菊竹清訓氏と設計の論理/追悼(19)
建築家の菊竹清訓氏が亡くなった。
日本を代表する建築家で、建築運動「メタボリズム」をリードした菊竹清訓(きくたけ・きよのり)さんが昨年12月26日、心不全のため死去していたことが5日、分かった。83歳だった。葬儀は親族で済ませた。後日お別れの会を開く予定。
福岡県久留米市出身。早稲田大理工学部建築学科在学中から競技設計(コンペ)に入選するなどして頭角を現し、卒業後は竹中工務店などを経て、昭和28年に独立。33年完成の自邸「スカイハウス」(東京)で注目を集めた。その後、建築家の故黒川紀章氏や建築評論家の川添登氏らとともに新しい建築運動「メタボリズム(新陳代謝)」を提唱。「建築及び都市は、新陳代謝を通じて成長する有機体でなければならない」などと説いた。38年完成の「出雲大社庁の舎」(島根県)では芸術選奨文部大臣賞、日本建築学会賞を受賞し、高い評価を得た。
代表作に、大阪万博エキスポタワー(昭和45年)、沖縄国際海洋博アクアポリス(同50年)、銀座テアトルビル(同62年)、江戸東京博物館(平成5年)、ホテル・ソフィテル東京(同6年)、九州国立博物館(同17年)など。平成17年の愛知万博では総合プロデューサーを務めた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120105-00000527-san-soci
菊竹氏は上記記事にあるように、実作と理論の両面で活躍した。
特に、設計の方法論として提唱した「か・かた・かたち」の三段階論は、建築というジャンルを超えて影響を及ぼしたといえよう。
http://www.kikutake.co.jp/TOP/top.html
菊竹氏の三段階論は、武谷三男により提唱された科学的認識の三段階論の応用編である。
理論物理学、特に素粒子論はわが国が世界に誇る学問分野であろう。
敗戦後いち早くノーベル賞を受賞して国民に希望の光をもたらした湯川秀樹博士以来、朝永振一郎、小柴昌俊、南部陽一郎、小林誠、益川敏英などの多数のノーベル賞学者を輩出してきた。
その素粒子論研究の初期段階において、方法論的に方向付けをしたのが武谷三段階論であった。
すなわち、科学的認識は「現象論・実体論・本質論」の三段階を経ながら発展するが、現象論と本質論の間に実体論を置いたことが湯川博士の中間子論の形成に寄与したと評される。
武谷三段階論を基礎に、設計の論理の構築を試みたのが、菊竹氏の「か・かた・かたち」三段階論である。
菊竹三段階論は、メタボリズム・グループの方法論として、建築・都市計画の分野に大きな影響力を持った。
その概要は、『代謝建築論』彰国社(1969)によれば、以下の通りである。
人間は<かたち>を感覚で捉えることができる。
しかし、<かたち>をより深く知るためには、感覚を裏付ける知識による理解が必要である。理解はさらに<かたち>についての興味を通じて、その本質的な意味を考えるというところに拡大深化するであろう。
菊竹氏は、日本語の「かたち=かた+ち」、「かた=か+た」という語源的検討や、建築において、目的とか建築種別を越えて「かた」と呼ぶべき空間構造があるあるという認識を踏まえて、設計の論理を提唱したのである。
設計には認識と実践の2つのプロセスがあって、この2つが複雑にからみあって成り立っている。これを単純化すれば、認識のプロセスは、
<かたち> → <かた> → <か>
の三段階ですすみ、実践のプロセスは逆に、
<か> → <かた> → <かたち>
の三段階ですすむ。
感覚/現象/形態 … <かたち>/KATACHI
↓ ↑
理解/実体/技術 … <かた> /KATA
↓ ↑
思考/本質/構想 … <か> /KA
私は秘かにビジネススキルの方法論でもあると思っている。
たとえば、<か>はビジネスコンセプト、<かたち>はビジネスの具現化に相当すると考えることができる。
とすれば、<かた>は何か?
ビジネスモデル?
やはり、この中間段階をどう理解するかがキーのようである。
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コメント
コメントありがとうございました。
ここ数ヶ月、なぜかそちらのサイトに入れませんでした。
他にも何人か。
それで、もう一度再設定して、ようやく入ることが出来ました。
これからまとめて、この間の夢幻さんの過去BLOG見ます。
大変だぁ(笑)
投稿: kimion20002000 | 2012年1月 7日 (土) 19時14分