思考や感情の習慣について/知的生産の方法(13)
船川淳志さんは、納得的な思考技術論を展開している数少ない人だ。
私は若い頃、リサーチファームに所属していた時期があって、調査・リサーチの方法論は同僚との永遠の議論テーマだった。
結論としてえたのが思考技術という言葉である。
⇒2010年12月25日 (土):イシュードリブン/知的生産の方法(1)
船川さんは『考えるプロが明かす「思考の生活習慣病」克服法』講談社 (0402) で、「思考の生活習慣病」に冒されがちなわれわれの注意を喚起している。
生活習慣病といえば、先ず頭に浮かぶのは身体のことであろう。メタボリック・シンドロームの恐ろしさは、私自身が身をもって体験したところだ。
三島市の新聞取次店が1回/月の頻度で発行しているフリーペーパー「Mstyle」の最新号に、椋木修三さんの『プラスの思考パターンが賢い子に育てる。』が載っている。
椋木さんは、思考や感情も「習慣」の一部であると考えた方がいい、という。
つまり、習慣化された思考や感情があるということである。
船川さんと同意見ということだが、問題はその習慣をどう自覚するかであろう。
習慣は無意識のうちに行っているものだからである。
椋木さんは、ちょっとでも失敗すると、反射的に「もうだめ」と考えて落ち込む人は、マイナスに習慣化された思考パターンであるという。
結果として、やることなすことのあらゆる面で中途半端に終わってしまう。
逆に、プラスの思考習慣のある人ならば、「なんの大したことじゃない」というように、教訓として創意工夫の契機とすることができる。
椋木によれば、思考や感情が行動を左右していることに気づくことが重要である。
今回は『「賢い子」に育てるためのハッピー親子講座』の第3回であるが、1回目は『子供に自信を持たせる口ぐせを育てましょう』、2回目は『感動する心を育てましょう』だったらしい。
わが家にも届いていたはずであるが、妻がオリコミはごみ箱に直行させる習慣があり、私も育児のことは他人事と思っていたためか、気づかなかった。
要するに、椋木さんは、子供に思考パターンを身につけさせようと、いろいろ工夫していたというわけだ。
椋木さんは、プラスの意欲を持てれば、親がわざわざ「勉強しなさい」と言わなくても、子供は自分から積極的に勉強するようになるという。
なぜなら、勉強することが面白いからだ。
それは子供に限らない。面白ければ、大人も意欲をもって取り組む。
例えば、スポーツでも、正しいフォームは最初は意識して身につける。
繰り返し、繰り返し練習して、無意識のうちにできるようになるまで、続ける。
茶道の所作、楽器の演奏など、みな同じことだろうと思う。
リハビリで、歩行の練習をしている。
我ながら、歩行という人間の基本動作が思うようにできないのは歯がゆい限りだ。
それでも、足は手よりもマシである。手は、神経が繋がっていないので、意識しようがないという感じだ。
気が遠くなるが、繰り返す以外にない。
それでも外来として通院している病院で、多くの車いすに乗っている入院患者を見ると、自分は幸運だったと思う。
僅かの差異で、一生車いすで暮らさなければならなかったかも知れないのだ。
と思って、せいぜいプラス思考を習慣化しよう。
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