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2012年1月22日 (日)

野田内閣のSWOT

野田首相は内閣改造によって、政治課題推進体制を固めたといえるのだろうか?
朝日新聞の行った世論調査では、内閣支持率は29%(前回12月31%)、不支持率は47%(同43%)で、改造による政権浮揚効果は見られなかった。
Photo_2
http://www.asahi.com/special/08003/TKY201201140490.html

野田首相は、消費税増税に不退転の決意で取り組むといっているが、政権公約とのギャップについて、説得性のある説明は聞けていないような気がする。
これは私だけの印象ではなく、国民の多くがそう思っているのではなかろうか。
国民の賛否でも消費税率アップに反対とする意見が、大きく賛成意見を上回っている。
もちろん、世論に迎合して政策を判断することは如何なものかと思う。しかし現時点では、政権公約自体が世論迎合的だったのではないか、という思いが強い。総括はきっちりすべきだろう。

企業で事業の戦略を検討する場合、SWOTという概念が使われることが多い。
さまざまな要素をS(強み)・W(弱み)・O(機会)・T(脅威)の4つに分類し、マトリクス表にまとめることにより、どういう戦略が望ましいかを検討する。
Swot
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/Keyword/20070317/265494/

SWOTの視点で野田内閣を見るとどんなことが言えるか?
もっとも強み(S)といい弱み(W)といってもメダルの裏表的であって、同じものが強みにも弱みにも思えるのが普通の人間だろう。
たとえば、生真面目な堅物は融通が効かないだろう。清濁併せのむのも、程度の問題であり、時と場合によって、可の場合も不可の場合もあると思う。

特に政治の場合は、人によって様々な見方があるだろうが、とりあえず頭に浮かぶのは次のようなことであろうか。
S:党内融和、気配り、ドジョウ的腰の低さ
W:突破力がひ弱、政策の官僚(財務省)依存
O:衆院での与党の圧倒的多数
T:参院での与野党逆転、党の結束

たとえば、民主党の内部の不統一ぶりを、消費税と八ッ場ダムという2つの政策軸で示すと以下のようになる。
Photo_3
朝日新聞111225

野田首相は孤立しているように見える。事実、自分のグループの「数の力」はもともと小さい。
このため(かどうかは分からないが)、首相の女房役といわれ、内閣の要ともされる官房長官の存在感が著しく希薄のように感じられる。

野田内閣はじりじりと支持率を下げており、この先反転攻勢に出ることができるだろうか?
田中秀征氏は週刊ダイヤモンド・オンライン120112号で以下のような条件を挙げている。
野田政権が反転攻勢するための「4つの方策」
①消費税増税法案提出前に解散・総選挙で民意を問え
②数値と期限を明確にした具体的な行政改革案を示せ
③選挙制度の抜本改革案を掲げて各党が民意を問え
④TPP参加は例外品目・分野を掲げて総選挙で信を問うべき

詳細は割愛するが、いずれも具体案を示して民意を問え、ということだろう。
田中氏は次のように結んでいる。

首相は年頭に「私は、大義のあることをあきらめないで、しっかりと伝えていくならば、局面は変わると確信している」と述べた。残念ながら今の首相の主張ややり方には大義がない。このままでは、局面が変わらないどころか早晩、壁に突き当たることが確実だ。

内閣改造を機に首相は慎重姿勢から攻撃的なスタンスに舵を切るようである。
必要なのは攻撃よりも、説明を尽くすという姿勢ではなかろうか。

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コメント

hi!!!

投稿: Peest | 2012年2月 5日 (日) 22時31分

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