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2011年12月27日 (火)

オリンパス経営陣の罪と罰

オリンパスに強制捜査が入り、巨額粉飾事件は新しい段階に入った。
名門オリンパスのブランドは少なからず毀損されたと考えるべきだろう。

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オリンパスの損失隠し問題が刑事事件に発展したのを受け、ブランド失墜による本業への影響が避けられない。すでに内視鏡事業では、一部の医療機関で購入を見送る動きが出ているほか、デジタルカメラでも消費者離れが進む可能性がある。決算訂正で財務基盤も大幅に悪化する中で業績が一段と悪化すれば、再建の足を引っ張るのは確実だ。再生に向け同社が切り札として検討する1千億円規模の増資の引き受け先企業の行方に注目が集まる。
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オリンパスの内視鏡事業は世界で7割のシェアを持ち、売上高の4割を占めるが、森嶌治人副社長は「これから何が起きるか分からない」と話す。
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財務基盤も業績の悪化でさらに弱まる見込み。同社の純資産は9月末で459億円と3月末に比べ6割減少しており、他社との資本提携を含めた資本増強が欠かせない状況だ。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/111221/biz11122121040035-n1.htm

今の時点では、不正の全容はまだ明確には分からないが、オリンパスの(旧)経営陣の罪は大きい。
取締役会は形骸化し、監査役や監査法人もその役割を果たしていたとは言えない。
⇒2011年11月 9日 (水):オリンパス経営陣は何を守ろうとしたのか?
⇒2011年11月13日 (日):コンプライアンスとCSRと権力

そこには原子力ムラと同じような仲間主義(同じことをしているもの同士がかばい合って、批判的な思考を封殺ないしは抑圧する)が見られると思う。
日経ビジネスオンライン誌に「社会を映し出すコトバたち」を連載しているもりひろし氏は、『2011年の新語十選-日常に潜む問題点が発露した1年』という記事で、次のように書いている。

十選の第2は「原子力ムラ」です。東京電力・福島第1原子力発電所の事故は、日本社会にエネルギー政策の再考を促しました。関連する言葉の中で筆者が特に注目したのが「原子力ムラ(村)」。原子力発電の推進に関係する様々な立場の人が、各々の利益を相補的に守りつつ秘密的・排他的にふるまう様子を「閉鎖的な村社会」に例えた言葉です。原子力ムラの一員とされるのは、原発推進の立場を取る政府機関・行政機関・学者・原子力関連の業界団体やメーカーなどです。

つまり、秘密的・排他的な利益共同体である。
不正が公然化するきっかけは外国人社長のウッドフォード氏、すなわちムラの外からやってきた異人によるものであった。
ウッドフォード氏は不審な構図を嗅ぎ取り、中心的な位置にいた菊川前会長と森前副社長の辞任を要求したところ、逆に取締役会で、社長、CEO、代表取締役の解任動議が出され、「全員一致」の賛成で解任されたという。
理由は「オリンパスの経営スタイルに合っていない」ということであり、菊川氏は「根回し」なしに、いきなり外部機関(ロンドンのプラスウォーターハウスクーパー会計士事務所)に事態解明の調査を依頼したことに、腹を立てていたと言う。

かつて「根回し」は日本的経営の特徴であり、意思決定を円滑化し、情報共有の点からもメリットがあると評価されていた。
オリンパスにおいても、「根回し」が重要な役割を負っていたのであろう。
しかし、特定の仲間内だけの「根回し」が、「秘密の共有」という効果を生んだと推測される。
「秘密を共有」した仲間の結束はより強くなるだろう。
そのコアのメンバーがどの範囲であったかは、今後の捜査資料の解明によって明らかにされるであろうが、取締役会メンバーの全員ではなかったようだ。
⇒2011年11月20日 (日):オリンパスにかすかに点った希望の灯

しかし、事情を知らされていなかった取締役も免責されるわけではない。
取締役には、善管注意義務や忠実義務などがあり、「知らないこと」自体がこれらに背くことであると考えられるからである。
1000億円以上の簿外債務に気づかないとすれば、やはり注意不足であったことは否めないと思う。
取締役の義務は会社全般に対するもので、自分の担当範囲に限られるものではないからである。

ウッドフォード氏が取締役会で全員一致で解任決議されたとすれば、各取締役はどういう根拠で意思決定したのであろうか?
中には、高山修一現社長も含まれる。
高山氏は自身の不正関与を否定しているが、「まったく知らなかった」ということであろうか。

監査役や監査法人は、監査によって、1000億円超の簿外債務を見過ごしたのだろうか?
とすれば、監査の仕組み自体を問い直すことが必要ではないか?

かねてから不思議に思うことは、東京地検の強制捜査が予告されて行われることである。
どうしても隠蔽したい資料があったとすれば、何らかの形で処理をしてしまう時間的な猶予を与えることにならないのだろうか。
それとも、隠しても暴けるという自信だろうか。

TPPの是非を巡って、さまざまな見解が表明されている。
俯瞰的にみれば、製造業は賛成で、農業などが反対のようである。
しかし、製造業の内実がオリンパスのようなものであったとすれば、国際的な競争力など砂上の楼閣のようなものではないだろうか。

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