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2011年8月30日 (火)

菅首相の無神経な最後の指示

民主党の新代表(新首相)の野田佳彦氏には、鳩山・菅の民主党歴代首相の轍を踏まぬよう心から願う。
野田氏は演説の中で、「思惑ではなく思いで、下心ではなく真心で、論破でなく説得で」野党との協力関係を構築したいと言った。
「思惑、下心、論破」は、いわば菅氏の際立った特徴だったから、それを意識して否定してみせたのだろう。しかし、安易に野党との協力を求めると、野合になりかねない。

政策の軸を明確にすることと同時に、可能な限り早期に解散総選挙を行うべきだろう。
政権公約(マニフェスト)を履行できないならば、選びなおすのは主権者の当然の権利ではないか。
代表選の候補者がこぞって主張していた「理念は重要だ」というのは、絵に描いたモチだけど旨そうに見えるでしょう、というのに等しい。

それにしても、菅首相は、再生可能エネルギー特別措置法が最後の置き土産かと思いきや、全く無神経な指示を出していたことが報じられている。

菅直人首相は29日午前、首相官邸で高木義明文部科学相と会談し、昨年11月の北朝鮮による韓国砲撃を受けて中断している朝鮮学校授業料無償化手続きについて、「無償化手続きが止まっている状況なので、再開してほしい」と指示した。これを受け、文科省は審査再開手続きに入った。
菅首相、朝鮮学校の無償化再開指示 退陣直前に唐突に

自分の献金疑惑については何の説明も無しに、だ。
これで、菅氏が拉致実行犯容疑者森順子や彼女とよど号ハイジャックの主役・田宮高麿との間の子供森大志らが深い関係を持つ「市民の党」などへの献金が、確信に基づくものであることがはっきりしたと言えるだろう。
⇒2011年8月21日 (日):疑惑にフタをしたまま菅首相は退任で幕引きを図るのか
それにしても、後継決定の当日に指示を出すなど姑息としか言いようがない。

「私たちが訴えていることを分かっていながら、菅首相はそういうことをする方なんだと感じました」
首相の審査再開指示について横田めぐみさん=拉致当時(13)=の母、早紀江さん(75)はこう言って落胆した。
朝鮮学校では、教科書で拉致問題への取り組みを「反朝鮮人騒動」などと教えており、拉致被害者の家族会は、朝鮮学校に無償化を適用すれば、「拉致問題について誤ったメッセージを送ることになる」と教育内容を問わないままの適用に反対してきた。
首相はこうした家族の懸念に全く答えず、むしろ無視したといえる。

「拉致解決する気全くなかった」 朝鮮学校無償化の審査再開、家族会落胆

菅という人は、結局人の心というものを理解しえない人なのだろうか?
私は、朝鮮学校の生徒を敢えて差別しろというつもりはないが、拉致問題に取り組むことは決して「反朝鮮人騒動」などではないと考える。
民主党政権になって、拉致問題が一向に進展していない状況での指示には大きな疑問を持たざるを得ない。
日本国の首相であれば、まず不当に拉致された人々の帰還が優先課題ではないのか?
家族会の悲痛な声にも聞く耳を持たないのだろうか?

「首相は自ら決着をつけるつもりだったのだろう」(高木義明文部科学相)というが、むしろ立つ鳥が跡を濁した形で、本心では拉致問題を軽視している証左でもある。
「北朝鮮は砲撃事件前の状態に戻った」
首相は高木氏に手続き再開を指示した際、こう語ったという。枝野幸男官房長官も29日午後の記者会見で「国際状況を分析してきた結果、このタイミングにおいて一定の結論を得た」と指摘した。
だが、これは後任首相となる野田佳彦財務相の判断を待たずに勝手に結論だけを押しつけ、責任を取らずに逃げたようなものだ。
菅首相、最後も思いつき 朝鮮学校無償化を「唐突」指示 党の親北体質、疑惑上塗り

砲撃事件以前の状態に戻ったか否かは基準ではない。
拉致問題について、あの国の指導者が真摯に反省し、拉致被害者に相応の償いをしたか否かで判断すべきだと考える。

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投稿: すずき | 2011年8月31日 (水) 00時11分

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