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2012年1月13日 (金)

経済産業省審議官の法律感覚

経済産業省の元審議官が、インサイダー取引容疑で逮捕された。

経済産業省の審議官時代に、半導体大手「エルピーダメモリ」などの未公表の情報を入手したうえで株取引をしていた疑いが強まったとして、東京地検特捜部は12日、同省元審議官・木村雅昭容疑者(53)=資源エネルギー庁前次長、現大臣官房付=を金融商品取引法違反(インサイダー取引)容疑で逮捕した。
・・・・・・
木村元審議官は逮捕前の特捜部の聴取に対し、「すでに報道された公知の事実に基づいて株を購入しており、インサイダー取引にはあたらない」などと容疑を全面的に否定していた。

http://www.asahi.com/national/update/0113/TKY201201120757.html

木村氏が有罪か否かは今の時点では分からない。
とすれば、推定無罪という考え方を適用すべきであろうか?
そんなことはないだろう。厳しく断罪されるべきであると思う。

「公知の事実に基づいて株を購入」だから、「インサイダー取引にはあたらない」?
百歩譲れば、あるいは外形的にはそうも言えるかもしれない。
しかし、木村氏は当該企業に深く関わっていた人物である。

エル社はリーマン・ショックによる金融危機の影響などで業績が悪化。木村容疑者は経産省商務情報政策局担当の審議官として、エル社の再建計画に関与していた。関係者によると、木村容疑者は、いずれの株も正式発表後に売却し、計約200万円の利益を得たとされる。
木村容疑者は東大卒のキャリア官僚。19年7月から21年7月まで経産省審議官を務め、その後、資源エネルギー庁資源・燃料部長や同庁次長に就いた。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120112/crm12011214330013-n1.htm

東大(おそらくは法学部)で何を学んできたのだろうか。
エル社の再建計画とは次のようなものだった。

経営再建を目指す事業者が事業計画を作成して、国の認定を受けることで、税制面での優遇や金融支援などを受けることができる。平成21年4月の改正により、指定金融機関からの出資について損失が出た場合に政府系金融機関の日本政策金融公庫が一部補填(ほてん)をする制度が盛り込まれ、エルピーダメモリが同制度の適用第1号となった。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120113/crm12011300440003-n3.htm

お手盛りを通り越していて、何と表現すべきか適切な言葉を知らない。
普通の感覚ならば、自分が関わった案件の当該企業の株取引自体を控えるであろう。
このような人が出世街道を順調に歩む組織は腐っていると言うしかない。

かつて城山三郎氏の『官僚たちの夏』という小説を読んだことがある。
経産相の前身通商産業省の事務次官等を務めた佐橋滋氏をモデルにした小説である。
佐橋氏は、事務次官就任後も歯に衣着せぬ言動に、「佐橋大臣、三木次官」 とマスコミに揶揄されることもあった人物であるが、天下国家のために尽くすという官僚道(?)に殉じ、数多の天下り先を断って、政官界との関係は疎遠となったといわれる。

佐橋氏を見よ、というつもりはない。
ただ、数百万円のインサイダー取引で逮捕されるとは、余りにも侘びしすぎる。
経産相の審議官といえば、原発事故の説明役として一時テレビに頻繁に登場していた西山英彦という人物を思い出す人も多いだろう。
以下のようなスキャンダルで表舞台から消えていった人である。

2011年6月23日発売の週刊新潮において、経産省職員との不倫問題が大きく報じられ、この件について同日の記者会見で自分から「深く反省している」と謝罪した。また、海江田万里経産相からも厳重注意を受けた。その後、6月29日に原発事故の広報担当を更迭された。7月15日には大臣官房審議官(通商政策局担当)も外れ、官房付となった。同年9月30日には、原発事故発生後の3月から6月の間、勤務時間中に自室だった審議官室にて複数回にわたり30代の女性職員とのキスや、身体的接触を行うなどの不適切な行為があったとして停職1ヶ月の懲戒処分を受けた。
Wikipedia

審議官とはどういう役職か?

審議官しんぎかん)は、中央官庁における官職の一つ。身分国家公務員
審議官には
次官級、局長級、局次長級のものがあるが、共通することはラインから離れたスタッフ的な立場で政策を調整、取りまとめをする役目を持っていることである。いずれも指定職で民間企業では役員クラスである。
Wikipedia

大幹部というべきであろう。
こういう人たちを見ると、松永安左エ門が「人間のクズ」と呼んだのがもっとものように思える。
もちろん、官僚にもいろいろなタイプがいることは承知しているが。
法に触れるようなことをしてはいけない。小学生にも分かる理屈だ。
しかし、法に触れない範囲であれば何をしても構わないのか?
そここそが、人間としての評価が問われる部分ではなかろうか。

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コメント

西山元審議官は、処分もすでに受けているのですから
いつまでも、引き合いに出さなくてもいいのではない
かと思います。
インサイダー取引の木村さんは犯罪に手を染めたわけですが、西山さんは、木村さんとは、ぜんぜん話が違います。西山さんのしたことを不快に思う人はいるでしょうが、私は西山さんが悪いことをしたとは、少しも思いません。

投稿: りりか191 | 2012年1月20日 (金) 13時56分

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