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2012年2月 5日 (日)

東京電力の補償をめぐって/花づな列島復興のためのメモ(25)

フクシマ原発事故に関し、東京電力の行うべき補償が円滑に進んでいないようだ。
1月31日付けのニュースである。

東京電力福島第一原発事故の賠償問題を巡り、政府の原子力損害賠償紛争解決センターの活動が正念場を迎えている。
業務開始から約5か月たつが、30日までに和解にこぎ着けたのは申し立てのあった747件のうちまだ3件。センターは今後、争点になりやすいポイントごとに賠償基準を順次公表する方針で、「基準がはっきりしてくれば、当事者間の直接交渉も進むはず」としている。
・・・・・・
申し立てられたケースでは、避難生活による精神的損害に対する賠償金の増額を求めるものや、東電が「国の避難区域の見直しが行われないと対応不能」としている避難区域内の不動産に対する賠償を求めるものが多いという。
紛争解決が進まない最大の理由について、センターの弁護士の一人は、「本人が直接申し立てるケースが予想外に多かった」と話す。弁護士などが付かない申し立ては全体の約8割。領収書類が整理されないまま提出されたり、損害を証明する書類がほとんどなかったりで、弁護士などが務める調査官が詳しく主張を聞き直さなければならないケースが多い。このため、解決に要する期間として想定していた3か月を大幅に上回るケースが出ている。
また、東電が、4月1日がめどとされる国の避難区域の見直しなどを見据えて和解案などへの回答を保留したり、同審査会が示した中間指針が触れていない項目については賠償に消極的な姿勢が目立つことも一因とされ、センター内には「東電はもっと主体的に賠償に臨んでもらいたい」という声もある。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120131-00000098-yom-soci

多様な問題が混在していると考えられるが、東電はなるべく補償額を抑えようとし、補償される側が可能な限り増額を望むという基本的な対立の構造がある。
たとえば福島県大熊町から都内に避難している住民が、住宅の補償を求めてセンターに仲介を申し立てていた。
東電はこれまで、除染方法が不明で損害の評価が難しいとして、住宅や自動車などの財産被害について賠償を明言していなかった。

この問題で、先月26日、東電が住宅などの賠償に応じると回答したが、東電は和解案の損害額以上の債務がないと住民側が認めることを条件としている。
しかし、慰謝料については、和解案が原子力損害賠償紛争審査会の中間指針に基づき策定した補償基準から50万円の増額を提示したのに対し、東電は拒否した。
住民側は、、「肝心なところをごまかされている。加害者としての意識がない印象だ」と批判している。

上記で見る限り、東電が、「和解案の損害額以上の債務がないこと」「和解案に盛られた慰謝料の増額を拒否」を条件としていることが住民サイドの不満の要因のようだ。
この点はどう考えられるか。
 

「和解案の損害額以上の債務がないこと」については、今までに例のない事案であることを考えれば、現時点ですべてを想定することを前提としている東電の考えはオカシイと言わざるを得ないだろう。
東電自体が、想定外の津波が原因であると言っているにもかかわらず、である。
もちろん、東電側としては、補償額を確定できないことには、今後の計画が立てられないという事情があろう。
しかし、避難を余儀なくされている人から見れば、時間の経過と共生活再建が難しくなる。
東電の言い分は、こうした事情を見透かしているかのようである。

「慰謝料の増額」についてはどうか。
金額は、補償基準から50万円の増額ということである。
本件だけなら、東電も拒否することはないと思われる金額である。
しかし、背後にどれだけの被害者が控えているか分からないので、拒否したのだと考えられる。

その他、風評被害などについても、合意には紆余曲折が予想される。
原因者は誰なのか?
被害の全体像はどう捉えるべきか?

いろいろな局面が考えられるが、基本的には東電は加害者である。
そして、国策として原発を推進してきた国も同様であろう。
加害者が補償額を決めるというのは、何となく釈然としない。

公共事業の補償も問題が多い。
八ッ場ダムがこれほどこじれた根本も補償のあり方に問題があったことが大きい。
成田空港もしかりである。
原発は限りなく公共事業的である。
石原新党が喧伝されているが、適正な補償が行われないと、石原氏らの強調している「愛国心」など、育ちようがないのではないかと思われる。

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