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2011年11月25日 (金)

オウム真理教事件と知的基礎体力(?)

オウム真理教に関連する裁判が終結した。
阪神淡路大震災で何となく世の中が騒然としている時に、地下鉄車中でサリンを撒くという暴挙に出た。

1995年6月から始まったオウム裁判は、すべて終結した。
オウム裁判は終結したが、事件には多くの謎が残されている。
1995年に起きた国松孝次・元警察庁長官銃撃事件は2004年7月に、警視庁の元巡査長らを逮捕したが、不起訴に終わり、昨年3月、公訴時効を迎えた。同庁はその際、「教団による組織的テロ」とする捜査結果を公表したが、未解決に終わっている。
95年4月に教団の村井秀夫幹部(当時36歳)が刺殺された事件では、現行犯逮捕された男(46)に犯行を指示したとされる元暴力団幹部の男性(64)の無罪が確定。捜査当局内には、「単独犯とは考えられない」との見方が依然強いが、背後関係は判明しなかった。
一方、高橋克也(53)、平田信(46)、菊地直子(39)の3容疑者は地下鉄サリン事件などで特別手配中で、生存しているのかどうかもはっきりしない状況だ。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111121-OYT1T00852.htm

いったいオウム真理教とは何だったのか?
余りにも謎が多すぎる。
警察のトップが狙撃され、容疑者が逮捕されたにも拘わらず、結局は真犯人は分からずじまい。
教団の最高幹部が刺殺された事件も、逮捕された容疑者は結局無罪。真犯人は分かっていない。
外国の謀略機関のダミーだという説もある。
大震災による社会不安に乗じて、さらに混乱を増幅させようという意図だということである。
もちろん真偽は不明である。

この教団の特徴として、理系の高学歴者が多いことが知られている。
一部を抜粋してみよう。

・青山吉伸:京都大学法学部
・村井秀夫:大阪大学理学部物理学科→大阪大学大学院
・早川紀代秀:神戸大学農学部→大阪府立大学大学院
・中川智正:京都府立医科大学
・遠藤誠一:帯広畜産大学→京都大学大学院
・土谷正実:筑波大学農林学類→筑波大学大学院
・豊田亨:東京大学医学部
・富永昌宏:東京大学理学部→東京大学大学院
・廣瀬健一:早稲田大学理工学部応用物理学科
・林郁夫:慶應義塾大学医学部
・上祐史浩:早稲田大学理工学部電子通信学科→早稲田大学大学院
http://2chcopipe.com/archives/51436508.htmlより

彼らのように、学力において秀でていると思われる人間がなぜ簡単にマインドコントロールされてしまったのか?
たとえば、富永昌宏は、高校時代(灘高)、3年連続で「大学への数学」誌の学力コンテストで全国1位になったというし、青山吉伸は在学中に司法試験合格している。
相当な秀才であったことは間違いないだろう。

私はリハビリ入院中に聞いたドクターの説で考えたことがある。
⇒2010年5月 2日 (日):「恐竜の脳」の話(2)オウム真理教をめぐって
毎日新聞社の牧太郎氏(サンデー毎日の編集長等を歴任)は、この問題の原因を「知的基礎体力の欠如」と表現している。

裁判が本格的に始まってから16年余り。何人も殺害され、何千人も傷ついた。起訴され、裁きを受けた被告は189人。13人に死刑。戦後最大級の事件だった。
でも、これは教祖の麻原彰晃(本名・松本智津夫)死刑囚(56)の超個人的な犯罪である。僕は、死刑になった弟子たちも被害者だった! と思う。
彼らが犠牲者になったのは、彼らが知的基礎体力を持っていなかったからだ。ごく普通に考えれば「インチキ」と気づくのに、その判断が出来なかった若者。
高度の教育を受けた彼らは知的基礎体力を持たないバカだった。バカだったから、悪魔の大量殺人に加担した。
「信教の自由」という言葉に騙せれて「麻原」を許した行政も、警察も、マスコミも知的基礎体力に欠けていた。

http://www.maki-taro.net/index.cgi?e=1585

しかし、「知的基礎体力」とはどういうもので、どうすれば身につくのだろうか?
ネットでこの言葉を検索していたら、菅前首相のサイトがヒットした。

知的基礎体力
2004年2月29日 00:00
オウム判決などに触発されて、「知的基礎体力」の欠如が話題になっている。政治議論においてもワンフレーズと一瞬の映像を巧みに操るテレビ人間、小泉総理の登場で、まともな議論が成り立たなくなっている。日本のマスコミの「基礎体力」の欠如も甚だしい。かつてブレア首相が来日した時、同行のイギリス人記者が「あなたの手は血に汚れているのではないか」と質問し、ブレア首相は青ざめた。小泉総理を青ざめさせるような日本人記者の質問を聞いたことが無い。

http://www.n-kan.jp/2004/02/post-813.php

他人の批判に終始していて、自省の言葉がないのはこの当時からの特徴である。
「知的基礎体力」とは何か?
基礎体力に知的をつけたような言葉だが、 両者はどういう関係にあるのか?
基礎的な力と基礎体力はどう違うのか?
牧氏のサイトでも菅氏のサイトでも、わざわざ体力という言葉を使う必然性がよく分からない。

文脈からすると、「柔軟に幅広く状況に応じて判断する力」のようである。
つまり教養?
たとえば、教養学部をWikipedia は次のように説明している。

教養学部は特定の学問の枠にとどまらず、人文科学・社会科学・自然科学の領域を広く横断的に取り扱う学部である。特徴として一般にリベラル・アーツ文理融合を標榜している場合が多い。学際的な研究もなされるが、課程において必ずしも学際的な分野を専攻するというわけではない。

わざわざ知的基礎体力などという分かったような分からない言葉を使う必要はないだろう。
オウム信者に共通しているのは、自分で判断をすることを放棄し、他者の判断に身を委ねてしまっていることではないだろうか。

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コメント

各凶悪犯罪に深く関わった信者の、氏名と共に公表されたその高学歴を聞いた時は、本当に唖然となりました。
~ ~ が、ということは、今、粛々と官僚の役に就いている人達の中にも、非社会的な人、犯罪を犯してしまう人は居る と、推察されてしまうと思います。

よど号事件のメンバーにも、高学歴者がいました。 日本だけではないのかもしれませんが、高い知能や専門的な特殊技術を習得した者達による、とんでもない事件は、まるで、予知は難しいけれど、ある間隔をおいて発生する地震、天災のように、この人間社会には、時折存在しています。

防災と同じように、高学歴者への警戒、予備知識、対応策などを、国家として練っておく、というようなことが社会には必要なのではないでしょうか・・・・。

投稿: 五節句 | 2011年11月26日 (土) 11時02分

五節句様

コメント有り難うございます。
高学歴者が犯罪者になってしまうのは、やはり根本は教育の問題ではないかと思います。
では、どう変えればいいか、というとなかなか解は見つからないのでしょうが。

> 防災と同じように、高学歴者への警戒、予備知識、対応策などを、国家として練っておく、というようなことが社会には必要なのではないでしょうか・・・・。
効率至上主義ではなく、ある種の「遊び」が社会には必要だと思います。

投稿: 夢幻亭 | 2011年11月27日 (日) 18時54分

週刊ポスト2/25号
驚愕スクープ!第1弾
麻原側近幹部Xが初めて告白
消えた「オウム金塊と現金7億円」これが全真相だ
http://www.asyura2.com/sora/bd5/msg/462.html
週刊ポスト3/3号
麻原側近幹部Xが初告白!第2弾
麻原が村井に命じた徳川・武田埋蔵金発掘マル秘計画
http://www.asyura.com/sora/bd5/msg/524.html

オウム真理教の無刻印金塊と金丸信
http://oriharu.net/gabana_n/kin/kin-oumu.htm

強制捜査で教団の金庫から七億円の現金と共に十キロの金塊が見つかっている。その金塊は無刻印で金丸信事件と同質と思われている。出所は北朝鮮ではないかとの報道も流れた。実行部隊のトップ早川「建設大臣」は93年から頻繁に北朝鮮を訪れていた。
「北朝鮮の中央銀行はロンドンのゴールドマーケットに認められた刻印をもっている。可能性はないかと言われれば分からないが、無刻印のままでは流通性がなくなる。いずれにせよ正規の流通ルート以外から手に入れたものだろう」(田中貴金属工業)
「北朝鮮からと言うのは材料不足。話としては面白いが短絡的だ。しかし、市場流通性がない無刻印金塊を所持していたのが、ともに山梨に関係する金丸、オウムだったという点には、何らかの意味が有ろう。
山梨、とくに甲府は宝飾産業のメッカなので、工業用として入ってきた可能性もある」(アジア国際通信、神保隆見氏)
オウムは無刻印金塊を何処から手に入れ、何に使おうとしていたのか。
【参考『月刊現代・1995年七月号』88頁「オウム事件13の謎」より抜粋】

投稿: | 2015年11月17日 (火) 08時27分

http://lizliz.tea-nifty.com/mko/2009/06/post-dc42.html

オウム埋蔵金1週間前の記事で恐縮ですが 時事ドットコム より

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009061000890
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オウム隠し資産を発見=アジト天井裏に245万円-被害者に返還へ・警視庁など

 東京都昭島市のマンション一室で、オウム真理教の隠し資産約244万7000円が見つかったことが10日、警視庁公安部などへの取材で分かった。オウム真理教犯罪被害者支援機構を通じ、被害者への配当財源に充てられるという。

 同機構理事長の宇都宮健児弁護士は「まだ隠し資産が眠っていたことに驚いている。ほかにもあるなら正直に申告してもらい、被害者救済に役立てたい」と話している。

 捜査関係者らによると、隠し資産は今年3月、風呂場の天井裏で見つかった。黒いポーチの中に、現金が封筒5通に分散して入っており、核シェルター販売会社の名刺も見つかったという。

 部屋はワンルームで、信者だった女性の名義で1996年12月から2000年8月にかけて契約。アジトとして使われたとみられる。

 03年4月、元教団幹部がマンションを訪れ、管理人に連絡先を記載した名刺を示し、「数年前に部屋に忘れ物をした。入居者が部屋を出たら教えてほしい」と依頼。当時は別の女性が入居しており、転居後に管理人が天井裏を確認したところ、現金が見つかったため、遺失物として同庁昭島署に届け出た。(2009/06/10-18:39)

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被害者とその親族、 関係者の方々からすれば、 実に腹立たしい話だろう

あるいは、 あきらめとか、 無関心とか、、、 そのような感情をおもちになるのだろうか

投稿: | 2015年11月17日 (火) 08時29分

約244万7000円を置き忘れるって・・・

投稿: | 2015年11月17日 (火) 08時34分

自民党金丸氏がパイプ役? オウムと北朝鮮をつなぐ「金の延べ棒」疑惑
https://dot.asahi.com/wa/2012092601342.html?page=1

 特別手配犯の菊地直子容疑者、高橋克也容疑者の逮捕により、節目を迎えたオウム真理教事件。かつて、1989年8月の「宗教法人」認証を巡って、教団による政治家への働きかけがあったと、まことしやかに語られた。さらに、教団の覚醒剤密輸疑惑に絡み、教団と北朝鮮のパイプも指摘され、その二つの話が交わった点に、ある大物政治家が浮上した。

 それは、中曽根・竹下両内閣などを支え、政界のドンと呼ばれた金丸信・自民党元副総裁である。オウム真理教は地下鉄サリン事件直後、95年3月に教団施設の強制捜査を受けた。そこで、捜査当局は静岡県富士宮市の教団総本部の金庫から、現金約7億円と金の延べ棒約10キロ(約1千万円相当)を発見した。その「金の延べ棒」がカギとなっている。

「通常、金は製造番号などが刻印されている。この延べ棒は無刻印で北朝鮮産だった。ところが、脱税事件で金丸氏の事務所から見つかった延べ棒も無刻印だったことから、金丸さんとオウムを結びつける話が浮上したのです」

 と言うのは、教団をよく知るジャーナリストだ。

 金丸氏は90年に自民・社会両党代表団の団長として訪朝し、金日成主席と会談して国交正常化交渉開始への端緒となった。

「そのときに金丸氏は金主席から金の延べ棒を受け取り、その一部がオウム側に流れたとされた」(前出のジャーナリスト)

 さらに、元教団幹部の井上嘉浩死刑囚が当時つけていたとされる、捜査当局に押収された「井上ノート」には、金丸氏についてこんな記述があるという。

〈政界の根回し役と北朝鮮のパイプ役として起用〉

 金丸氏は教団の思惑どおりに"起用"されていたのだろうか。同氏は96年3月にこの世を去った。真偽は闇に消えたままだ。

※週刊朝日 2012年6月29日号

投稿: | 2018年6月24日 (日) 04時47分

投稿: | 2018年6月24日 (日) 04時49分

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