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2011年10月14日 (金)

栄枯盛衰の法則性?/因果関係論(11)

栄枯盛衰は世の習いだという。
すなわち、繁栄がいつまでも続くことはなく、いずれは衰え、栄えれば滅びるというのがこの世の常である。
しかし、歴史的事象は一回性でもある。一回性の出来事に法則性があり得るだろうか。

大分前のことになるが、馬野周二『栄枯盛衰の科学』 PHP研究所 (8606) という書籍を読んだことがある。
馬野氏は通産省を経て、ニューヨーク工科大学教授を務めた化学工学の研究者の履歴を持つが、1973年の石油危機後、エネルギー問題に対してマクロな視点から発言していた。
氏は、『石油危機の幻影-エネルギーをめぐる地政学』ダイヤモンド社(8002)の序章で次のように述べている。

科学は自然の因果関係に潜む法則性を、窮極的には数学論理をもって解明する思考活動であるとしてもよいが、この思考方法は社会、経済、技術事象、そして歴史にさえも有効に適用できるものと私はかねて考えてきた。一歩を進めれば、科学の対象である自然は、これらの人為をも包摂しうるものではないかとも思われる。すでに経済事象のいくつかは、後に示すように、きわめて初歩であるとしても、数学的に解析しうるパフォーマンスを示している。

すなわち、馬野氏は、歴史的事象を数学的論理で、(相当に)捉えられると考えているようだ。
事業戦略においては、製品ライフサイクル曲線という考え方が知られている。

市場で販売されている製品やサービスには、必ずライフサイクルがあります。もちろん、製品は市場に投入され、そして最終的には市場から消滅していきます。
こうした製品の一連の流れは、製品ライフサイクルとして知られています。この製品ライフサイクルは、売上高・利益、競合企業の数などの観点から見て、「導入期」、「成長期」、「成熟期」、「衰退期」の4つに分けられています。

Photo
http://caeric.com/blog/2010/03/PLC.html

まさに栄枯盛衰である。
しかし問題は、具体的な企業や財・サービスにおいて、どのような要因が作用し、各フェーズの期間がどう出現し消滅するのか、である。

携帯電話サービスなども、栄枯盛衰の激しい産業であろう。
1つは、電波の割り当ての影響である。
⇒2011年9月23日 (金):電波利権の構図はどう変わるか?
そして、新製品のインパクトである。
⇒2011年10月 6日 (木):S.ジョブズの死と「iPhone4S」の発売
⇒2011年10月 7日 (金):S.ジョブズの死と「iPhone4S」の発売(続)

日経ビジネス編集委員の小板橋太郎氏が、日経ビジネスオンライン111013日号に『ケータイ盛衰5年周期説-絶頂が慢心を招き、苦境が飛躍の芽を用意する』という記事を書いている。

各社の浮沈の歴史から目が離せないのは、絶頂の裏側には必ず陥穽が隠れているからだ。そして、どん底の淵にありながら、次の飛躍の機会をうかがう人たちがいるからだ。
・・・・・・
5年後の2011年。KDDIは純増数もMNPも最下位あたりであえいでいる。その原因は5年前に内在していた。06年と言えば、ソフトバンクがボーダフォン(旧J-フォン)を買収して携帯電話に参入し、ホワイトプランなどの割引サービスや端末に割賦支払いを導入した0円携帯といった画期的なサービスを開始した時期。当時、KDDIは新規参入者のソフトバンクを毛嫌いしていた。07年にiPhone が米国発で大ヒットし、08年にソフトバンクが初めて国内での独占販売に成功してからも、KDDIはソフトバンクの躍進を無視するがごとくスマートフォン分野に距離を置いたのだ。この対応の遅れがKDDIの長い低迷の原因になった。2010年12月、KDDIの小野寺正会長兼社長(当時)は「従来型の携帯電話に固執したきらいがある」と反省の弁を残し社長を辞した。
・・・・・・
孫正義社長はKDDIのiPhone 参入について「刺激がなければ衰退してしまう」と話した。ソフトバンクは2006年に携帯電話事業に参入して以来、初めて追われる立場になる。「日中(ちゅう)すれば即ち移り、月満つれば即ち欠く」(史記)ともいう。携帯電話業界の栄枯盛衰が5年周期で巡って来るという説が偶然か否か、もうしばらく注視していよう。

5

まさにNTTドコモ、Eアクセスを交えて、『ケータイ三国志』ならぬ4社の争いである。
果たしてこれからどう変わっていくのだろうか?

 

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