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2011年12月 9日 (金)

北朝鮮からの脱北者にどう対応するのか?

政権交代後、拉致問題に対する取り組みに真剣さが薄れているような気がする。
「拉致」という現代のこととは思えない犯罪が、国家によって行われてきたのだ。
政治体制を論じる以前の、人道的な問題であり、政府は全力を尽くすべきだと思うが、たとえば菅前首相の姿勢は国民の願いを裏切るものであった。
⇒2011年7月22日 (金):拉致問題への菅首相の係わり
⇒2011年8月 1日 (月):次第に明らかにされていく菅首相の献金疑惑の闇
⇒2011年8月30日 (火):菅首相の無神経な最後の指示

野田首相は菅前首相とは違うだろうと思ったが、雲行きが怪しくなってきた。
中国の日本公館に保護を求めた北朝鮮からの脱北者の扱いをめぐり、日本政府が中国側に「誓約書」を出したと報じられている。

日本政府が今年初め、中国政府の求めに応じ、北朝鮮からの脱出住民(脱北者)の保護について「中国の国内法を尊重し、脱北者を公館外から公館に連れ込まない」と誓約する文書を提出していたことが7日、分かった。
複数の日本政府関係者が明らかにした。北朝鮮に配慮する中国の圧力に譲歩し、中国での脱北者保護を事実上断念したものだ。
政府関係者によると、同文書は、中国遼寧省瀋陽の日本総領事館で2008~09年にかけて保護された脱北者5人の日本移送をめぐる交渉で提出された。脱北者を「不法な越境者」とする中国側が出国を認めず、足止めが約2年~2年8か月と長期化。日本側は事態打開のため昨年末、「脱北者を保護すべきでない」とする中国側の主張に「留意する」と口頭で伝えた。
中国外務省は軟化したが、公安当局が難色を示し、「これまでに脱北者が日本に渡ることを認めた中国側の対応を評価する。今後は公館外からは連れ込まない」との趣旨を文書化するよう迫られた。提出後、保護されていた5人は、5月までに日本への出国が認められた。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111208-OYT1T00063.htm?from=main5

これに対し、藤村官房長官は8日午前の記者会見で、文書提出の事実関係については「明らかにすることは控える」と明言を避けた。
政府は平成18年に制定した北朝鮮人権法(拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律)に基づき、脱北者問題を「人権侵害問題」として、在外公館などで脱北者を受け入れてきた。
玄葉外相は8日の参院外交防衛委員会で、誓約書の提出は「絶対にあり得ない」としたものの、詳細については「安全やプライバシー(の問題)があるので、具体的事案のさまざまなやりとりを申し上げるのは差し控える」と言葉を濁した。

文書提出の事実関係を「明らかにすることは控える」とはどういうことか?
内閣のスポークスマンが説明から逃げているとしか思えない。
玄葉外相も歯切れが悪いと言わざるを得ない。
野田首相はどう向き合おうとしているのだろうか?
消費税の問題にしろTPPの問題にしろ、肝心な部分の説明を避けているような印象を受ける。

多田富雄さんは、『生命の意味論』新潮社(9702)の著作で知られる医学者であるが、2001年に脳梗塞を発症し、リハビリ制度の改善に向けて活動していた。
⇒2010年7月30日 (金):多田富雄さんのリハビリテーション期限撤廃運動/中間報告(10)
2010年に亡くなられたが、脳出血に罹患した鶴見和子さんとの往復書簡集『邂逅』藤原書店(0306)は、息を飲むようなやりとりの記録である。

驚いたことに、多田さんは、能の創作も手がけられていた。
その作品の1つに『望恨歌』がある。朝鮮人の強制連行の悲劇を、残された妻の「恨」の想いの視点から描いたものだという。
拉致の問題と強制連行の問題は通底している。非人間的な行為によりもたらされた悲劇である。
民主党政府が、中国に阿って、いささかなりとも後退した立場に立つことは許されないことである。

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