« 五所平之助/私撰アンソロジー(8) | トップページ | 野菜の力(3)/闘病記・中間報告(33) »

2011年10月16日 (日)

九電の「やらせメール」問題と企業の社会性

いうまでもなく、企業は社会の中で存在している。
したがって、赤字等の要因で経済的に存続しえなくなるほかに、社会的なルールを無視したら存続が許されないであろう。
特に、電力会社は基幹産業として地域独占という独特の経営形態が許されている。
一般の企業以上に社会性が強いと考えるのが当然であろう。
少なくとも、会社の外側にいる人間はそう思う。

ところが、九州電力という会社はそうは考えないらしい。
フクシマの事故で原発の稼働に対する社会の目が厳しくなっているときに、いわゆる「やらせメール」問題が発覚した。
⇒2011年7月 7日 (木):原発迷走で、閣内不一致は明らか。海江田大臣は辞任すべき(かどうか)
⇒2011年7月30日 (土):地震・津波による原発災害を予見していた高木仁三郎と市民科学者育成のための「高木学校」

Wikipediaでこの問題を振り返ってみよう。    

九州電力やらせメール事件(きゅうしゅうでんりょくやらせメールじけん)は、2011年6月、玄海原子力発電所2、3号機の運転再開に向け日本経済産業省が主催し生放送された「佐賀県民向け説明会」実施にあたり、九州電力が関係会社の社員らに運転再開を支持する文言の電子メールを投稿するよう指示していた世論偽装工作事件(サクラやらせ)である。
・・・・・・
7月27日 - 九州電力取締役会は、問題の検証と再発防止策の検討を行う第三者委員会設置を決定、同日初会合が開かれた。以下の4人で構成される。
委員長:
郷原信郎名城大学教授、コンプライアンス研究センター長、弁護士
委員:
阿部道明九州大学大学院法学研究院教授)、岡本浩一東洋英和女学院大学人間科学部教授、社会学博士)、古谷由紀子(公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会理事)。

通常、第三者委員会というものは、公正を期すために設けられたと考えられよう。
例えば、外部調査委員会・第三者委員会について、次のように説明されている。

不正・不祥事が発覚したときに、外部の調査機関を利用することや、外部有識者による不正調査委員(以下、「外部調査委員会」という。)を設置するケースが多くなりました。これは、外部調査委員会を設置することで、不正・不祥事の発覚後における会社内部の調査に透明性・客観性を担保すること、および株主代表訴訟に備えた法的な側面からのアドバイスが受けられるというメリットがあります。
Photo
http://www.kpmg.or.jp/knowledge/keyword/e_i_committee.html

ところが、九州電力は、せっかくの第三者委員会の結論を採用しないことにしたらしい。

九州電力が月内にも経済産業省に提出する「やらせメール」問題の最終報告書で、古川康・佐賀県知事の発言がやらせの発端とした第三者委員会(委員長・郷原信郎弁護士)の事実認定を採用しない方向で6日、最終調整に入った。知事発言の真意を九電側が誤解したことがやらせを引き起こしたとする従来の見解を貫き、自ら委ねた第三者委の調査結果を事実上、認めないとみられる。
第三者委は最終報告書で、6月の玄海原子力発電所の再稼働を巡る佐賀県民向け説明会でのやらせメール投稿は、九電幹部と面談した古川知事の発言が「決定的な影響を与えた」と認定した。

日本経済新聞電子版2011/10/7 2:02

一方、九州電力の第三者委員会の委員長を務めた郷原信郎弁護士は次のように語っている。

郷原氏は九電の報告書が、第三者委の調査の核心部分を「一切無視した」と断言。「都合の良いところをつまみ食いしてちりばめた報告だ」とし、「仏つくって魂入れずだ」と吐き捨てた。
真部社長が古川康知事を擁護した点については「常識外れ。経営陣のしていることはコンプライアンス上考えられない」と強調。「九電と古川知事の間には断ち切るのが容易でないつながりの深さがあった」とし、「我々は新たな事実を掘り起こし、解明した。きちんと九電が受け止めれば原発問題全体(の解決)に大きな材料となった」と悔しさをにじませた。

日本経済新聞電子版2011/10/14 22:59

九州電力の社会的評価は地に落ちた。
CSRなどという以前の問題であろう。

|

« 五所平之助/私撰アンソロジー(8) | トップページ | 野菜の力(3)/闘病記・中間報告(33) »

ニュース」カテゴリの記事

思考技術」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/395349/42532986

この記事へのトラックバック一覧です: 九電の「やらせメール」問題と企業の社会性:

« 五所平之助/私撰アンソロジー(8) | トップページ | 野菜の力(3)/闘病記・中間報告(33) »