天皇の公務について/やまとの謎(52)
現在の天皇については、制度的には、日本国憲法第1章で規定されている。
第一章 天皇
第1条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
いわゆる象徴天皇制であり、今上天皇は現憲法下の象徴天皇として即位した初めての天皇である。
天皇の公務にはどのようなものがあるか?
憲法第4条に規定されている。
第4条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
2 天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。
国事に関する行為にはどのようなものがあるか?
憲法上、天皇が内閣の助言と承認により行う形式的・儀礼的行為。法律などの公布、国会の召集、衆議院の解散、一定の官吏の任免の認証、栄典の授与など。内閣がその責任を負う。
http://www.weblio.jp/content/%E5%9B%BD%E4%BA%8B%E8%A1%8C%E7%82%BA
公務は大きく分けて次の3種類ある。
・国事行為
・公的行為
・その他の行為
天皇の公務に関して、という表現ではないが、宮内庁長官が女性宮家創設について発言したのも関連があるであろう。
⇒2011年11月28日 (月):天皇制と女性宮家問題/やまとの謎(50)
宮内庁長官の胸の内は推測するしかないが、天皇の公務負担の問題並びに皇位継承に対する危機意識があったのではないか。
一方で、皇位継承の当事者ともいえる秋篠宮が11月30日の誕生日に先だって行った記者会見で、天皇陛下の公務に関する意見を公にした。
--天皇陛下の公務に対して、定年制を設けたらどうかというような意見があります。殿下はどう思われますか
秋篠宮さま「私は、今おっしゃった定年制というのは、やはり必要になってくると思います。というか、ある一定の年齢を過ぎれば、人間はだんだんいろんなことをすることが難しくなっていきますので、それは一つの考えだと思いますけれども、じゃ、どの年齢でそういうふうにするか。やはりある年齢以降になると、人によって老いていくスピードは変わるわけですね。だから、それをある年齢で区切るのか、どうするのか、そういうところも含めて議論しないといけないのではないかと思います」
http://sankei.jp.msn.com/life/news/111130/imp11113007290002-n2.htm
天皇の「公的行為」は、植樹祭や国体への出席、海外の賓客の接遇など数多くある。
今上天皇はつとに開かれた皇室を心がけてこられたが、東日本大震災という国難に際して今日における天皇の意義=象徴天皇のあり方、についての1つの解を示されたと思う。
先頃は体調を崩されて入院という事態を迎えたが、退院後早速大震災で殉職した消防団員の慰霊式典に臨席された。
天皇陛下は午前10時半、皇后さまとともに、東日本大震災などで殉職した消防団員などの慰霊祭の会場に到着し、祭壇に深く頭を下げ、席に着かれた。
両陛下は、黙とうをささげたあと、祭壇に花束を供え、再び頭を深く下げられた。
東日本大震災では、226人の消防団員らが、住民の避難誘導などの際、津波に襲われ死亡したということで、慰霊祭には、遺族などおよそ700人が参列した。
両陛下の出席は、陛下の体調を考慮して、式典の一部の十数分間だったが、退席の際には遺族に丁寧に言葉をかけられた。
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00212506.html
天皇陛下の公務は年齢と共に増える傾向にあるという。
宮内庁の09年発表によると、昭和天皇の74歳の時と比べ、東京都内や地方への「お出まし」は約2・3倍になっていた。
「公的行為」に当たる災害被災地慰問にも即位後の両陛下は心を尽くしてきた。東日本大震災後は、7週連続で被災者らの見舞いをハードな日程でこなした。今月の入院に際し、宮内庁は「疲労が相当蓄積し、お身体(からだ)の抵抗力が低下している」と説明した。
http://mainichi.jp/select/wadai/koushitsu/news/20111130ddm041040085000c.html
秋篠宮の「定年制」言及には、このような事情があるが、「定年制」という表現には違和感もある。
制度的にも上皇は想定されていない。
女性宮家の議論が始まったようだが、公務の削減の方が喫緊の課題ではないだろうか。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 藤井太洋『東京の子』/私撰アンソロジー(56)(2019.04.07)
- 暫時お休みします(2019.03.24)
- ココログの障害とその説明(2019.03.21)
- スキャンダラスな東京五輪/安部政権の命運(94)(2019.03.17)
- 野党は小異を捨てて大同団結すべし/安部政権の命運(84)(2019.03.05)
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 藤井太洋『東京の子』/私撰アンソロジー(56)(2019.04.07)
- 内閣の番犬・横畠内閣法制局長官/人間の理解(24)(2019.03.13)
- 日本文学への深い愛・ドナルドキーン/追悼(138)(2019.02.24)
- 秀才かつクリエイティブ・堺屋太一/追悼(137)(2019.02.11)
- 自然と命の画家・堀文子/追悼(136)(2019.02.09)
「やまとの謎」カテゴリの記事
- 元号と改元と日本建国/やまとの謎(125)(2019.01.10)
- どんどん焼き・左義長/やまとの謎(124)(2019.01.07)
- 今上天皇在位最後の誕生日/やまとの謎(123)(2018.12.23)
- 沼津市が「高尾山古墳」保存の最終案/やまとの謎(122)(2017.12.24)
この記事へのコメントは終了しました。

コメント