宮脇昭氏の講演と「ぬまづの森」の試み
世に松原の名勝地は多い。
その1つ「高田松原」が津波に襲われた映像は生々しい記憶である。
日本百景にも数えられる、白砂青松の弓型海水浴場。 この「白砂青松」の地に年間約 40 万人もの人々が憩いを求めてやって来ます。
盛岡中学時代の石川啄木が激賞し、また俳壇の巨星高浜虚子も日本百景の審査員として訪れた際に句を詠んでおり、それぞれ 歌碑、句碑 が置かれています。![]()
http://www.3riku.jp/kanko/docs/attractions/coast.html
この松原が1本だけ残り、名勝指定が継続することになった。
文化庁記念物課の本中真主任文化財調査官は20日、東日本大震災で甚大な被害を受けた陸前高田市の国の名勝高田松原を視察し「価値はなくなったとは考えていない」と名勝の指定を継続する考えを示した。
http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20110421_9
沼津市にも、千本松原という美しい松林がある。
千本松原(せんぼんまつばら)は静岡県沼津市の狩野川河口から、富士市の田子の浦港の間約10kmの駿河湾岸(正式名称富士海岸、通称千本浜)に沿って続いている松原。
松林越しに富士山を望むことが出来る。数々の文人たちに愛されたということでも知られている。中でも大正15年(1926年)には歌人若山牧水が静岡県の伐採計画に対し新聞に計画反対を寄稿するなど運動の先頭に立ち計画を断念させた話は有名である。日本百景、日本の白砂青松100選にも選ばれている。
千本とはいうものの、現在は30数万本以上あるという。
1976年に東海地震説が発表されてから、駿河湾の海岸では津波対策が盛んに行われるようになった。松原と海岸の間には堤防が築かれ、景観を損ねているという意見もある。
Wikipedia100908
沼津市では、「ぬまづの森づくり」を進めている。
沼津市は5日、温暖化防止や環境教育に役立てようと、常緑広葉樹の苗木など約2000本を植樹するイベント「ぬまづの森づくり」を同市東原の市立今沢中学校(渋谷豊寿校長)で開いた。世界的な植樹活動で知られる宮脇昭・横浜国立大名誉教授が指導し、栗原裕康市長や同校の生徒、住民ら約450人が参加した。
昨年8月の片浜北公園(同市西間門)に続き2カ所目。宮脇さんは、土地に本来根付く樹種を選び、多種類を密集して植える方法を提唱しており、今回はタブノキやシラカシなど約49種類の苗木を校内に植えた。
宮脇さんは、実地調査した東日本大震災の被災地の状況や、世界各地での植樹の様子を映像や写真を使って紹介。植樹が防災にもつながると訴え、「命を守る森づくりを、沼津から世界へ広げてほしい」と呼び掛けた。
http://mainichi.jp/area/shizuoka/news/20110606ddlk22100095000c.html
沼津のローカルペーパー「沼津朝日110608」に、宮脇さんの講演の内容が紹介されている。
「科学技術は何でもできる」として、津波は堤防で防ぐことができ、原発の放射能は閉じ込められると考えた。
「自然の掟」を無視してきたことで3万人近い人が亡くなった。
津波によって、クロマツは破壊されたが、常緑広葉樹は耐えている。
かまぼこ型の「緑の防波堤」を海岸に沿って築くことにより、津波の威力を減殺することができる。「緑の防波堤」は、津波の引き潮にも耐えられる。
何が幸福か?
「今、生きていること」と「生物誕生以来、40億年続いてきた遺伝子を残すこと」だ。
共存しながら生き、異なったものを排除しないことが大事だ。
日本人は、古来、「木を切ったらバチが当たる」として、鎮守の森や水源林を守ってきた。
木を植えることは、命を植えること、明日を植えること、心に木を植えることだ。
宮脇さんは、今沢中学校で植樹をした後、千本松原を視察し、栗原市長らに、松林を害虫から守るのに、薬剤散布に替わって、生態学的な方法-薬剤に頼らなくてはならなくなったのはクロマツの純林になったからで、多様な樹種が混じっていれば害虫を野鳥が食べるなどして、林そのものは守れる-を提言した。
宮脇さんの話は、東日本大震災の復興のあり方のヒントになるものだと思う。
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