防雪都市化はどこまで進んだか?/花づな列島復興のためのメモ(24)
記録的な豪雪が続いている。
私のように人生の生活圏が、本州中央部の太平洋側から出たことがない人間には、雪は、川端康成『雪国』などの影響で、何となくロマンチックな憧れを抱きがちである。
一面の銀世界!
しかし、実際に雪国に住んでいる人の苦労は筆舌に尽くしがたいものだろうと思う。
時には恐ろしい牙を剥く。
今回の豪雪でも、雪下ろし作業中に何人もの人が亡くなっている。
また、湯治の効能で有名な玉川温泉で痛ましい事故が起きた。
玉川温泉は、他の温泉地や観光地と異なり、療養・静養を目的とした湯治宿です。
1泊2食付きの旅館部と素泊りが基本の自炊部から構成されております。
国立公園地内また強酸性の温泉という特殊な環境にあるため、様々な規制などもございますが、是非一度効能溢れる癒しの温泉をお試し下さい。
http://www.tamagawa-onsen.jp/first/index.html
玉川温泉は、静岡県からも湯治に行くほど人気が高い。
私の知り合いも常連といえるほど行っている。
秋田県仙北市田沢湖玉川にある玉川温泉で1日、宿泊客3人が死亡した雪崩で、約95人態勢で現場を捜索した県警や消防などは2日、他に行方不明者などがいないことを確認した。
3人が宿泊していた旅館「玉川温泉」の工藤肇・常務取締役所長は2日、「硫化水素ガスや感染症の危険性は気をつけてきたが、雪は考えが及んでいなかった」と話した。現場は、旅館から約280メートルの国立公園内で、斜面から離れていることなどから、雪崩の危険性は分からなかったという。
県警捜査1課などは捜索とともに実況見分を実施、遺族や玉川温泉の関係者らから事情聴取した。雪崩発生が予見できたかどうかなどに関し、業務上過失致死容疑も視野に調べる。
http://mainichi.jp/photo/archive/news/2012/02/02/20120203k0000m040087000c.html
上記の記事によると、温泉関係者でも予想していなかったということだ。
つまり「想定外」の出来事であり、今年の豪雪はそれだけ凄まじいということだろう。
玉川温泉の雪崩は、表層雪崩と推定されている。
事故現場の状況から、専門家は固くなった積雪層の上に降り積もった新雪が崩れ落ちる「表層雪崩」が起きた可能性が高いと指摘する。春先などに下を流れる雪解け水の影響で積雪層全体が崩落する「全層雪崩」に比べ、滑り落ちる速度が速いため破壊力が大きく、発生場所の予測も困難なのが特徴だ。
http://www.sakigake.jp/p/editorial/news.jsp?kc=20120203az
http://www.pref.fukui.jp/doc/sabo/nadarebousai.html
私が某リサーチファームに転職しようとしたとき、仕事の内容をイメージするために見せてもらった資料の1つが、建設省(当時)から発注を受けた「防雪都市の調査研究」プロジェクトの報告書だった。
かれこれ40年近くなる昔のことである。
そのプロジェクトに興味をそそられたことも転職を決心した理由の1つであるが、防雪都市化は計画通り進んだのだろうか。
Googleで「防雪都市」を検索してみたら、413,000件ヒットした。
「&構想」で絞り込むと、12,300件である。
1976年3月1日の「あきた」(広報誌?)に、『防雪都市への道』というタイトルのグラフが載っている。
http://common.pref.akita.lg.jp/koholib/search/html/166/166_001.html
家族団欒とコタツとTV。
昭和の匂いが漂ってくるようだ。
この写真から35年経った。
しかし、災害は減るどころか、激化しているような気がする。
寺田寅彦が喝破したように、「文明が進めば進むほど天然の暴威による災害がその劇烈の度を増す」ということだろうか。
もちろん、秋田魁新報の社説の説くように、災害に対する究極の備えは個々人が行わなければならないだろう。
今冬の雪による死者は既に全国で50人を超えた。気象庁は、今後も東北から北陸の日本海側は大雪に警戒が必要だと注意を呼び掛けている。例年になく厳しい気象条件下では、住民一人一人が自ら身を守るという気構えを持って行動しなければ悲惨な雪の事故は防げない。
http://www.sakigake.jp/p/editorial/news.jsp?kc=20120203az
しかし、公として、雪害を防ぐ地域作りにもっとできることがなかったのか。
災害が起きる度に思う。
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