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2011年6月17日 (金)

その場しのぎと問題解決/「同じ」と違う」(27)

菅内閣の1年間は、結局「その場しのぎ」の連続で、何一つとして本質的な問題解決に向かうことはなかった。
思えば、政権発足時から、言い訳が先行していたのだ。
参院選で惨敗を喫しても、有権者の理解力にその原因を求めた。
⇒2010年7月13日 (火):タレント候補擁立に象徴される民主党の民意の読み違い

典型的なのは、昨年の12月の後援会関係者との会合の席上、政権を担当してからの半年を「仮免許」にたとえたことに現れている。

菅直人首相は12日夜、都内で開かれた自身の後援会会合に出席した。出席者によると、首相はあいさつで「(首相就任から)半年たった。これまでは『仮免許』だったが、これからが本番で、自分の色を出していきたい」と決意を語った。自らの政権運営を自動車運転の「仮免」に例えたような発言は今後、与野党の批判を招く可能性がある。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010121200170

その後、自ら本免許を取得したとした後の状態はどうか?
今年の年頭所感では、大きな政策目標として、次の2つを挙げた。
1.今年を「平成の開国元年」と位置づけ、貿易自由化を促すとし、TPPへの参加の環境づくりとして、農業の構造改革や支援策を打ち出す。
2.社会保障と一体化した税制改革
⇒2011年1月 5日 (水):綱領なき民主党の菅VS小沢の不毛な争い

3月11日の東日本大震災は、もちろん「想定外」だったにしても、掲げた政策目標が前進したようには一向に見受けられない。
震災対応も「その場しのぎ」の連続であったというしかないであろう。
震災発生直後は臨機応変の「その場しのぎ」も重要であろうが、100日になろうというのにもかかわらず、依然として「その場しのぎ」である。
震災・津波に対してもであるが、原発事故に限っても以下のようなことが思い浮かぶ。

例えば、「SPEEDI」の扱いである。
せっかく有用な情報があるにもかかわらず、「国民がパニックを起こすのを避けるため」と称して公表しない。
あるいは、当初からメルトダウンを指摘されていながら、否認し続け、IAEA調査団が来日するとなると、あわててメルトダウンを認める。

校庭の放射能の基準に関しても同様である。
⇒2011年5月 5日 (木):校庭の利用基準をめぐって/やっぱり菅首相は、一刻も早く退陣すべきだ(21)
これについては、保護者から厳しい「突き上げ」があった(「突き上げ」は菅首相の用語)。

福島県内の保護者ら約500人が23日、文部科学省を訪れ、学校の校庭の使用に関する放射線量の暫定基準(毎時3.8マイクロシーベルト)を撤回するよう求めた。県内には文科省が定めた基準は緩すぎるとの批判がある。4児の母親(38)は「我慢ももう限界」と涙声で訴えた。
http://www.asahi.com/national/update/0523/TKY201105230436.html

また、東電の賠償スキームである。
そのものズバリのタイトルの批判記事がある。
⇒田村 賢司「その場しのぎの原発賠償策
⇒「東電賠償問題:新機構の原発賠償案はその場しのぎ、増税と電気料金値上げなき仕組みを

あるいは、震災後の組織の乱立である。
各方面からの批判を受けて、整理するかと思いきや、そうでもないようである。

Photo 政府は27日、東日本大震災に対応するために設置した組織を、「地震・津波」「原子力発電所事故」「復興」の3分野に再編した上、一部は名称を変更して下部組織であることを明確にする方針を固めた。
震災関連組織が20近くも乱立し、「指揮命令系統が見えない」との批判を受けた措置だが、組織の廃止・統合は見送られる見通しで、形ばかりの再編に終わる可能性がある。
具体的には、現在ある六つの本部のうち、「緊急災害対策本部」と「原子力災害対策本部」を存続させる一方、「被災者生活支援特別対策本部」など4本部は「チーム」などに名称を変更する。
復興に関しては、全閣僚が参加する「復興本部」(仮称)を新設してこの分野の中心組織とする方針だが、菅首相が野党も含めた「復興実施本部」構想を持ち出したため、流動的だ。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110427-OYT1T01240.htm

究極の「その場しのぎ」は、不信任案を否決するための詭計であった。
そして、不信任案が否決されると、それを逆手にあの手この手で延命を図る。
自然エネルギーへのシフトを強調し始めたのも、目先を変えるという「その場しのぎ」といえよう。
もちろん、自然エネルギーの重視は多くの人が賛成するに違いない。
しかし、原発傾斜のエネルギー基本計画を策定していたのであり、それを反省することから始めなければならないはずだ。
衣替えのように気楽にエネルギー問題が解決すると考えているのであろうか。
そもそも、フクシマの収束にそれこそメドがたってないではないか。
今に始まったことではないが、言葉が余りに軽いのである。
⇒2011年1月27日 (木):言葉の軽さが裏付ける首相の真摯さの欠如

「その場しのぎ」とは何か?

自分に都合の悪いことを見ようとしなかったり、自分に都合よく解釈しようとしたり、避けることのできないことを避けようとしたり、さまざまのことが上げられます。 その場しのぎや先送りは、まさにその典型的なことです。 問題を先送りすることによって、一応その場をしのげることはありますが、問題が解決したわけではありません。 
http://www4.plala.or.jp/k-k/komoku086.html

「その場しのぎ」で延命した積もりでいるとしたら、後でしっぺ返しを食うのは必定であろう。
現象が見かけ上なくなったように見えても、消えたわけではない。
再び現れるときには、より深刻になっているのが一般的であるからである。

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