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2011年9月20日 (火)

原発と原爆/「同じ」と「違う」(32)

菅前首相が広島と長崎の原爆犠牲者追悼式典に出席した際、脱原発発言をしたことについて、細野原発担当大臣は、「日本は唯一の被爆国でありながら、平和利用を進める難しい判断を迫られた国だ。先人の努力を考えると、原爆と原発をイコールで考えるのは違和感を持つ」と述べた。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110809/plc11080923120019-n1.htm

原爆と原発は、もちろんイコールではない。
だから、菅前首相が、退陣表明をしながらも、広島と長崎で脱原発を旗幟にして、延命しようとする姿勢を見せたことに、私は違和感というよりも不快感を覚えた。
しかし、「脱原発」そのものは賛成である。
大江健三郎さんらが呼び掛けた「さようなら原発5万人集会」(19日明冶公園)には約6万人(主催者発表)が参加した。

会場となった明治公園周辺は、主催者発表で約6万人(警視庁によると約3万人)で埋め尽くされ、身動きがとれないほどだった。福島第1原発事故後の集会では最大規模。壇上に立った文化人らは口々に「脱原発」を訴えた。
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20110920-OHT1T00004.htm

久しぶりの大集会である。60年代末のこと以来ではなかろうか。
もはや「脱原発」の流れは止められないと思う。

原爆と原発は、もちろんイコールではないが、原発も、ひとたび事故が起きると深刻な放射能被害をもたらす。そのことに多くの国民は危機感を持っている。

原発と原爆の異同は何か?

原発も原爆も、物理化学的な反応過程そのものは同一であろう。
質量とエネルギーが等価であるという発見、まさにパラダイム・シフトというべき認識の革命は、かのアインシュタイン(Albert Einstein )によってなされた。
Einsteinについて、 Wikipediaでは、以下のように解説している。

1905年博士号を取得すべく「特殊相対性理論」に関連する論文を書き上げ、大学に提出した。しかし内容が大学側に受け入れられなかったため、急遽代わりに「分子の大きさの新しい決定法」という論文を提出し、受理されている。この論文は「ブラウン運動の理論」に発展した。この年は「奇跡の年」として知られている。アインシュタインは「光量子仮説」「ブラウン運動の理論」「特殊相対性理論」に関連する5つの重要な論文を立て続けに発表した。バスに乗車中にベルンの時計台の針が不動に見えることから着想した無名の特許局員が提唱した「特殊相対性理論」は当初、周囲の理解を得られなかったが、マックス・プランクの支持を得たことにより、次第に物理学界に受け入れられるようになった。
1907年、有名な式E=mc²を発表している。この年には、箱の中の観測者は、自らにかかる力が慣性力なのか重力なのか区別ができないという、後の一般相対論の基礎となるアイディア(等価原理)を思いつく。アインシュタインはこれを、生涯最良の名案であると述べている。

E=mc²については、以下の通り(Wikipedia)。

E=mc²(イー・イコール・エム・シーじじょう、イー・イコール・エム・シー・スクエアド)は、アルベルト・アインシュタイン特殊相対性理論の帰結として発表した有名な関係式。質量とエネルギーの等価性とも言われる。質量が消失するならばそれに対応するエネルギーが発生することを示すと同時に、十分なエネルギーがあれば無から質量が生まれる事を示す(ビッグバン)。

まあ、常識では考えにくいことであるが、それが科学の神髄でもあろう。
⇒2011年8月16日 (火):科学観と方法論/梅棹忠夫は生きている(5)

E=mc²の利用という点においては、原爆も原発も同じことである。
核分裂と連鎖反応がキーである。
Wikipediaの解説を見てみよう。

核分裂
原子核を構成する核子は核力によって互いに強く引力を受ける一方、原子核中の陽子は電磁力により極めて強い斥力を受ける。 通常原子スケールでは核力の方がはるかに強いが、核力は距離に対し指数関数的に減少する一方、電磁気力は二乗でしか減衰しない。このため、
原子番号の大きな原子核では、電磁気力が打ち勝ち分裂する余地が生まれる。ひとたび分裂すればもはや核力による引力はほとんど受けず、電磁気による斥力で極めて高いエネルギーを持ち互いに離れていく。具体的な現象としては中性子を吸収させて核子の数のバランスを崩すと原子核が液滴のように二つに分裂することがある。これを原子核分裂と呼ぶ。この核分裂によって、分裂前後の核子の結合エネルギーの差分が外部に放出される。
連鎖反応
核分裂の際には通常数個の中性子が外部に放出される。そのため、核分裂を起こす物質が隣接して大量に存在する場合には、核分裂で放出された中性子を別の原子核が吸収してさらに分裂する、という反応が連鎖的に起こることがある。このような反応を核分裂の「連鎖反応」と呼ぶ。
核分裂性物質の量が少ない場合には連鎖反応は短時間で終息するが、ある一定の量を超えると中性子の吸収数と放出数が釣り合って連鎖反応が持続することになる。この状態を「臨界状態(あるいは単に臨界)」といい、臨界状態となる核分裂性物質の量を臨界量と呼ぶ。発電等に用いられる原子炉ではこの臨界状態を制御しながら保持して一定のエネルギー出力を得ている。原子爆弾に用いられる場合も、核分裂性物質を制御された短時間で臨界状態にする必要がある。

要するに、中性子により原子核分裂させると、大きなエネルギーが放出される。
図解すれば以下のようである。

Ws000003
黄土色の大きな粒が原子核。青い小さな粒が中性子。赤い矢印が発生したエネルギー

ウラン235(またはプルトニウム239)の原子核は、1個の中性子がぶつかると分裂し、この時2個から3個の中性子が飛び出すと同時に、膨大なエネルギーを放出します。
飛び出した中性子は、別のウラン235(またはプルトニウム239)の原子核にぶつかり、同様に分裂し、エネルギーと中性子を放出します。この核分裂がごく短い時間に次々と広がると、瞬間的に非常に強大なエネルギーを生み出すことになります。この原理を兵器として利用したのが原子爆弾(原爆)です。

http://www.hiroshima-spirit.jp/ja/hiroshima/shiryoukan/morgue_w12.html

この核分裂が継続的に起こると外部へのエネルギー放出も継続する。
この連鎖反応をどうコントロールするかが、原発と原爆の差異である。

原子炉の仕組みは、まず水で中性子のスピードを遅くさせる。こういう役割を減速材という。そして水の中に中性子を吸収するホウ酸という薬品を適量混ぜて核分裂の結果飛び出してくる中性子2個の内1個を吸収する。
これで急激な連鎖反応は無くなり1個だけだと比較的に緩やかな反応になる。制御棒をおろすと核分裂が止まるのは燃料の間にこの金属の棒を下ろすとすべての中性子を吸収することから起きる。

http://www.geocities.co.jp/wallstreet/1795/datugenpatu/9908genpatugenbaku.htm

「制御棒をおろすと核分裂が止まる」のに、なぜフクシマは収束しないのか?

だから事故で制御棒をおろしたりして運転停止してもなお水を注ぎ循環を続けないと、まず水素爆発を起こす。これは燃料棒の金属ジルコニウム(大変固い金属です)が高熱で水と反応して水素が生じそれが溜まっていき爆発する。
その爆発で格納容器が壊れると多くの放射能が飛び散る。そして次には燃料棒が高熱のため曲がって溶けだしくっつきあって、炉芯が溶融して溶け原発の壁を突き抜け流れ出していくメルトダウンと呼ばれる現象が起きるのだ。この時もいっそう多くの放射能が飛び散る。
・・・・・・
放射能はもしも外部に漏れ出ても飛び散っても普通の火と違い消すことが難しい。体の中で放射能を出し続ける。私たちはただの燃える火から消すことができない火である核反応を使用することになった。その問題点をもっと知るべきである。

フクシマで起きたのは、以上のようなことである。
コントロールされていることが、原爆と原発の「違い」である。
言い換えれば、完全にコントロールできない以上、原発は原爆と「同じ」であるとみるべきだろう。

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