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2011年6月 1日 (水)

花づな列島の奇跡

日本列島は、花づな列島という美しい名前でも呼ばれる。
私がこの言葉を知ったのは、小針寛司『花づな列島の奇跡-日本経済の半世紀』日経事業出版社(9611)によってであった。
危機に瀕したある企業の舵取りに悩む中で、戦後50年という間に、壊滅的な状況から世界史上に類を見ない経済発展が達成された日本という国の、その発展の原動力を知りたいという思いから手にしたのだった。

小針氏は日本経済新聞の取締役、監査役等を経て、著述業に入った。
本書執筆時の日本経済は、バブル崩壊後の反動的不況期であったが、小針氏は、戦後の経済発展を世界史の軌跡だと観じた。
そして、その経済発展の基盤は、風土的、社会・経済的な基礎構造にあるとした。

私は、学生時代に和辻哲郎『風土―人間学的考察 (岩波文庫)』(7905)に接し、その構想力と直観力に魅了された。
また、梅棹忠夫『文明の生態史観 (中公文庫)』(改版版 :1998/01)には、通説に捉われないものの見方・考え方の実例を示された。
⇒2009年4月14日 (火):文明の情報史観
⇒2010年7月 7日 (水):梅棹忠夫さんを悼む
小針氏は、和辻、梅棹的な認識を背景に、特に、石油危機以降の電子工業に発展の軸があるとみた。
Photo

http://www.geocities.jp/ttovy42195km/newpage57.html

いま、ある意味では敗戦直後と同じような風景であると言えよう。
地震、津波、原発と考えてもみなかった災害の連鎖が、あっという間に日本経済の姿を一変させてしまった。
私の人生は、ほとんど「戦後」という時代とオーバーラップしているが、この間の経済発展の脆弱性が、自然の猛威の前に丸裸にされたように思えた。
日本列島上の総人口がピークをうち、戦後民主主義の申し子のような団塊世代の総理大臣が、不祥事で進退窮まったかに見えたまさにそのタイミングで地震は発生したのである。
超長期的にみても、短期的にみても、日本人が「生き方」を再考しなければならないタイミングだったといえよう。

もちろん、多くの被災者に、改めてお悔みしたい。
また、数多くの人が、現在進行形で災害復旧や原発の事故処理に身を挺しておられる。その努力にも頭が下がる思いである。
私は、ほとんど被害を受けずに生きている。しかし、それは偶然の結果なのだと思う。
脳梗塞で文字通り倒れ、後遺症に悩まされながらも生きながらえていることも、偶然である。ほんの何ミリか梗塞の位置がずれていれば、どうなっていたか分からない。

であればこそ、自分にできることは僅かだろうけど、全力を尽くしたいとは思っている。 
上掲書からさらに15年。その間にわれわれは何をしていたのか?
失われたn年(nは人によって異なるが、20年くらいが平均値のようだ)がすっぽり入ってしまうような15年間であった。
しかし、当然ではあるが物理的な時間が失われたわけでない。
「失われたn年」という言い方は、津波で丸ごと押し流されてしまった人が使うべきかも知れない。

日本社会は一種の極相にあったと考えられる。
それが、地震や津波という外的条件によって揺り動かされたのである。
わが国の1人当たりGDPの推移は下図のようである。
Photo_2
http://www.nomura-am.co.jp/basicknowledge/mame/10_india/03.html

なお高い水準にあること、と同時に停滞域にあることが分かる。
GDP成長率は以下のように推移してきた。
Gdp
http://www.tuins.ac.jp/~ham/tymhnt/butai/keizai2/shotoku/prefincm/ch_gnp.html

東日本大震災が起きなくても、今までのような経済成長が期待できないことは明らかである。
今後どのような方向を目指すのだろうか?
例えば、以下のような選択肢が考えられる。
Photo_3
http://domodomo.net/keizaiseisaku/gdp/japan/gdp_2.html

しかし、人間の生活は、単純な2軸上の平面だけではとらえられないから、直ちには答は見つからないだろう。
緊急対策は速やかに実行していくべきだが、復興は拙速を避けるべきだと思う。

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