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2011年9月13日 (火)

フクシマは津波によりメルトダウンしたのか?/原発事故の真相(7)

鉢呂前経産相が「失言」により引責辞任した。
⇒2011年9月10日 (土):「閣内てんでんこ」の野田ドジョウ政権と言葉の力
後任の経産相に前官房長官の枝野幸男氏が就任した。
野田首相としては、船出そうそうのアクシデントに懲りて、前政権の重鎮を据えて安全を期そうということであろう。
私も枝野氏の力量に大いに期待したいところだが、気になることがある。

枝野氏は官房長官として、事故対応の説明に注力してきた。
弁護士としての弁論技術はさすがで、官房長官の職に相応しいといえよう。
しかし、巧みな弁論はとかく人を誘導する力も持っている。

東電がメルトダウンを認めたのは5月12日のことであった。
⇒2011年5月16日 (月):フクシマの現状と見通しは?/やっぱり菅首相は、一刻も早く退陣すべきだ(30)
枝野氏は官房長官として、5月13日の記者会見で次のように説明した。

東京電力が福島第1原発1号機の状態をメルトダウン(炉心溶融)と認めたことについて「周辺住民への安全対策で問題になることは生じない」と述べ、周辺住民への影響はないと強調した。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110513/plc11051311130010-n1.htm

事故による放射能の放出は、大部分が震災発生直後であったといわれている。
だから、この時点では、メルトダウンしていたと後追いで認めたからといって、そのことで事態が深刻化するものではないかもしれない。
しかし、「周辺住民への安全対策で問題になることは生じない」とすることは、状況的にどうだっただろうか。
枝野氏は、ずっとメルトダウンはしないと言い続けていたのである。

枝野幸男官房長官は19日午前の記者会見で、福島第1原発事故の現状に関し「現在は冷却が一定程度できており、冷却が継続できればメルトダウン(全炉心溶融)にはならないだろう」との見通しを示した。(共同)
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp3-20110419-763300.html

枝野氏が、見通しが違っていたことについて、陳謝したという発言は聞いた覚えがない。

果たして、メルトダウンはいつ起こったのだろうか?
水素爆発に至るプロセスの説明について、西村肇さんたちの推測を紹介したことがある。
⇒2011年6月23日 (木):西村肇さんの水素爆発に至る過程の推算/原発事故の真相(2)

「エコノミスト」臨時増刊110711号『福島原発事故の記録』の冒頭に、『津波が来なくてもメルトダウンは起きた? 問題は耐震性だ』という田中三彦氏へのインタビュー記事が載っている。田中氏は、元原子炉製造技術者という肩書である。
結論的には、「メルトダウンの原因は、東電や原子力保安院の説明のような津波による電源喪失のためではなく、地震による配管の損傷による冷却材喪失ではないか、ということである。
Photo
この推測は、上掲西村さんらの推測と一致している。
東京電力は、この期に及んでも、事故手順書の提出を求められて、墨塗りのモノを出した。

東電は提出拒否、黒塗りの理由を「知的財産権の保護とテロなどからのセキュリティー」と説明しているが、会社の力だけでは原発事故を収束できない現状で、「企業秘密」を持ち出す神経が異常だ。司会の赤江珠緒も珍しく語気荒い。

「この期に及んで知的財産権の保護を言うが、放射性物質の漏えい・蓄積で財産を奪われた人たちに通用するわけがないと思いますがね」

   東電は真っ黒く塗りつぶした紙の提出は、原子力安全・保安院の了解をとったという。保安院は経産省から離され、いずれ環境省の傘下に入ることが決まっているのに、元経産相の海江田万里は人事権を使って引き続きトップに経産省官僚に据えた。この辺りからすでにマニュアルができているのかも。東京電力に強制捜査をかけないと、次々と証拠隠滅されてしまうだろう。いや、もう遅いかもしれない。
http://www.j-cast.com/tv/2011/09/13107060.html?p=2

Photo_4
http://news.goo.ne.jp/photo/kyodo/nation/PN2011090701001034.html

墨塗りをして隠蔽しようとするものは何か?
隠せば知りたくなるのが人間の心理である。

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