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2011年8月27日 (土)

菅首相の退陣演説&記者会見の欺瞞と空虚

菅首相の民主党両院議員総会での退陣演説は、絵に描いたような自画自賛というものだろう。

菅氏は「やるべきことはやった」と胸を張り、3カ月間の政治空白を生んだことへの反省の弁はなかった。「国民が聞く耳を持たなくなった」ことを退陣理由に挙げた鳩山由紀夫前首相と同様に、責任を明確にしないままの不自然な幕引きだ。
「大震災、そして原発事故に遭遇したときの内閣総理大臣、このことは歴史の中で消えることはない」
「歴史の評価」にこだわり続けた菅氏らしく、総会では震災と原発事故の対応にも自負をにじませた。

退陣表明 独自スタイル、孤立 震災復興へ、道半ば

「大震災や原発事故に遭遇したこと」自体は、決して手柄ではない。本来ならば、遭遇以前に退陣すべきだったのだ。
誇るならば、対応の仕方であるはずだ。「歴史の評価」はいずれ明らかになるだろうが、対応のマズサは歴史を待つまでもない。
一番重要な初動において、自身がパニックに陥っていたことは、松本健一氏等が明らかにしつつある。
⇒2011年8月20日 (土):菅批判を始めた松本健一内閣官房参与
歴史などと大上段に振りかぶる必要はない。

その後の記者会見も同様である。

退陣にあたっての率直な感想は、与えられた厳しい環境のもとでやるべき事はやったという思いだ。東日本大震災からの復旧・復興、東京電力福島第1原子力発電所事故の収束、社会保障と税の一体改革など、内閣の仕事は確実に前進している。内閣としては一定の達成感を感じている。
・・・・・・
私の在任期間中の活動を歴史がどう評価するかは後世の人々の判断に委ねたい。思いが国民にうまく伝えられず、ねじれ国会の制約の中で円滑に物事を進められなかった点は大変申し訳なく思う。

菅首相、最後の記者会見 発言要旨

「与えられた厳しい環境のもとで」というのが、衆参のねじれ状態をいうのであれば、参院選の大敗にもかかわらず責任を負おうとしなかった自分の作った環境であることを棚に上げて言うのはまことにノーテンキなものだとせざるを得ない。
東日本大震災や福島原発事故のことを指すのであれば、震災の直接的な原因は自然現象であるにしても、国民の多くは、人災としての側面があると思っている。
“菅災”という言葉が使われているのをご存知ないのだろうか?

識者と言われる人たちの評価もなべて厳しい。

「点数を付けるならマイナス100点」と切り捨てるのは政治評論家の森田実氏。「内閣不信任案を否決させるため(首相を)辞めるとうそをついた」と指摘し、その後の2カ月余りを「内政も外交も全部止まり、ガタガタになった」と話す。
元内閣安全保障室長の佐々淳行氏も「(菅政権は)原発が手の付けられない状態になってから住民を避難させた。最悪の事態に備えるのが危機管理の基本なのに、原発事故の対応は犯罪に近い不作為」と厳しい。 一方、原発問題に取り組む市民団体からは「『脱原発依存』を打ち出したのは特筆すべきだ」との意見も聞かれた。

マイナス100点と酷評も 原発事故対応は犯罪に近い

まあ、森田氏は佐々氏のような玄人スジとは相性が悪いようであるから、酷評は織り込み済みであろう。
問題は、私のようなアマチュアの期待を、まったく裏切ったことである。
市民活動家というものに、私は好意的であった。
ラジカルであるかどうかは別として、運動をするにしても、セクトよりはノンセクト、という感じである。
最大の集団は無党派層らしいが、サイレントマジョリティとも言い換えられよう。

菅氏に期待したのは、ある種のアマチュアリズムである。
私は、政治を、プロつまり職業政治家の手に委ねるのはいかがなものか、と思うようになってきた。
もちろん、スジがね入りのプロの力量は恐るべきものであろう。
だからプロを評価しないということではないが、現在の国会議員等の出自をみれば、二世、官僚、労組出身者のいかに多いことか。
「商売としての政治」のような気がするのだ。

松下政経塾のようなインキュベーター機関にも、一種の危うさがつきまとう。
大本命とされる前原氏は、メール問題の教訓を生かしていないのではないか。元(?)大本命の野田氏も、その後の経緯をみれば、器ではないことが滲んでくる。

去年行われた長野県知事選が、プロVSアマの1つの図式であったように思う。
結果はプロの側の勝利であるが、安曇野にあるいわさきちひろ美術館の元館長・松本猛氏が挑んだ選挙だった。
松本氏の母はいわさきちひろさんで、父は元日本共産党衆議院議員の松本善明氏であるが、政治志向は窺えない。
⇒2010年8月 9日 (月):長野県知事選をめぐる感想

この選挙にアマチュアリズムの可能性を感じた。
⇒2010年8月10日 (火):政治におけるアマチュアの可能性
それは、佐倉統氏が評価する梅棹忠夫のひとつの側面でもある。
⇒2011年7月31日 (日):アマチュアリズム/梅棹忠夫は生きている(4)

菅氏は、このようなアマチュアリズムを期待しらのだが、それはまったくの幻想であった。
それどころか、拉致実行犯容疑者と親密な関係にある団体との間に重大な疑惑が発覚している。
思うに、「市民派」には、無党派・ノンセクトの市民派と、党派・セクトとしての市民派があるのだろう。
菅氏の大罪の1つに、無党派的市民派を偽装した党派的活動を挙げるべきだろう。
⇒2011年8月14日 (日):退陣菅内閣の「7つの大罪」論と後継内閣の責務

もっとも、偽装は退陣表明に見られるように、菅氏のお家芸ともいえる。
内閣不信任決議案の可決をタイジン偽装で切り抜けたころから、開き直ったのではないだろうか。
不信任案を可決する度胸のなかった民主党の代議士は、菅氏の居座り幇助だということを自覚すべきだ。

それにしても、6月2日の意向表明から3カ月近く、次々に新たな政策をぶち上げ、外交を含む政治空白を作った。
「この3カ月間は実りの多い政策実行の期間だった」という自賛も空しく聞こえるだけである。

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コメント

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