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2011年12月 8日 (木)

日米開戦の戦略と戦術/花づな列島復興のためのメモ(13)

真珠湾が三重県にある、と本気で思っている若い人がいるそうだ。
70年前の今日(アメリカ時間では12月7日)、日本はアメリカに奇襲を仕掛けた。

Yesterday, December 7th, 1941 -- a date which will live in infamy -- the United States of America was suddenly and deliberately attacked by naval and air forces of the Empire of Japan.
・・・・・・
The attack yesterday on the Hawaiian islands has caused severe damage to American naval and military forces. I regret to tell you that very many American lives have been lost. In addition, American ships have been reported torpedoed on the high seas between San Francisco and Honolulu.
Yesterday, the Japanese government also launched an attack against Malaya.
Last night, Japanese forces attacked Hong Kong.
Last night, Japanese forces attacked Guam.
Last night, Japanese forces attacked the Philippine Islands.
Last night, the Japanese attacked Wake Island.
And this morning, the Japanese attacked Midway Island.

http://public-domain-archive.com/speech/speech.php?target=9

奇襲を受けたF.D.ルーズベルト(第32代アメリカ大統領)の「パールハーバー演説」の一節である。
聞き取りにくい(私のヒヤリング能力だけでなく、音源が悪いこともある)CDを聞いていて、改めて認識したことがある。
1つは「the Empire of Japan」という表現である。
私の生まれる以前のことだけど、当時「大日本帝国」と称していたことは知っていたが、Empireだったことを改めて実感した。

もう1つは、Malaya、Hong Kong、Guam、Philippine Island、Wake Island、Midway Islandと畳みかけていることである。
真珠湾攻撃が決して偶発的なものではなく、周到に用意されたものであることを示そうとしたのだろう。
宣戦布告が遅れたことの原因についてはいろいろ言われているし、ルーズベルトは奇襲を知っていて敢えて攻撃させたという説もあるが、日本が同時多発的に攻撃を仕掛けたのは事実である。

日本国民の大多数は緒戦における「大きな」戦果を喜んだ。
新聞の論調も以下の通りであった。Photo
http://www.asahi-net.or.jp/~uu3s-situ/00/sennsou.sinbun.html

今日的評価はどうであろうか?
戦術的成功であって戦略的失敗などと言われる。

第二次大戦で日本軍がハワイの真珠湾を奇襲したのは有名ですが、これは戦術のレベルです。
実はアメリカ大統領のルーズベルトは暗号解読によってこの奇襲を事前に察知していたそうです。
しかし彼はあえて日本軍の攻撃を防御しませんでした。
彼はこの事件によってヨーロッパで行われている戦争に介入反対だったアメリカ国民の世論を一気に介入賛成にする事に成功しました。
また、旧式だった太平洋艦隊の艦船を日本軍が沈めてくれ、しかも世論も味方に付けたため一挙に最新式の艦船を多数建造することもできたのです。
このことによってルーズベルトは結果、日本との戦争に勝つことができたと言われています。
このレベルが戦略ではないでしょうか。

http://okwave.jp/qa/q40113.html

確かに“Remember Pearl Harbor”を合い言葉として、アメリカ国民は日本を卑怯だとし、日本に対する敵愾心を増幅していった。
しかし、そもそも戦争に守るべきルールがあるのだろうか?
原爆投下は合ルールなのか?

開戦時、日本の戦争計画はどのように考えられていたか?
相澤淳『太平洋戦争開戦時の日本の戦略』(http://www.nids.go.jp/event/forum/pdf/2009/04.pdf)によれば、1941年11月15日、「対米英蘭蒋戦争終末促進に関する腹案」が大本営政府連絡会議において採択された。
言い換えれば、「腹案」レベルしか持たないまま開戦に踏み切ったのである。

真珠湾攻撃の焦点が、山本五十六聯合艦隊司令長官であった。
海軍は伝統的に、大艦巨砲主義、戦艦主兵論だったが、山本は航空主兵論であった。
米国海軍相手の作戦としては、先ず空襲を以て敵に痛撃を与えること以外に勝機はないと考えたのである。

Photo_2
戸高一成『山本五十六こそ失敗の象徴』中央公論2012年1月号別冊

軍令部(上位組織)の反対を押し切って、山本の主張に基づく「帝国海軍作戦方針」は11月5日に天皇の裁可を受けた。
「作戦方針」は、まず戦争遂行上不足する資源地帯を確保して、長期的自給自足態勢に入ることを企図していた。
資源確保をするための奇襲攻撃であったはずである。

ところが、アメリカの長期的なポテンシャルをおそれた山本は、戦線拡大となるミッドウェー作戦を強く求めた。
軍令部は反対の意向だったが、真珠湾で「大きな」戦果を上げた山本に押し切られる。
結果は、ミッドウェーで主力空母4隻を失い、敗戦へのターニング・ポイントになった。

仮にミッドウェーで敗れなくても、戦争に勝利することはあり得なかったであろう。
現在から振り返ってみれば、「開戦すなわち敗戦」であった。
だから開戦責任(避戦できなかったこと)が第一に問われなければならないだろう。
同時に、ヒロシマ、ナガサキへの原爆投下まで終戦の意思決定できなかったことが犠牲を甚大なものにした。
日本国におけるグランドデザインの欠如であるが、70年後の現在も似たような状況ではないだろうか。

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コメント

英語には時制 (tense) がある。
現在・過去・未来の世界を独立して考えることが可能になる。
日本語には時制がない。現在の世界しか考えられない。ナウな感じがする。
過去は幻、未来は夢として語られる。幻・夢は、その内容が不確かである。
未来構文を使って描く非現実は理想となる。希望がわく。
現実構文を使って描く非現実は空想となる。ウソッパチ。
理想の持ち主は、現実を批判できる。具体的な改善策を提案できる。
空想の持ち主は、現実を非難できない。歌詠みになる。空白の時が流れる。
意思は未来構文を使って語ることができる。成案ができる。能動的になる。おせっかい。
未来構文がなければ、意思が表せない。腹案ばかり。他力本願・神頼みするしかない。受動的にとどまる。座して死を待つ。

http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/
http://page.cafe.ocn.ne.jp/profile/terasima/diary/200812

投稿: noga | 2012年1月10日 (火) 15時11分

パール・ハーバー 奇襲攻撃 で プログ検索中です
洋画 パール・ハーバーを 見ました。ビーチで 遊んでいる 若者 家族の上を 飛ぶ ゼロ戦~。日本のやった 汚い 恐ろしい 戦争。ふいうちに 殺された人々。ホタルの墓という映画を 見ました。原爆投下前のアメリカの予告~。日本の指令は~。
映画同好会(名前検討中
戦争という破壊 殺人 もう2度と 起こして 欲しくないです。未来のロボット 乗り物 住宅 衣類 食べ物 ~ どうなっていくかなぁ
政治研究会(名前検討中

投稿: 村石太マスク | 2013年1月26日 (土) 12時44分

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