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2011年11月20日 (日)

オリンパスにかすかに点った希望の灯

オリンパスの不正処理された資金は何処に流れているのか?
17日付の米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版)は、2000年以降同社から2000億円以上が指定暴力団など「闇経済(アンダーグラウンド・エコノミー)」に流れた可能性があると東京発で報じた。

同紙は捜査当局に近い関係者から文書を入手したとし、「オリンパスの損失と組織犯罪グループのつながりが初めて明らかになった」と報じている。文書は証券取引等監視委員会や東京地検、警視庁の3者による会合で示されたものだという。
文書によると、オリンパスが2000年から09年にかけて、疑わしい買収額や投資助言会社への手数料として総額4810億円を支払ったが、このうち決算書などで計上されているのは1050億円にすぎず、残りの3760億円については使途不明のままだとしている。
さらに文書では、捜査当局はこのうち半分超にあたる2000億円以上の額が闇経済に消えており、指定暴力団などに流れた可能性があるとの見方をしているという。

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20111118/dms1111181547018-n1.htm

もし事実ならば上場廃止になる蓋然性はぐっと高まるだろうが、そうでなくても巨額の不正経理問題に対しては風当たりが強い。
金融庁のIFRS(国際会計基準)を議論する企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議が11月10日開催されたが、名指しで批判された

会議の冒頭では自見庄三郎金融担当大臣が挨拶。オリンパスが損失計上を先送りしていた問題を挙げ、「市場の公平性で透明性を確保する観点から遺憾である」としたうえで、「一般論として公平性、透明性を確保するためには企業のガバナンスが重要である」との認識を示した。
・・・・・・
青山学院大学大学院教授の八田進二氏は「一部上場企業で歴史のある日本の製造業から、我が国のディスクロージャー制度を根幹から失墜させるような企業が出たことは遺憾」と強調。特にオリンパスが保有株式の時価評価を求めた2000年代前半の会計ビックバンを契機に損失隠しを始めたことについて、「バブル経済で信頼を落とした市場の透明性、信頼性を確保するのが会計ビックバンだったはずだ」と指摘した。

「オリンパスの問題は遺憾」、金融庁がIFRSに関する合同会議

IFRSとは、世界で最も広く採用されている会計基準のことで、日本の基準とは若干異なるところがある。
決算書の国際比較を行うためには基準が統一されていることが好ましいということで、日本でも導入が前提とされている。
そういう議論が行われているところであるから、「日本的」会計基準が原因(不透明もしくは曖昧)であるかのような印象を与えかねない。
IFRSが導入されたからといって解決するものではないと思うが、オリンパス経営陣が引き起こした問題は、一企業に留まらず日本の産業社会を揺るがすものといえよう。

しかし、元取締役専務執行役員である宮田耕治氏が、ウッドフォード氏の復帰しかないとし、インターネットで賛同者を募り始めたことは、同社の将来にとって明るい材料ではないかと思う。
ウッドフォード氏がオリンパスにいる幸運を社員たちは絶対に逃すべきではない

宮田氏は、1995年から2006年まで11年間、オリンパスの取締役として勤務していた。
取締役には「善管注意義務」(取締役という地位にある者として一般に要求される程度の注意を払って業務を遂行しなければならない)があるから、これに違反していたことになる可能性がある。
しかし、宮田氏は在任中そのようなことがあったとはまったく「気づきませんでした」ということである。

宮田氏によれば、オリンパスは、内視鏡やデジタルカメラなどの基幹事業が成熟していたから、新規事業を模索していた。

ところが、社内の技術開発には時間がかかるし、たとえ技術開発をして何か得られたとしても事業として成功するかわからない。そこで、M&Aや有力なベンチャー企業へ投資をしているファンドに対して出資するという選択肢が生まれてきた。

その選択肢が、損失を隠すための道具となったわけである。
発端は、月刊誌『ファクタ』のスクープだった。同誌を読んで、ウッドフォード氏は真相を究明しようと行動を起こした。
そして、ウッドフォード氏は、真相を究明している過程を、取締役全員に報告した。

ウッドフォード氏から報告を受けた取締役は不正が行われている可能性を知ることになった。
株主価値を守るために行動を起こさなければならない責任が発生したのである。
ところが、取締役たちは真相を究明するどころかウッドフォード氏を解任してしまった。

オリンパスの企業風土を宮田氏は次のように説明している。
「技術に基づくモノ作り」を大事にするDNAがあり、石橋を叩いて、壊して結局わたらない」と社外の人から揶揄される。
このDNAからすると、今回の一連の投資行動はまったく説明がつかないものだ。

ウッドフォード氏が社長に復帰することになるかどうかは分からない。
しかし、宮田氏たちの行動は、大株主を動かすことになるのではないか。
それが、国際的な競争力を持つオリンパスの技術力(宮田氏のいうDNA)を惜しむものの願いである。

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コメント

オリンパスもかかる、かかからないか
過去に某粉飾決算で風説の流布といって叩かれた企業があるが、
フジテレビでも木村、安藤、滝川の報じた内容は、
フジテレビ自体が、風説の流布と思われ、逮捕の可能性すら見える。
フジテレビの株主の損失すら見えうる。
テレビ局にもついにメスが入るか

投稿: ななし | 2011年12月27日 (火) 22時03分

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