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2012年1月25日 (水)

野田施政方針演説とブーメラン効果

野田首相が、衆参両院本会議で就任後初の施政方針演説を行った。
全文を読んだわけではないが、自公政権時代の首相演説を引用していたことが注目されている。

「与野党が信頼関係の上に立ってよく話し合い、結論を出し、国政を動かしていくことこそ国民に対する政治の責任だ」
演説の序盤、首相は力強く宣言したが、続けて「これは4年前、当時の福田(康夫)首相がこの演壇から与野党に訴えかけられた施政方針演説の一節です」と種明かしした。
首相が「政治生命をかける」とまで言い切る社会保障と税の一体改革。その話し合いに野党も応じてほしいという誘い水に、野党・自民党の元首相の言葉を用いた。
しかし、当の福田氏は「あのころを思い出すと、(民主党は)むちゃくちゃひどかったね。話し合うどころじゃなくて、すべて拒否された。反対、反対でね」と4年前を振り返った。首相の演説は、まさに「我田引水」だ。
首相は麻生太郎元首相の「持続可能な社会保障制度を実現するには、給付に見合った負担が必要だ」という言葉も引いたが、麻生氏の反応もつれなかった。
「いいとこ取りされて残念だ。拳闘用語でクリンチというんだが、抱きつかれているような感じだな」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120125/plc12012500270000-n1.htm

民主党が政権交代を果たしてから、鳩山、菅、野田と3人目の首相である。
前の2人が特にひどかったので、「3匹目のドジョウ」にも正直余り期待していなかった。
もちろん、評価は人によりそれぞれであろうが、たとえば以下のような結果がある。

日本経済新聞 電子版(Web刊)が有料・無料登録読者に戦後の歴代首相への評価を聞いたところ、吉田茂氏、池田勇人氏、中曽根康弘氏ら、長期政権を築いて実績を積み上げた首相が上位を占めました。一方、在任期間が短く目立った実績を上げられなかった首相への評価は低くなる傾向がみられました。
現首相の菅直人氏は下から5番目、前首相の鳩山由紀夫氏は同3番目で、いずれも政権交代直前の自民党政権の首相を下回りました。

http://echinacea.tea-nifty.com/verde/2011/01/com-bfc7.html

昨年の1月時点でのアンケート結果である。
東日本大震災への対応、とりわけフクシマ原発事故への対応を、全貌ではないものの知ってしまった現在では、菅氏の評価は下がりこそすれ上がるとは思えない。
このような事情を野田首相も認識していたのであろう。政権のスタートはまことに細心のものだった。
あちらに気を遣い、こちらに気を遣い、といった様子が見て取れた。

しかし、気を遣っているばかりでは難局は突破できない。
日本は、100年に1度といわれたリーマンショックから立ち直ろうと呼吸と体勢を整えようとしていたところに、東日本大震災が起きた。
史上稀にみるほどの難局といえよう。

そこで意を決したのであろう。
副総理に岡田氏を据え、消費税増税を含む社会保障と税の一体改革に政治生命をかけると公言した。
社会保障と税の一体改革は確かに、政権を担うのがどの党であっても避けて通れない課題である。
そのため野党が政権を担っていた時の首相演説を引用して、協力を呼びかけたのであろう。
ある意味、演説上手といわれる野田首相の面目と言えるかも知れない。

しかし、与党と野党の違いは、社会保障と税の一体改革では存在しなかったのか?
政権交代は、社会保障と税の一体改革以外の分野が争点だったのか?

私は、社会保障と税の一体改革のやり方についても、違いがあったと認識している。
政権交代を果たした2009年衆院選のマニフェストでは、以下のように言っている。
2009_2
http://www.dpj.or.jp/policies/manifesto2009

自分のところに帰ってくる現象をブーメラン効果という。
菅前首相は、ブーメランの名手であった。
⇒2011年5月30日 (月):王様は裸だ、いやガレキだとの声も/やっぱり菅首相は、一刻も早く退陣すべきだ(39)
野田首相も、ブーメランの使い手なのだろうか。

平成21年の衆院選の応援演説で、首相はこう語っている。
「マニフェストは書いてあることは命がけで実行し、書いていないことはやらないのがルール。書いてあったことは何にもやらず、書いてないことは平気でやるのではマニフェストを語る資格がない」
民主党マニフェストには「消費税増税」とは書かれていない。首相が3年前に放ったブーメランが、今国会中に首相に命中するかもしれない

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120125/plc12012500270000-n3.htm

マニフェストの誤りを認めるのか否か。
それは政権交代の正当性に係わる問題である。

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