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2011年6月14日 (火)

菅首相の続投戦略の失敗学

菅首相は、不信任案を奇計(詭計)によって大差で否決したものの、その過程で本質を顕わにしてしまった。
不信任案否決の結果が、退陣必至という奇妙な流れになっている。
しかし、首相自身は、何とか形勢を逆転すべく、「決然と生きる」を座右の銘として、客観情勢に立ち向かっているらしい。
被災地のボランティアセンターの壁の寄せ書きにもこの言葉を書き記したという。
「決然と生きる」ことが、多くの人の不幸を招いているにもかかわらず、である。

ポスト菅への動きは複雑で、結果がどうなるかは予断を許さない。
特に、仙谷官房副長官ら、菅政権の共同正犯ともいうべき人たちが「菅降ろし」に積極的に動いているが、私には理解しがたいことである。
私は、菅首相がその座にいるのは、震災が起きたための一種のモラトリアム状態であると考えているので、菅首相が「一定のメド」をつけるのではなく、なるべく早く退陣するべきだと思う。
今のままでは、「一定のメド」はいつまで経っても実現しないであろう。

「サンデー毎日」110619号で、元経済企画庁長官の田中秀征氏がほぼ同意見を述べている。
田中氏は、かつて細川連立政権樹立に際して、菅氏と行動を同じくした1人である。
田中氏は、政治の舞台が大きくなるほど小策は通用しない、として、以下のように述べている。

菅流の政略は、党の代表になるまでは効果があっても、首相になるとマイナスになるだけだ。
なぜなら、首相の言動はほとんどの国民が注視しているので、能力や性格が見抜かれてしまう。
今度の一件も「やっぱり」と見る人が多いだろう。

参院選で惨敗した時に辞めるべきだった。
ねじれ国会出現の責任を負わなければならない。
菅政権は指揮者のいないオーケストラのようなものだ。奏者はそれぞれの持ち場で全力を尽くしているが、指揮系統が不明なので演奏が乱れてしまう。
みなが頑張っているのに、指揮者が存在を誇示するために予告なしに突然タクトを振る。

不信任案をめぐる勝負に勝っても、彼の本質がさらけ出されてしまい、急失速は避けられない。
「一定のメド」を首相が判断するのでは、受験生が自分で採点するようなものだ。
わざわざ、後継に「若い世代を」と言うのも、“あざとさ”を感じる人が多いだろう。

後継体制については、今のような大きな変動期には、職業政治家では限界があるのではないか。民間人の参入がを求めるべきだろう。
今回改めて思い知らされたのは、被災者および被災地域自治体の首長の判断力が、国政のレベルを上回っていることである。
大きな組織の指導者は劣化しているが、土台はしっかりしているので、政治も経済も再建は十分に可能だろう。

以上が田中氏のコメントの大要であるが、全面的に同意見である。
そもそも菅首相は、参院選で負けた後に、見当違いの総括をしたのではなかったか。
⇒2010年8月 4日 (水):迫力欠く菅首相の国会論戦
⇒2010年8月27日 (金):カン違いしたのは、菅首相かわれわれか?

民主党政権は鳩山、菅と2代続けて失格の烙印を押された。
ポスト菅をめぐってさまざまな思惑が交錯しているようであるが、もっと根っ子から考え直すことが必要ではないか。
考えてみれば、現在の政権幹部は、市民運動や弁護士など、普通の組織の経験者が少ない人が多い。
当たり前のマネジメント体験が不足しているのだろう。
⇒2010年8月 1日 (日):民主党におけるマネジメントの不在
『もしドラ』の都立程久保高校野球部以下である。
田中氏の言うように、民間人の知恵を導入することが必要なのかも知れない。

より本質的な問題は、意図的な情報の隠蔽だろう。
もはや過ぎ去ったことということだろうか、今に至るも、尖閣ビデオは全面公開されていない。
原発に関しては、後出しの情報のオンパレードである。
「直ちに健康に影響はない」としても、子供たちに将来影響が出ることはないと言い切れるのかどうか。
事故収束のために現場で作業している人は大丈夫か?
適切な情報さえあれば、避けられたかも知れない被曝だったとすれば、と考えると……。
これは深刻な人災であると言うしかないではないか。

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