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2012年3月29日 (木)

2号機内部の内視鏡映像/原発事故の真相(23)

福島第一原発(フクイチ)の事故がわかりにくい1つの要因は、政府・東電等の発表が曖昧でタイムリーでないことである。
事故当初から、広報の要の枝野官房長官(当時)は、弁護士という職業柄か、言質を取られるような発言を避けるようとして、かえって本質を伝えるという本来の役割を果たさなかった憾みがある。
⇒2011年3月15日 (火):地震情報と「伝える力」
⇒2011年3月20日 (日):福島第1原発事故と放射線量の用語について

枝野氏のような話法、思考法を「東大話法」というらしい。
「週刊現代4月7日号」に、『平気で人を騙す「東大の先生たち、この気持ち悪い感じ」』という東大東洋文化研究所教授・安富歩氏の記事が掲載されている。
代表例として、枝野氏や西山英彦経産相審議官(当時)が挙げられている。
わが意を得た感じである。

フクイチは、6基の装置のうち、1~4号機が損傷しているといわれる。
そのうちの2号機の発表の仕方にはかねてから不審を抱かざるを得なかった。
⇒2011年10月 2日 (日):2号機の真実は?/原発事故の真相(9)
上記記事でも触れたが、東電の社内の公式見解は、「2号機は爆発していない」である。

今西憲之+週刊朝日取材班『福島原発の真実 最高幹部の独白』朝日新聞出版(1203)は次のように記している。

 東電が社内に設置した「福島原子力事故調査委員会」(委員長=山崎雅男副社長)の中間報告書(12月2日公表)では、2号機の水素爆発はなかったことになっている。爆発音の直後に圧力抑制室の圧力がゼロになったことについては、「計器の故障の可能性が高い」としている。
 確かに2号機は外観上、問題なく見える。しかし、フクイチの現場にいた私に言わせれば、3月15日に2号機で大きな「爆発音らしき音」がしたのは間違いない。そして、私は“爆発”の圧力が外部ではなく内部にかかったと見ている。つまり、外壁が吹き飛んだ1、3号機に比べて、2号機は内部の損傷が激しいということだ。
 2号機は、原子炉建屋内で爆発かそれに匹敵するものが起きたことで、1号機、3号機、4号機よりも難題を抱えているといえる。実際、2号機はほかよりも放射線量が高く、建屋内に入ることもできない。もちろん、溶けた燃料棒がどんな状態でどこにあるのかもつかめていない。内部の損傷が激しいということは、燃料棒がかなりの範囲に飛び散っていると容易に想像できる。

p138

 資材置き場を越えて見えてきた「2号機」は一見、まったく無傷のようだった。地震などによるひび割れも見当たらない。周囲の瓦礫も、ほとんどない。
 だが、この2号機の現状そのものが原子力行政の欠陥を雄弁に語るとは、皮肉以外の何物でもない。最高幹部はこうあかした。
「実は、内部はかなりの被害です。線量も高く、作業員が、中に入ることはできない」
 ブルーやオレンジのホースが大量に散乱していた。緊急の注水に使用されたものだそうで、泥だらけだった。

p159うち

26日、2号機の格納容器内部の映像が発表された。
工業用の内視鏡を使ったもので、2回目の調査であるが、容器内の水位が底から60センチしかないことが分かった。

Ws000000格納容器内の状態については、これまで温度計や圧力計の値、それにコンピュータ解析などによって推定するしかありませんでしたが、今回、2号機について、格納容器の貫通部から内視鏡を入れて直接、内部の様子を観察することができました。
高い放射線量などによって、鮮明な映像は撮影できませんでしたが、内部の様子が分かり、見た範囲では大きな損傷は見つからないなど、東京電力は一定の収穫があったとしています。
一方で、調査で判明した格納容器内にたまった水の水位は東京電力が予想していた3メートルに比べ、大幅に低い60センチほどしかなく、容器の中の状態をいかに把握できていなかったかを露呈しました。
・・・・・・
内視鏡による調査は、2号機と同じようにメルトダウンした1号機と3号機については、放射線量の高さなどから見通しが立っていません。
・・・・・・
エネルギー総合工学研究所の内藤正則部長は「水位が60センチだったことから、格納容器の破損した部分は、60センチより下に位置していると考えられる。原子炉を冷やすために注入している水がほとんどたまっていないことから、1時間当たり数トンの水が流れ出ているとみられ、格納容器かその下部にある圧力抑制室に一定の大きさの穴か隙間が開いていると言える」と指摘しています。
・・・・・・
また格納容器内部で最大で1時間当たりおよそ73シーベルトの放射線量が測定されたことについて「放射線量が水面に近づくにつれて高くなっていることから、水の中に溶け落ちた燃料がたまっていることの証拠だ。かなり高い放射線量なので今後、内部の作業のために使う機器などの放射線対策にも手間がかかるとみられ、廃炉作業はかなりの困難が予想される」と指摘しています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120327/t10014009041000.html

今まで、希望的観測ばかり聞かされてきた。
野田首相の「収束宣言」は、その最たるものといえよう。
東電自身、炉内の水の状況について、まったく見当違いであったのだ。
1回目の内視鏡による検査の状況について、今西氏らの上掲書には次のように記されている。

 東電は1月19日、初めて2号機の格納容器を内視鏡で調査し,その際に撮影した映像を公開した。東電は成果を強調した。
・・・・・・
 今回の調査で、2号機の内部が予想通り冷えていることがわかった。これは大きな成果だ。しかし同時に、予想が外れ、悲観しなければならないポイントがいくつも見えてきた。
 いちばんはっきりした問題は、内部の塗装が剥がれて錆びていることだ。ここまで劣化しているとは……。想像以上だった。

p153

1~3号機は炉心溶融事故を起こしているといわれるが、格納容器内で放射線量を直接測定したのは初めてである 

東電は27日、工業用内視鏡を格納容器の底部まで入れて8カ所で放射線量を測定した。底から約4.2メートルの場所で最高値の72.9シーベルトを記録した。
 事故後、福島第一原発で最も高い放射線量が観測されたのは、昨年8月に1、2号機の主排気筒付近の配管で観測された毎時10シーベルト超。ベントの影響で燃料の一部が漏れたためとみられるが、今回はそれをはるかに上回り、人が数分間浴びると死亡する値だ。
http://www.asahi.com/national/update/0327/TKY201203270702.html

格納容器内であるから当たり前かも知れないが、凄まじい線量である。
遠隔操作の機器も故障するおそれのあるという。
廃炉作業は難航することが予想される。
炉の状態や被害の全貌がわかっていない状況で、原発再稼働を急ごうとする人たちの考えが分からない。

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