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2011年6月28日 (火)

蓮舫大臣とは何だったのか

昨日の閣僚人事の目玉は、原発事故担当相への細野豪志氏の起用である。
首相が原発担当相を新設し、細野氏を任命しようという構想が伝えられたのは4月中旬のことだった。
しかし、こともあろうか、その腹案を公明党の斎藤鉄夫幹事長に電話で相談しようとしたことが明るみに出て、結局引っ込めざるを得なかったという経緯がある。
⇒2011年4月14日 (木):本当に精神異常?/やっぱり菅首相は、一刻も早く退陣すべきだ(6)

その念願がやっと適ったわけであるが、条件付きとはいえ退陣表明をする中で、閣僚人事に手をつけたことは、民主党執行部も「意図不明」という感じである。
不信任案否決から約1ヵ月。自らの退陣の条件について、「一定のメド」という曖昧な表現で言質を与えなかった積もりだろうが、公衆注視のもとに無為の時間が徒過した。
マスコミはこぞって、不信任案提出などという「政治空白」を許す状況ではないとしていたが、今や空白を作っているのが誰かは、明々白々と言えよう。

この閣僚人事のあおりで(内閣法の閣僚枠を使い切っているため)、蓮舫行政刷新相を退任させることになった。
蓮舫氏は行政刷新担当の首相補佐官に就き、節電啓発などの担当は細野氏が引き継ぎ、中長期の原発事故対策を担当していた馬淵澄夫氏は補佐官を退任し、行刷相は枝野長官が兼ねることになった。

退任した蓮舫氏の政歴はWikipedia110627最終更新よりピックアップすれば、以下の通りである。

2009年10月21日、内閣府が設置した事業仕分けワーキンググループの一つである、農林水産省・文部科学省・防衛省担当の「仕分け人」となった。
2010年6月8日に発足した
菅内閣において、内閣府特命担当大臣(行政刷新担当)に就任。
2010年9月17日に発足した
菅改造内閣では引き続き内閣府特命担当大臣(行政刷新担当)に留任。
2011年1月発足の菅第2次改造内閣では、内閣府特命担当大臣((消費者及び食品安全行政刷新担当、節電啓発担当)に留任。

こうして見ると、大臣就任以前の「仕分け人」としての活動ぶりに比べ、大臣としての実績には首を傾げざるを得ない。
特に、この夏の電力供給が危ぶまれている中で、節電啓発担当としては如何なものとせざるを得ないだろう。
⇒2011年4月16日 (土):節電の優先順位をつけられない蓮舫節電啓蒙大臣/やっぱり菅首相は、一刻も早く退陣すべきだ(8)
何のための任命だったか、任命責任を問うべきところではないか。

しかし、そもそも、「仕分け」の時から、蓮舫氏の姿勢には問題があった。
仕分けの総仕上げと言われた3月6日~7日に行われた「規制仕分け」においてである。
通産省OBで、渡辺喜美元行革大臣の補佐官を務めた原英史氏は、検討対象とするテーマの設定そのものに問題ありとした。
Photo_4 
原英史氏の「SAPIO110420」掲載記事

要するに、取り上げたテーマに必然性が感じられず、本質的なテーマは放置されたままだ、ということである。
年金の「第三号被保険者」の処理(専業主婦の切り替えをめぐるトラブル)を、厚労省が課長通達で行われようとして問題になったのと同じような構図といえよう。

原氏によれば、「医薬品のインターネット販売規制をめぐって、「インターネットでの販売が拡大すると、地方の薬局がつぶれる」という規制擁護論が、平野達男規制改革担当副大臣から出た。
規制をどうするかの判断は、建前としては安全性の担保ということにあるが、本音は業界の既得権を擁護するところにあることが露呈したわけである。

民主党の行革は、掛け声は勇ましかったが、国家公務員制度改革推進本部事務局の審議官・古賀茂明氏が、官僚の利権に切り込む大胆な改革案を作り上げると、民主党政権が誕生した2009年9月のわずか3ヶ月後に、仙谷由人行政刷新相によって更迭された。
さらに2010年秋には、参考人として呼ばれた参議院予算委員会で、仙谷官房長官から、公務員制度改革について発言することは、著者の将来のためにならないという「恫喝」を受けたということで明らかである。
蓮舫大臣が業績を上げる余地など、もともと無かったというべきかも知れない。
人寄せパンダは用済みということだろう。

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コメント

蒸し暑い日が続きますね・・・。
お元気ですか?

連日のニュース報道を見ていたら、
腹立たしさを通り越してしまいました。最低最悪です。

管総理・・・
あなたは今、
何を考えているのでしょうか???
不思議な人です。

爺ちゃんはTVを見るたび、
ぶん殴ってやりたい!・・・と憤慨しております。

ホント同感です。 

投稿: YOKO YAM | 2011年6月29日 (水) 10時39分

YOKO YAM 様

暑いですね。こちらは早くも猛暑です。
菅さんも、暑苦しいですね。
延命のためならば、今まで支えてくれた人が敵に回っても構わない……
海軍仕込みのsmartnessが身に付いている爺ちゃんが憤慨するのは当然でしょう。
暑い夏には、立山連峰の稜線が懐かしい。
アルペンルートならば、身障者でも大丈夫かな?

投稿: 夢幻亭 | 2011年6月29日 (水) 15時27分

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» 古賀茂明氏は、国策逮捕される危険もある [ニュースを読まねば]
24日、とうとう経済産業省は、これまで民主党の公務員制度改革などを批判してきた同省の古賀茂明氏(55歳)を退職させる方針を決め、本人に通達した。既に古賀茂明氏は、大臣官房付という閑職に追い込まれている。ともかく古賀茂明氏は、憂国の士というか珍しくまともな人というか、経済産業省をはじめとする官僚や政府のなれ合いによる亡国の政策を批判してきた清廉の士である。この人をいよいよパワーハラスメントによって退けようとしている官僚の姑息さがかえってクローズアップされてしまった。古賀茂明氏は..... [続きを読む]

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