AIJ投資顧問をめぐる闇/花づな列島復興のためのメモ(31)
AIJ投資顧問という会社が、顧客の企業年金資産約2000億円の大半を消失していたことが報道されている。
同社は、委託された資産を金融派生商品(デリバティブ)に投資し、その際ハイリスク・ハイリターンの「レバレッジ取引」を繰り返していたのだという。
運用損を埋めるため、リスクの高い取引を行っては失敗し、さらに損失を膨らませるという悪循環である。
同社は、租税回避地として知られる英領ケイマン諸島のファンドに資金を集め、英領バミューダの外資系信託銀行にいったん移したうえで、さらに香港の英国系銀行など複数の金融機関に分散させ、運用していたとみられる。
AIJ投資顧問とはいかなる会社か?
同社のサイトの会社概要は以下の通りである。
http://www.aim-ij.com/index.html
また、第22期事業報告書が掲載されているが、内容はともかく、体裁がお粗末であり、私なら大事な資金を預ける気にはならない。
同社の浅川和彦社長(59)は国内の大手証券会社出身で、オリンパスの損失隠し事件で逮捕された中川昭夫容疑者(61)ら指南役とされる同じ大手証券OBと関係が深かった。オリンパス事件ではタックスヘイブン(租税回避地)の英領ケイマン諸島に「飛ばし」を行って損失を隠したが、AIJもケイマンを通じて年金資産を運用。オリンパス事件と人脈、構図が重なるAIJ問題に捜査当局は関心を寄せる。
http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/120228/cpb1202282221006-n1.htm
同類が群れていたのだろう。
ケイマンは多数のペーパーカンパニーがあることで知られる。
実態を隠すのに好都合というわけだが、逆に、ケイマンと聞くだけで胡散臭い気がするのは、隠すべき資産を持たない者のひがみだろうか。
本来、「ハイリターン(高利回り)」のものは「ハイリスク」であるのが一般的だ。
したがって、ハイリターンを求めて資産運用をした結果が、目減りをしたこと自体は、自己責任の問題である。
しかし、AIJ投資顧問の場合、預り資産の大部分が消失していたとすればただ事ではない。
AIJ投資顧問は、どうやって契約を獲得してきたか?
AIJが契約していた84の年金基金のうち、中小企業が業種や地域ごとに作る「総合型」の年金基金は73あります。この総合型を中心に、旧社会保険庁や厚生労働省のOBが理事などの役職で天下りしていました。関係者によりますと、基金に天下りした幹部同士のつながりで、高い利回りをうたうAIJとの契約が広がったということです。
また、天下りした幹部のなかにAIJを事実上、紹介するまとめ役がいた可能性もあるということです。
http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/220302006.html
このまとめ役と見られる人物については、次のように報じられている。
旧厚生省(現厚生労働省)OBがAIJとコンサルタント契約を結び、企業年金側に「AIJは年金資産の運用委託先として有望」と仲介していたことが2日、分かった。これを機に複数の企業年金がAIJと契約していた。このOBが経営する年金コンサル会社の役員をAIJ役員が兼務していたこともあり、OBがAIJと一体となり顧客獲得の一翼を担っていた実態が浮上した。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120303/crm12030302070001-n1.htm
何のことはない。
ここにむ「ムラの構図」があったのだ。
企業年金は、年金制度の中でどのような位置づけにあるのだろうか。
http://www.shiruporuto.jp/life/nenkin/kigyo/kigyo102.html
つまり、企業年金は公的な年金にプラスして受けることができる年金である。
企業が任意で入るが、多くの企業年金が予定していた給付額を支払えない可能性がある。
AIJに限らず、現下の経済情勢においては、期待収益を上げることができているのは限られているであろうからである。
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