あなたなら、どう判断するか? 光市母子殺害事件
光市母子殺害事件で、死刑とした広島高裁の差し戻し控訴審判決が確定した。
さまざまな意味で有名な事件といえよう。
かの橋下徹氏がTVタレントとして活躍していた頃、弁護団への懲戒請求をよびかけて、大問題になった。
結果は橋下氏の「負け」であったが、私はこの件については、橋下氏に理があったと考えている。
事件は、1999年(平成11年)4月14日に山口県光市で発生した凶悪犯罪。当時18歳の少年Aにより主婦(当時23歳)が殺害後屍姦され、その娘の乳児(生後11ヶ月)も殺害された(Wikipedia)。
もし、裁判員として、この事件に臨まなければならないとしたら、どう判断するだろうか?
私は、直観的に、「許しがたい犯罪であり、極刑に処すべし」と考えるだろう。
しかしながら、果たして死刑という判断を下してしまっていいものか?
小年Aは未成年である。
未成年者は、「少年法」で「成人」とは異なる扱いを受けているはずだ。
そこで、「少年法」を繙いてみる。
確かに、Aは「少年」に該当する。
それでは、基本的にどう考えるか?
そこで、第9条を参考にしつつ、量刑判断をしようとして、次の条文を目にすることになる。
18歳未満は特別扱いだけど、今の場合は18歳1ヶ月だから問題ない、か?
1ヶ月の差違が、死刑か否かを分けるのか?
18歳と18歳1ヶ月で何がどう違うのだろう?
そこで、「少年法」の目的に遡って、法律の趣旨を考えてみる。
イマイチよく分からない。
なぜ、18歳未満と20歳未満と区分けするのか?
そこで解説書を読むと、「少年に対してこのような規定をおくのは、未成年者の人格の可塑性に着目しているため」というようことである。
人格の可塑性?
プラスチックの世界では、熱可塑性と熱硬化性があって、熱可塑性は、熱を加えることによって柔らかくなるものだから、「人格の変わりやすさ」ということだろう。
確かに、若い方が一般に「可塑性」が高いということは言えるかも知れない。
しかし、18歳未満と18歳1ヶ月で大きな差違があるとは思えない。
人によりけりではないだろうか。
あれこれ考えるうちに、量刑は公平でなければ、と思う。
それで事例を調べると、「永山基準」というものがある。
日本の刑事裁判において刑罰として死刑を適用する際の判断基準とされる。
裁判員裁判でも、 2010年11月東京地裁で無期懲役の判決が下された耳かき店員ら殺害事件では、殺人罪などに問われた被告に、検察側から永山基準を論拠にした死刑求刑が行われた。
裁判員裁判では初の死刑求刑となり、結果として裁判員は死刑と判断したが、当該裁判長自身が控訴を進めるという異例の展開となった。
⇒2010年11月17日 (水):裁判員裁判の死刑判決と控訴を勧める裁判長
多分、私が裁判員だったら、疲労困憊してしまうだろう。
そして、どのような判断を下したにしても、後に引っかかって残るものがあるだろうなあ、と思う。
なお、本件に関しては、やはり死刑以外の選択肢はないと考える。
⇒2008年4月23日 (水):光市母子殺害事件判決の常識性
それにしても、時間がかかりすぎるような気がする。
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