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2011年6月23日 (木)

西村肇さんの水素爆発に至る過程の推算/原発事故の真相(2)

西村さんたちは、「現代化学」11年5月号の『理論物理計算が示す原発事故の真相』において、水素爆発に至る経過を分析している。
フクシマは想定外の津波の襲来による不可避の事故だったのか?
その判断のカギは、フクシマにおいて、「レベル7」という最悪の事故に至った原因は、水素爆発が起きたことにあるということからすれば、水素爆発が防げなかったかどうかということに大きく係わっている。

水素爆発は、1~3号機で起き、爆発の約8時間後に放射線量の顕著な増加がみられる。
Photo_2
1号機と3号機の建屋は、水素爆発の結果、天井が完全に吹き飛んでいる。
その爆発のエネルギーは、TNT爆薬100kgに相当するというのが、爆発の状況から爆薬の専門家が見積もった規模である。
現実には、その後の発表によれば、水素爆発が起きたことで「レベル7」に相当するということだったようだ。
「爆発的事象」などという曖昧なものではなく、「最悪の爆発」だったわけである。
「一定のメド」という遊びが子供たちの間で流行っているらしいが、曖昧な表現で「その場しのぎ」をするのがこの政権のお家芸のようだ。

TNT100kgに相当する水素量は、西村さんたちによれば、40N㎥である。
この水素はどこから、どういうメカニズムで発生したか?

燃料棒を被覆しているジルコニウム合金が高温度で水蒸気と反応して水素が発生する。
高温というのは、700~800℃以上である。
西村さんたちによれば、12日時点では、燃料プールにある燃料は、残存崩壊熱量も小さく、十分な水もあるので、こんなに高温にならないという。
つまり、この反応は、炉心で起こったのではないか、とする。
しかし、当日のデータがなく以下のように推測した。

炉内水位の理論的な計算値と実測値が合っていれば、理論で想定した炉内の状況は正しいと判断できる。
理論値と実測値は下図のようであり、よく一致している。
Photo_4
このことは、次のようなことを意味する。
・水位低下の原因は、水の漏洩ではなく、蒸気と蒸気漏洩である。
・蒸気の漏洩は、タービンへの出口、タービンからの入口と想定される。

また、燃料棒の温度変化の計算結果は下図のようであった。
Photo_5 
1分で平衡温度779℃の90%に達する。
ジルコニウム合金と水蒸気の接触による水素の発生は、700℃以下ではほとんど起こらない。

以上により、次のようなことが結論として導かれる。
・水素爆発のl原因となった水位の低下は、地震によりタービン付近の蒸気配管が破壊されたものである。
(すなわち、津波が原因ではない)
・地震発生時に沸騰状態であった炉の水温が、一反40℃まで下がり、6時間後に沸騰していることは、地震直後に緊急発電系が作動したものの、エンジンが止まって冷却機能がなくなって水素爆発を起こした。

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