原子力推進の悪しき慣習(鉄則)が適用­されたよい例です。
http://www.youtube.com/watch?v=wwYk62WpV_s&feature=youtu.be

上記も後付けのコメントといえばそうであるが、上記の政府やマスコミの後知恵のレトリックとは違う。

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