佐高信『電力と国家』①電力系統/花づな列島の復興のためのメモ(16)
電力なしに、われわれの生活は成り立たない。
それは文明の進歩の果実なのであって、フクシマ原発の事故があったからといって、あるいは政府・東京電力の事故対応が不満であっても、電力の重要性に変わりはない。
レーニンが電力の重要性について言っていたはずであるが、ここでは以下を引用する。
たしか、レーニンだったと思いますが、「社会主義とは鉄道と電力である」みたいな名言を残しましたよね。
レーニンは「社会主義」と言ったけど、これは近代国家としての生産力の基本要件が鉄道すなわち、安価で合理的で効率のよい公共交通インフラと電力すなわち安価で合理的で効率のよいエネルギーインフラである、と喝破したわけで、効率の良い近代国家を建設することこそが社会主義国家建設の、いちばん基本的な物質的条件である、という意味でしょ。
http://www.asyura2.com/11/senkyo115/msg/737.html
近代化の道はいろいろあり得るとしても、生産力の増強が必要条件であると思う。
蒸気機関の発明が産業革命をもたらしたように、電力による照明やモーターやさまざまな生活・生産用具の発展が今日の生活水準をもたらした。
われわれの生活の隅隅にまで電力は欠くべからざる役割を果たしている。
であるからこそ、電力の供給体制、すなわち発電と送電の仕組みは、国家にとって基本的な条件である。
Wikipediaの電力系統の説明を見よう。
電力系統(でんりょくけいとう)とは、電力を需要家の受電設備に供給するための、発電・変電・送電・配電を統合したシステムである。
日本では、10の電力会社がそれぞれ電力系統をもち、沖縄電力を除いた9電力会社の電力系統は近隣のいずれかの電力系統と接続されている。日本の商用電力のほとんどはこの巨大な電力系統に接続されている。50Hzと60Hzをつなぐ東京電力と中部電力接続など、いくつかの接続は直流を介しており、相互影響が少ないが、ある電力系統が不安定になることは、接続された他の電力系統に影響を与えうる。大陸では国境を越えた電力系統の接続も行われている。
つまり、レーニンは「鉄道と電力」と括ったが、わが国ではその発展の体制に違いがある。
鉄道(や通信事業など)のサービスが直接的な管理下でサービスが供給されてきた(日本国有鉄道や日本電信電話公社、郵便局)のに対し、電力は民営で行われてきた。
国鉄民営化は1987年、郵政民営化は2007年のことである。
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