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2011年11月26日 (土)

無残な老害と化した権力者-渡辺恒雄会長兼主筆

清武前ジャイアンツGMの渡辺恒雄読売新聞グループ本社代表兼主筆批判により始まったジャイアンツの内紛は、清武氏の解任ということで、第1幕は終わった。
⇒2011年11月13日 (日):コンプライアンスとCSRと権力
⇒2011年11月21日 (月):ジャイアンツ清武代表の解任と球団経営の革新
わが身に引き寄せて、身の処し方について思いを致した企業人も多いのではないだろうか。

それにしても、プロ野球の危機も極まったかのような騒動といえよう。
日本シリーズなど無関係と言わんばかりのジャイアンツ関係者の言動に、多くの人が眉を顰めている。
「球界の盟主」などと思っているのはとんだ勘違いである。

社会派経営学者・北矢行男氏が『プロ野球の経営学―個人と組織を100倍面白くする』東洋経済新報社(9204)で次のように警鐘を鳴らしてからすでに20年近い。

12球団だけが持っている権利と義務のうち、自社に有利に事を運ぶ権利だけを行使し、プロ野球を支えるファンの立場に立って、絶えず、ファンが喜ぶような面白くて迫力のあるゲームを提供するという肝心かなめの義務のほうは、どこかに忘れ去っていたのではないだろうか。

その典型がジャイアンツであり、最も露骨に、「自社に有利に事を運ぶ権利だけを行使し」てきたのが、渡辺恒雄氏であるのは、衆目の一致するところだろう。
渡辺氏の姿は、老害化した権力者の無残な滑稽さとしか言いようがない。
「渡辺氏の球団私物化は今に始まったことではない」と奇妙なレトリックで清武氏を批判するコメントも見られたが、そのこと自体が異様である。
清武氏も悪いというような批判をして、渡辺氏の醜悪さを相対化してみせるような論調もあるが、鳥瞰的に見れば渡辺氏が絶対的に権力を持っていることは明らかである。

渡辺氏のジャイアンツとの関わりをWikipedia(111121最終更新)で見てみよう。

渡邉が巨人軍の経営に参加するようになったのは、読売新聞社副社長時代の1989年に球団内で組織された最高経営会議のメンバーに選ばれてからである(他のメンバーは務臺光雄(同社名誉会長)・小林與三次(同社社長)・正力亨(巨人軍オーナー))。1991年に務臺が死去した後しばらくは沈黙していた渡邉だったが、務臺の一周忌が済むとその発言が徐々に球界に強い影響力を及ぼすようになり、1996年に正力を名誉オーナーに祭り上げる形で自身がオーナーに就任。「野球はやったこともなく興味もなかった」と公言するも、その後野球界をすばやく学習し、これまでの巨人軍の人気、資金、読売新聞と日本テレビ放送網という巨大メディアを背景に、影響力のあるチームオーナーとして球界に君臨、コミッショナー人事も決める男と言われた。
・・・・・・

2011年3月11日に発生した東日本大震災の影響でプロ野球の開幕が当初の3月25日の予定から延期になることについて、3月16日の読売巨人軍激励会の挨拶で、「この前の大戦争で負けた後、選手、監督から3カ月でやりたいという声が上がってプロ野球をやった歴史もある」と話し、予定通り25日の開幕を主張した。また延期を決めたパ・リーグに対しては「こういう時には何もやらない方が良いというなら勝手にしろ」と話したがその後文部科学省の通達によりすぐに撤回した。その後セ・リーグもパ・リーグ同様4月12日に開幕になったが渡邉は「いいんじゃないか。もう、しゃあない。(国などが)ガーガー言ってるんだから」と話した。
2011年
11月11日清武英利巨人軍専務取締役球団代表兼ゼネラルマネージャー・編成本部長・オーナー代行は「読売巨人軍のコンプライアンス上の重大な件」とする記者会見を行い、球団が発表した岡崎郁ヘッドコーチの留任について、渡邉がそれを覆し江川卓をヘッドコーチに決めたことについて、「ツルの一声で決めてしまうなど、球団を私物化するようなことがあっていいものか」として渡邉を批判している。なお、清武は同年11月18日に全ての役職から解任されている。

上記の引用からだけでも赫々たるワンマンぶり、というよりも傍若無人ぶりが窺える。
「週刊ポスト111202号」に、佐野眞一氏が『正力、務台、渡辺「読売天皇三代記』」という文章を寄せている。
佐野氏は、『巨怪伝―正力松太郎と影武者たちの一世紀』文藝春秋(9410)等の著作もあり、読売新聞社の歴史に詳しい。
佐野氏は次のように書いている。

渡辺は側近だけを取りたてる恐怖政治を敷いた。誰も彼のことを“大ナベツネ”とは呼ばない。ある著名OBは渡辺を評して形骸化された正力といっていたな。

「日経ビジネスオンライン111117」の河合薫『“アノ”内部告発で考える、「老害トップ」の悪質な手口』には次のようにある。

部下たち、特に取締役クラスの人たちのやる気を萎えさせ、時にプライドをズタズタにさせる“鶴”、ならぬ“ゾンビ”の一言を、世間では“老害”と呼ぶ。
高齢化が進む中、元気な高齢トップたちが、いつまでも「オレの言うことが聞けないのか!」と言わんばかりに権力を行使する。
帝国データバンクの調査によると、1981年には52歳1カ月だった社長の平均年齢は2010年には59歳7カ月と30年連続で上昇し続け、2010年の社長交代率は2.47%で、過去最低を更新した(出所:帝国データバンク「
全国社長分析」)。このような状況の下では、その“老害”に頭を抱える方も増えているのではないかとも思えるわけで……。

渡辺氏の言動は、この“老害”の象徴であろう。
「代表兼主筆」などという肩書きがその証明である。
読売新聞グループにいる(た)はずの有為の人材の活躍する場を奪っている愚劣さ。
広く世間にその害を知らしめたことを“功績”として、渡辺氏は一線から消えた方がいい。

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