そうだったのか! 『もしドラ』とAKB48
書店で、「映画“もしドラ”GUIDE BOOK」というパンフを手にした。
川島みなみ役の前田敦子嬢の写真である。
映画は見ていないが、みなみのイメージに合っていると思う。
「私たちの青春は、一冊の本から始まった。」
確かに、青春期の自己形成において、「本」と「友」は必須であろう。
私には、この類のことを考える際、忘れられない言葉がある。
河上徹太郎『私の詩と真実』新潮社(1954)の一節である。
人は、その青春にあたって先ず情熱を注ぐことは、激しい自己鍛錬によって自分の感受性の形式を確定することである。そしてこの形式の独自性の中に、初めてその人の個性とか資質と呼ぶべきものが芽生えるのだという風に私は考えている。
⇒2008年5月27日 (火):偶然か? それとも……③『雲の墓標』
私は青春期にドラッカーと出会うことはなかった。
しかし、「もし私が高校時代にドラッカーの著作に出会っていたら」と想像することはできる。
が、マネジメントに切実さを感じていなかったので、「馬の耳に念仏」だったに違いない。
『もしドラ』については、6月18日の産経抄が、次のように書いている。
もしドラッカーが生きていたら、さぞ喜んだことだろう。弱小野球部の女子マネジャーが、彼の著書「マネジメント」を参考にして甲子園出場を勝ち取った、という小説が大ヒットし、アニメや映画にまでなったのだから。
映画のパンフには、次のようにあった。
映画は原作のイメージどおりに展開するが、そもそも原作者の岩崎夏海は、秋元康の下でAKB48のプロデュースに参加していた人物。みなみら登場人物もAKB48メンバーを想定していただけに、映画化はまさに必然だったのだ。
そうだったのか!
『もしドラ』をドラッカーの入門書のように位置づけ、若い人に奨めたりするのは、岩崎夏海氏の手の平の上で踊っているようなものかも知れない。
それでも、1人でもドラッカーの読者が増えてくれればいい。
⇒2011年6月13日 (月):『もしドラ』ブームとAKB48総選挙
産経抄は次のフレーズで締めくくられている。
首相官邸にも気難しくわがままなボスがいる。国民の大ブーイングを糧に見返してやろうという意欲満々である。ただし、落合監督にあって彼にないものがある。ドラッカーが、不可欠な資質としてあげた「真摯(しんし)さ」である。「ペテン師」はマネジャーにも首相にもなってはいけない。
私も、今の菅政権に決定的に欠けているものは、「真摯さ」だと考える。
悪乗りして、「顔を見たくないのなら法案を通せ」と、はしゃいでいるのを目にして、唖然とした。
⇒2011年1月21日 (金):政府・民主党における真摯さの欠如
⇒2011年1月27日 (木):言葉の軽さが裏付ける首相の真摯さの欠如
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