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2011年8月31日 (水)

仮免だったのは、菅(前)首相か民主党政権か

野田佳彦氏が、第95代の総理大臣に指名された。

早々と出馬を表明したが、小沢氏が支持する海江田氏、同じ主流派で支持層が近い前原氏の出馬の陰に隠れ、本命ではなかった。だが、「号泣」「外国人献金問題」で伸び悩む2人を横目に、1回目の投票で海江田氏に41票差の2位に入り、前原氏を退け決選投票に。その決選投票では、党内最大勢力の小沢氏に支持された海江田氏に対抗するため、前原陣営などの「反小沢」勢力を結集。決選前には鹿野陣営が野田氏支持を決めるなど、「反小沢」感情も味方につけ、海江田氏を38票差でひっくり返した。
「反小沢」はもうやめましょう 就任直後のあいさつで「ノーサイドにしましょう、もう」と小沢氏をめぐる党内抗争に終止符を打つことを呼び掛けた野田氏。

「どじょう演説」で鮮やかに逆転!野田佳彦氏が新首相へ…民主代表選

まあ、消去法で野田氏が残ったということであろうか?
しかし、「ノーサイドにしましょう、もう」と言っても、そうはいくまい。ノーサイドというのは、同じ夢をみて争った人の間で成り立つことである。
ノーサイドの証として(?)、幹事長に小沢氏に近いとされる輿石東氏を起用した。
清新とは言い難いが、野田氏も考え抜いて決めたのだろう。
党内情勢を踏まえると、輿石氏も慎重にならざるをえないようだ。

民主党幹事長に内定した輿石東参院議員会長は30日午後、小沢一郎元代表の党員資格停止処分について、記者団に「(処分を撤回すべきだとの)私の考えは変わらない」としながらも、「いろんな考えが(党内に)あるからそれを踏まえ、民主主義のルールと時機をみて考えたい」と述べ、処分見直しには慎重に対応する意向を示した。 
党運営に関しては「新首相が『ノーサイド、全員野球』と言うから、その態勢をつくれるかどうかに全てがかかっている。党内融和に全力を尽くす。その一点だ」と指摘。参院議員会長職を兼務する考えも示した。
小沢氏処分問題、慎重に対応=輿石氏

私は、綱領すら決め切れていない民主党のノーサイドは基本的にあり得ないのではないかと思う。
民主党は、畢竟、同床異夢の集団だろう。政権交代を果たした後は、エンジンも羅針盤もなく、漂流するばかりである。
⇒2011年8月24日 (水):綱領なくして漂流する民主党の出口戦略を問う

思えば菅前首相が、就任後半年経った段階で「今までは仮免だった」と発言したエピソードが思い起こされる。
⇒2011年6月17日 (金):その場しのぎと問題解決/「同じ」と違う」(27)
⇒2011年2月 3日 (木):菅首相は、どういう局面で、いつ投了するのか?
⇒2011年4月26日 (火):朝・毎両紙の社説検証/やっぱり菅首相は、一刻も早く退陣すべきだ(17)
結局、仮免の域を出ないところで重大な事故に遭遇したのだと考えれば、菅氏自身がパニックに陥ったのも頷ける。

“alert”という語がある。
一般用語であるが、特にIT分野では比較的よく使われるようである。

ITの分野では、システムなどが利用者に注意や警戒を促すために表示・通知するメッセージなどのことを意味する場合が多い。
また、予め指定しておいた条件が満たされたときに自動的に利用者に発信される通知のことをアラートという。

IT用語時点

alert
―【
形容詞
(
油断なく)注意を払っている; 機敏な.
―【
名詞
警戒態勢; 警報
―【動詞
警報を出す; 警告する.
研究社 英和コンピューター用語辞典

東日本大震災は、改めて“alert”の重要性を認識させるものであった。
仮免意識のまま就任した菅氏には、まったく“alert”が欠如していた。
さすがに自衛隊は、“alert”の重要性を認識していた。

これは、近い将来高い確率での発生が予想されている宮城県沖地震への対処能力向上を目的に、東北方面隊全部隊はもとより、他方面隊等、施設学校、海・空自衛隊並びに岩手県宮古市から宮城県岩沼市までの太平洋に面した24自治体(宮城県、岩手県含む)、防災関係35機関並びに一般市民を含めた約1万8千名が参加するとともに、被害が予想される現地において訓練するなど、今までにない規模・内容となった。
みちのくALERT2008|東北方面隊Web

対照的に、菅氏は浜岡を対象に、10年10月に実施した「原子力総合防災訓練」をすっかり失念していたようなのだ。
2011年5月12日 (木):地震の発生確率の意味/やっぱり菅首相は、一刻も早く退陣すべきだ(26)

しかし、考えてみれば、仮免状態は菅氏だけのものではなく、民主党全体の問題ではないか。
代表を迎えるにあたって、『あーあ、民主党 こんな奴らが総理かよ』という週刊誌のタイトルに同意したのは私だけではないだろう。
⇒2011年8月24日 (水):綱領なくして漂流する民主党の出口戦略を問う
実際に代表選の結果は、国民不在、被災者不在の空虚なものだった。
⇒2011年8月26日 (金):民主党代表選の虚しき狂騒

民主党の執行部も、菅内閣の閣僚だった者も、同じ穴の狢である。
仮免から脱して正式の免許を得るためには、総選挙の洗礼が不可欠であろう。

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