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2012年1月26日 (木)

介護報酬改定の狙いと効果

社会保障審議会は、25日小宮山洋子厚労相に12年度の介護報酬改定案を答申した。

ホームヘルパーらが24時間いつでも高齢者の自宅に駆けつける「定期巡回・随時対応サービス」の新設など「施設から在宅へ」の方針を強化している。ただ、4月から65歳以上の平均保険料は月5000円を超えかねず、現在7・9兆円の介護費は25年度に16・2兆円へ膨らむ見通し。厚労省は「効率化」を優先しており、負担に見合うサービスとなるかは不透明だ。

Photo
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20120126ddm002010082000c.html

私はリハビリ専門病院に入院したとき、日本の近未来はこのような姿であるのだろうな、と思った。
高齢になるに従い、さまざまな障害がでてくる。
一過性のものもあるが、ほとんどは非可逆的である。
つまり、単純に言えば、社会の平均年齢が高くなればなるほど障害のある人間が増えることになる。
日本人の平均寿命が世界のトップクラスであることはよく聞くことであろうが、平均年齢はどうか?
下図のようなデータがある。

Photo_2
日本人平均年齢1980年は、32.6歳だったのが、1990年には37.4歳、2000年には40代を超え、2010年に44.7歳になり、2020年には48.2歳、2030年には51.4歳と50代を超えてしまう。
http://d.hatena.ne.jp/Syouka/20110816/1313516088

特に注目すべきは団塊の世代であろう。
1947~1949年生まれのいわゆる第1次ベビーブーマーは、現在62~64歳である。
20年後を考えてみれば、平均年齢は50歳を超え、介護を必要とする人間が相当数になっているであろうことは容易に察せられる。

介護報酬の問題点は何か?
上記のような介護需要の増大が想定されるなかで、特に重要なことは、介護需要の抑制とケア・ワーカーの増大であろう。
今回の介護報酬は、上記記事にあるように、「施設から在宅へ」の方針を強化しているのであろう。
介護が必要になっても、住み慣れた自宅で介護サービスが受けられるのは結構なことだと思うが、それに見合う人材は確保できるのか?
重労働低賃金で離職率が高いといわれるケア・ワーカーを、量的にも質的にも増やしていかなければならない。
ケア・ワーカーの労働条件と施設の経営とは、一般的にはトレードオフである。

また、介護を必要としない人を増やすことを図らなければ、マクロな介護費用は増大する一方である。
介護予防施策に力を入れるとともに、介護が必要な状態から不要な状態へのシフト、すなわちリハビリテーションの充実が望まれる。

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