今年の漢字は、「絆」
「今年の漢字」は、「絆」に決まった。
まあ、大本命だったといえよう。
ことし1年の世相を漢字ひと文字で表す「今年の漢字」が、京都の清水寺で発表され、東日本大震災などを受けて、家族や仲間など、身近でかけがえのない人との絆を改めて知ったことなどを理由に、「絆」が選ばれました。
「今年の漢字」は、京都に本部のある日本漢字能力検定協会が、毎年、その年の世相を表す漢字ひと文字を募集して選び、発表しています。ことしはこれまでで最も多い49万通の応募があり、最も多かった「絆」という字が選ばれました。京都市東山区にある清水寺では、森清範貫主が、たっぷりと墨をつけた筆で、大きな和紙に「絆」の字を一気に書き上げました。「絆」を選んだ人たちは、東日本大震災で生きる希望を見失いそうになったときに、さまざまな人との絆で助けられたこと、震災で世界や日本に絆が広がり、お金では買えない大切なものがあると感じたこと、サッカー女子ワールドカップで日本代表のなでしこジャパンが優勝し、チームの絆を感じたことなどを理由に挙げているということです。日本漢字能力検定協会によりますと、ことしは東日本大震災を受けて字を選んだ人が多く、2番目に多かったのは震災の「災」、3番目は同じく震災の「震」だったということです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111212/t10014573011000.html
「3・11」は、日本史に残る大きな出来事であった。
したがって、「今年の漢字」が「3・11」との関係で選ばれることはごく自然なことと言える。
住友生命が行っている「創作四字熟語」の入選作品にも、「帰路騒然(理路整然)」や「天威無法(天衣無縫)」など、甚大な被害をもたらした東日本大震災関連のものが入選している。
「絆」とは、人と人の結びつきを意味する。
人と人の結びつきの代表は、家族であろう。
我が国の少子高齢化のスピードは急である。
⇒2009年1月 3日 (土):モデルなき人口減少社会に向かって
⇒2010年10月22日 (金):国勢調査と人口減少社会
その結果、さまざまな歪みが生じている。
考えられないような幼児虐待のニュースには胸を締め付けられる。
また、親の死亡届を出さずに、不法に年金を受給してたなどというニュースもあった。
つまり、家族の絆が弱まっているとも言われる。
⇒2010年8月25日 (水):“家族の絆”は弱まっているか?
大震災は家族の絆を再認識させるものでもあった。
⇒2011年3月23日 (水):震災を耐え抜いた家族の絆
また、震災前から、家族の絆が弱くなっていると言われる一方で、タイガーマスク現象に見られるように、家族を超えた絆が生まれつつあった。
⇒2011年1月12日 (水):出口の見えない菅政権と民主党解党という選択肢
菅政権のままで大震災を迎えたのは二重の不幸であった。
菅前首相の仕事として、数少ない評価できるものとして、浜岡原発の停止要請がある。
しかし、その判断の根拠やプロセスには疑問なしとしない。
スタンドプレー臭が強すぎるのだ。
同様の臭いが、「絆」の文字の海外向け広告からも感じとれた。
⇒2011年5月 7日 (土):唐突に浜岡原発の運転中止要請/やっぱり菅首相は、一刻も早く退陣すべきだ(23)
人は孤立しては生きていけない動物である。
高度な社会の構築こそ人間の証明であろう。
人という字が、2人が支えあう形から来ているということもいわれる。
東日本大震災を契機として、新しいライフスタイルの模索が始まったように思う。
それは、どのような絆を形成するかということと同じことであろう。
「今年の漢字」は、今年の世相の表現であると同時に、長期的な課題の表現でもある。
不易流行の1つであろうか。
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