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2012年2月10日 (金)

地震の発生確率の伝え方②/東大地震研平田教授の意見

地震の発生確率とは何だろうか?
その含意を理解するのは難しい。
⇒2012年2月 6日 (月):地震の発生確率の伝え方
⇒2011年5月12日 (木):地震の発生確率の意味/やっぱり菅首相は、一刻も早く退陣すべきだ(26)

「週刊文春120216号」に、『東大地震研 平田教授の「正体」』というセンセーショナルな記事が載っている。
平田教授とは、「首都直下型 4年以内70% 地震活発 切迫度増す」という読売新聞記事で有名になった“渦中の人”である。
その平田教授が、週刊文春の取材に次のように応答したというところから記事は始まる。

「だからね、その数字に意味はないって何度も言っているでしょ。五年~七年というのも僕のヤマ勘ですよ、ヤマ勘!」

どういうことか?
世間をあれだけ賑わせておいて、「意味はない」とか「ヤマ勘」とは??
上記の「五年~七年」というのは、「最近のデータを加味すると、5~7年以内に70%の確率でM7が起こる」という「日刊ゲンダイ」紙のインタビュー記事のことである。

京大防災研の遠田晋次准教授の28%という再計算結果についてはすでに触れた。
⇒2012年2月 6日 (月):地震の発生確率の伝え方
この違いは、遠田准教授によれば、算出の基になるデータの期間の差異だという。
時間の経過と共に誘発地震は減っていくが、平田教授らは、3月11日~9月10日までのものだという。

私は、誘発地震が減っていくことを考慮に入れ、計算しているものだと思っていた。
読売新聞記事に関しては次のような注釈(クレーム?)が、地震研の広報アウトリーチ室のサイトに載っている。
主として「表現上の問題」についての指摘のようである。

  • 「同研究所の平田直教授らは(中略)マグニチュードが1上がるごとに、地震の発生頻度が10分の1になるという地震学の経験則を活用し、今後起こりうるM7の発生確率を計算した」という説明は正確ではない.正確には「地震調査委員会の『余震の確率評価手法』を東北地震による首都圏の誘発地震活動に適用し、今後誘発されて起こりうるM7の発生確率を計算した」.
  • 前記の正確でない表現により,結果的に島崎邦彦・予知連会長による「試算の数値は、今の時点での『最大瞬間風速』」というコメントも適切な表現になっていない.
  • 試算の対象である東北地震の誘発地震活動と,いわゆる首都直下地震を含む定常的な地震活動との関連性はよくわかっていないので,後半の平田教授のコメントのように両者を単純に比較することは適切でない.
  • 試算結果の数値に大きな誤差やばらつきが含まれている点について記述がない.

「「試算の数値は、今の時点での『最大瞬間風速』」というコメントも適切な表現になっていない」とある。
まあ、地震の発生確率と風速という速度とでは、そもそも次元(ディメンション)が違うが、その時点での最大値のことだろう。
と思っていたところ、今日発売の月刊誌の方の「文藝春秋3月号」には、平田直『首都圏大地震なぜ「4年以内に70%」』という文章が掲載されている。
その中に、以下のような文章がある。

「今後四年以内に七〇%」という地震発生の確率は、東北地方太平洋沖地震直後に急増した南関東の地震データを反映した、いわば“最大瞬間風速”の試算です。

???
地震研のサイトには、文責:大木聖子とあり、「文藝春秋」の記事は、構成:河崎貴一とある。
文章の責任が誰にあるかはともかく、私は、“最大瞬間風速”という表現(たとえ)が適切なのか否か、これでは理解できない。

平田教授は、続けて次のように書いている。

今後、東日本大震災の影響による南関東の地震が次第に収束していくなら、その確率は「今後三十年以内に七〇%程度」に限りなく近づいていくでしょう。

私(たち)が聞きたいのは、まさに今後「地震が次第に収束していく」かどうかということであるのだが……。
少し後では、次のように書いている。

しかし、「四年以内に七〇%」でも、「三十年以内に七〇%」でも、明日M七程度の地震が起こる確率が非常に高いことには何ら変わりがありません。

メディアを含め多くの国民は、「四年以内に七〇%」と「三十年以内に七〇%」では、切迫感がかなり「違う」と思ったから大騒ぎになったのではないか。
それを、「何ら変わりがありません」と言われても……、である。

なお、地震研のサイトでは、表現上の問題とは別に、以下のような説明もある。
確率計算自体の性質に対するコメントであろう。

  • 以下の酒井准教授ほかによる試算は,2011年9月の地震研究所談話会で発表されたもので,その際にも報道には取り上げられました.それ以降,新しい現象が起きたり,新しい計算を行ったわけではありません.
  • 上記の発表以外に専門家のレビューを受けていません.また,示された数字は非常に大きな誤差を含んでいることに留意してください.
  • 試算が示した東北地方太平洋沖地震の誘発地震活動と,首都直下地震を含む定常的な地震活動との関連性はよくわかっていません.
  • 当初から明言している通り,このサイトは個々の研究者の研究成果・解析結果を掲載したものです.このサイトに掲載されたからといって,地震研究所の見解となるわけではまったくありません.

全体的な印象は、「参考までに計算してみた数値」であって、「責任は持ち(て)ません」ということらしい。

週刊文春の上掲記事によれば、日本の地震研究の元締めは地震研であるが、地震研は阪神淡路大震災以後、予知よりも基礎研究に重点を置いてきた、という。
基礎研究と予知研究の関係がよく分からないが(普通、基礎研究が進めば、予知の精度も上がってくるのでは?)、東海地震が懸念されている静岡大学にすら、予知研究の予算が付いていないのだという。
原子力ムラと同様に、地震ムラも相当に閉鎖社会のようだ。

また、「4年で70%」という表現は、「防災意識を高める」ことに貢献した、という意見もあるようである。
しかし、「オオカミ少年」ということもあるのではないか。
不正確な危機情報が流通すると、かえってマイナスになると思うのだが。

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投稿: 小和田雅子は創価学会朝鮮人 | 2013年4月20日 (土) 05時46分

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