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2011年10月21日 (金)

タイの洪水と苦境下の円高/花づな列島復興のためのメモ(9)

タイ各地で大きな被害をもたらしている洪水が、20日とうとうバンコク中心部にも流入し始めたと報じられている。
タイには一度だけ海岸部に行ったことがあるだけだが、基本的には平らな土地だから排水の条件は悪いだろう。
水の特性からして、土地利用と一体的な管理が必要なのはいずこも同じである。

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タイ中部を襲っている大洪水で20日未明、バンコク都心部へつながるプラパ運河に一時的に大量の水が流れ込み、都心部に近い地域で今回の洪水で初めて深さ数十センチの冠水が発生した。上流部からの水の流入は20日夜以降本格化するとみられ、インラック首相は「バンコクでの洪水発生は避けられない」と表明した。
http://mainichi.jp/select/world/news/20111021k0000m030117000c.html

この洪水で、多くの日系企業が被災している。

タイの大洪水で、年末商戦向けのカメラの発売延期や、自動車メーカーの工場の操業再開延期など、影響が拡大してきた。
経済産業省の20日の発表によると、タイの六つの工業団地に入居する691社中、419社の日系企業に被害が出ている。タイは例年、10月末頃まで雨期が続くため、冠水した工場から水が引き、被害状況を正確に把握するには1か月以上かかる見通しだ。被災企業からの部品供給が途絶えたことで、直接は被災していない企業にも生産停止などの影響が広がっている。

http://www.yomiuri.co.jp/net/news/20111021-OYT8T00364.htm

企業の海外進出は、為替レートにより影響を受ける。
日本は空前の円高といわれる状況が続いているところだ。
失われたX年から抜け出せない中で東日本大震災に襲われ、四重苦にあるといわれる日本の通貨が、相対的に価値が上昇しているというのも不思議な気がするが、事実として史上最高水準にある。
⇒2011年10月18日 (火):日本経済のクァドリレンマ/花づな列島復興のためのメモ(8)

対ドル為替レートの長期的な推移は、下図のようである。
Photo_4
円相場Wikipedia

円の対ドル・レートは、固定相場制時代の360円から76円台へと約4.7倍になった。
このため、製造業でが海外に拠点を移す動きが盛んになり、いわゆる産業の空洞化が懸念されている。
日本政策投資銀行によれば、2011年度における製造業の海外設備投資は、対前年度比54.7%増となる。
海外/国内設備投資比率は下図のように推移している。

Ws000004

自動車の場合、2002年から、国内と海外の投資はほぼ同程度の規模であった。2008、09年には、国内のほうが多くなった。それが逆転し、大きく海外に傾く形になったのである。2011年度計画では、海外投資が国内投資のほぼ2倍の水準になっている。
・・・・・・
このように、日本企業の行動は、すでに大きく変化している。そして、それに対して、経済政策が追いつかないのが現状だ。
経済政策の基本的な考えは、海外移転を「空洞化」だとして、それを阻止しようとするものだ。
・・・・・・
このような政策は、「何もしていないわけではない」という言い訳だけのために行われているとしか考えられない。本来必要なのは、現在進行している現状を冷静に見つめ、雇用創出のための有効な手立てを講じることである。そのために残された時間的余裕は、急速になくなりつつある。

http://diamond.jp/articles/print/14202

政策より素早かったはずの企業の海外投資が、タイの洪水では大きな被害を受けている。
リスクを避けた行動が別のリスクに直面しているわけである。
アユタヤ州のホンダ自動車工場で生産された自動車が水に浸かっている画像は衝撃的である。

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http://japan.donga.com/srv/service.php3?biid=2011101943268

三菱UFJリサーチ&コンサルティング理事長・中谷巌氏は、円高に対して、次のようにいう。

超円高に直面して日本は何をすべきなのか。あまりにも大きなテーマであり、ここで詳論することはできないが、3点のみ指摘しておきたい。
第1は、円高を悲観するのではなく、これを積極的に活用する発想を持つことだ。
・・・・・・
たとえば、円高によって安価になった海外資産(企業)をM&Aによって積極的に取得し、日本企業が本格的なグローバル経営に乗り出すという発想である。
・・・・・・
第2は、高齢化社会先進国である日本は、医療・介護・福祉、教育・文化などの分野で最先端の商品・サービスを開発するという発想を持つことだ。
・・・・・・
第3に、既に多くの識者が強調しているところであるが、環境技術や再生エネルギー技術に磨きをかけ、日本が世界になくてはならない国になることだ。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/111012/fnc11101202500000-n1.htm

おっしゃる通りだとは思うが、問題は、「ではどうするか?」ということではないか。
コンサルティングとは、一般解ではなく、特殊解の提示をすることであろう。
三菱UFJリサーチ&コンサルティングという日本を代表するコンサルティング会社の理事長にしては、実効性に乏しい発言ではなかろうか。

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