アシモの動きをリハビリに応用できないか?/闘病記・中間報告(36)
ホンダが、二足歩行ロボット「アシモ」を4年ぶりに改良して、8日発表した。
実にスムーズで細やかな動きである。
アシモの開発は、いかに人間の動作を再現するかを目指して行われたという。
ロボットという言葉はチェコの作家カレル・チャペックの造語である。
チェコ語の「rebota=働く」に由来するといわれる。
⇒2010年5月23日 (日):「恐竜の脳」の話(4)山椒魚
動作は基本的に脳によってコントロールされている。
脳細胞の壊死した脳血管障害患者が後遺症に悩まされるのも、脳の回路が失われてしまっているからで、それ自体は再び回復することはない。
リハビリによって獲得できるのは、代償的な回路であるといわれている。
ロボットは人間の動作を再現しようとして開発される。
だとすれば、ロボットの研究から脳の仕組みの一端が理解できるのではないか?
そういう視点での研究も進んでいるらしい。
⇒2010年6月30日 (水):ロボットによる脳進化の理解
特に、運動と認知機能が劇的に発達する生後9カ月の時期に乳児がどんな感じ方をするか、どんなふうに好奇心を持つかなどを調べるシミュレーションのための乳児型ロボット=Nobyさえ開発されている。
開発責任者の大阪大学大学院の浅田稔教授によれば、「人間の学習・発達メカニズムの深い理解につながる」のではないか、と期待される。
⇒2010年6月27日 (日):赤ちゃんロボットと認識の発達過程
アシモはすでに、身体障害者から見れば、羨ましいほどの運動能力を獲得している。
とすれば、ロボット開発に際して工夫された諸技術をリハビリに応用できないだろうか?
例えば、手指で物を操作することは、健常者にとってはごく単純な動作であるが、麻痺者にとっては難しい動作である。
NHKの放送で大きな反響を呼んだ川平和美鹿児島大学教授は『片麻痺回復のための運動療法―促通反復療法「川平法」の理論と実際』医学書院(1005)で次のように書いている。
手指と肩の細やかな運動を支える高い情報処理を行う運動野と、それを伝える運動性下行路が必要となる。
私の場合、指を広げることが未だに困難である。
今年の年初に、今年中に何とかジャンケンができるようになりたいと願った。
⇒2011年1月 4日 (火):ジャンケンができるように-今年の目標/中間報告(19)
残念ながら現況では目標未達で終わりそうである。
指が肩や肘の運動と分離できない。
自然な動きのためには、指、肩、肘の運動の分離が必要なのであるが、アシモは自然に行っているように見える。
あるいは、走る、という行為ができない。
赤ちゃんは、2足歩行ができるようになると、いつの間にか小走りしている。
走ることも、下肢のさまざまな部位が協調と分離を精妙に行っているはずである。
人間の動作をまねるロボットをまねることによって、麻痺から回復できないか?
アシモの走る姿を見て、依然として走ることができない障害者の素人考えではあるが、少しでもリハビリに活用できれば社会的意義は大きいであろう。
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