龍谷ミュージアム/京都彼方此方(3)
私の高校時代の友人が、新設された龍谷ミュージアムの初代館長に就任した。
彼の小学校時代からの仲間10人余の中に紛れ込んで、一緒に見学に連れて行ってもらった。
龍谷ミュージアムは、インドでの仏教の誕生からアジアへの広がり、日本の仏教の展開までを視野に入れ、仏教を中心とする文化財を広く公開することを通じて、仏教文化への理解を深めてもらうとともに、学術研究を推進し、その成果を社会に発信することを目指しています。
http://museum.ryukoku.ac.jp/museum/concept.html
西本願寺の正面に位置している。
前面は堀川通りである。
洒落た外観の建物の設計は日建設計による。
歴史ある街並みと調和のとれた端正な外観。外壁の簾は、セラミックルーバーであり、デザイン性は見た通りで京都らしさを演出しているが、同時に外壁を太陽光から守り、館内温度の上昇を抑える省エネ機能を備えている。
地下1階、地上3階建てで、約1,000㎡の展示室と約500㎡の収蔵庫を備えている。
京都市の景観条例で高さの制限(15m)があるため、地下1階を設けたそうである。
仏教の起源から現代の仏教までを概観できる展示内容を予定しているという。
今年は親鸞没後750年という節目の年である。
龍谷ミュージアム自体がその記念事業の1つであるが、開館記念展示として「釈尊と親鸞」をやっている。
館長自らによる展示の解説を聞くという贅沢なツアーであった。
圧巻は、ベゼクリク石窟寺院の原寸大復元展示であろう。
ベゼクリク石窟寺院は中国・新疆ウイグル自治区のトルファン郊外にある。
ベゼクリクとは、ウイグル語で「絵のあるところ」という意味だそうだ。
荒れ果てた寺院を目にして、各国の探検隊は壁画を自国で保存する決断をした。
貴重な文化財の保護の行為は、一方で散逸でもある。
かの大英博物館の収蔵品も、世界中から収奪(?)したものという見方もできる。
龍谷大学は、文学部や理工学部など全学的な協力体制で、世界各地に散らばっている断片を統合して再現した。
極彩色の壁画が石窟を飾っていたことを想像すると、幻想的な思いに駆られる。
龍谷大学というと仏教系というイメージが強いが、今や8学部9研究科を擁する総合大学である。
五木寛之さんが一時仏教史を聴講していた。
龍谷ミュージアムの開館記念講演会の基調講演を五木さんが行った。我々が訪ねたのはその直前であったが、4000席の会場が短時間の予約で埋まったそうである。
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