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2011年5月24日 (火)

五重塔の柔構造と震災復興構想/やまとの謎(31)

5月5日の子どもの日に、孫のRクンを訪ねた折に、藤の名所として知られる亀戸天神に立ち寄った。
「藤祭り」は最終日で、さすがに盛りを過ぎてはいたが、まだ十分に楽しめた。
その時、思いもかけず、東京スカイツリーが間近に見えた。
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思いもかけずというのは目的としていなかったからであって、よく考えてみれば当たり前のことである。
スカイツリーは墨田区、亀戸は江東区で別の区という認識があり、下図のような近接した位置関係にあるとは思っていなかった。
Photo

スカイツリーは既に完成時の高さに到達していて、23日にタワークレーンの解体作業が始まったところである。
亀戸天神の藤と工事中のスカイツリーを同時に見ることはもうないわけで、余り意味はないが貴重な体験をしたともいえる。
5月18日の産経新聞に、建築家の上田篤さんが、「東京スカイツリー 日本文化の柔構造回帰の象徴に」と題する論考を寄せている。

東京タワーが緑の多い空間にさっそうと登場する「山の手の樫(かし)の木」といったシルエットなら、東京スカイツリーは中小の建物が混みあうすき間にしっとりと立つ「下町の柳の木」の風情である。「よくまあこんな狭いところに世界一の電波塔が建つものだ」と感心した。
・・・・・・
ここで天女というのも、その構造が五重塔の心柱によく似ているからである。筒の内部は非常用階段だが、筒全体は、その下部や周りの「鉄骨の衣」と切り離されて巨大な錘(おもり)になっている。その錘である「コンクリートの筒」と周りの「鉄骨の衣」とは地震のとき別々の動きをして、お互いの部分にかかる地震力を相殺しあう「制振構造」につくられている。
接触する「筒」と「衣」とが互いにずれてもいいように、衣服を羽織ったようなゆるやかな接合を各所でおこなっている。
また「筒」と「衣」とは別々の構造だから先に「衣」をつくり、あとで「衣」の内部で「筒」をつくって立ち上げている。それは五重塔で、1本の心柱を2、3本ぐらいに切って、周りの建物を足場にして立ち上げ、上部で再接合するのに似ている。
じっさい地盤のあまりよくない下町のことだから、塔の地下部では35メートル以上の深さの洪積砂礫(されき)層までくいを打ち、さらに足元にかかる押込力や引抜力にそなえて、鉄骨鉄筋コンクリートの連続地中壁杭などを配する、といった工夫をこらしている。

http://sankei.jp.msn.com/life/news/110518/trd11051807170004-n1.htm

超高層ビルが柔構造によって建築されていることは知っていた。
また、五重塔が柔構造によって耐震性を担保していることも知識としてはあった。
→上田篤編『五重塔はなぜ倒れないか (新潮選書)』(9602)
しかし、具体的な五重塔の構造と耐震性の関係については漠然としたイメージで考えていた。
どうやら、そこには深い合理性に基づいた知恵が集積されているらしい。

五重塔は、独立した5つの層が下から積み重ねられた構造をしています。各層が庇の長い大きな屋根を有していること、塔身の幅が上層ほど少しずつ狭くなっていること、中央を心柱が貫通していて、5層の頂部でのみ接していること、5層の頂部に長い相輪が取り付けられ、心柱の先端に被せられていることなど、他の建築物に見られない特徴を有しています(1)。これらの構造的特徴の全てが、五重塔の耐震性に深く関っています。
Photo_2
http://pedpa.co.jp/library/tower.html

上田さんは、震災の復興にからめて次のように結んでいる。

幸田露伴の由緒の地に、しかも、東日本大震災の直後に建ちつつあるこの二十一世紀最先端の塔をみて、「これからの日本社会が、柔構造という日本文化に回帰するシンボルになるのではないか」とおもった。
震災復興も「ただ堤防を高くするだけの剛構造ではだめだ」と感じたのである。

含蓄に富んだ言葉である。
柔構造の具体的な姿は、震災復興構想を検討するなかで論議が深められていくであろうが、効率性一辺倒ではなく、冗長性を取り入れたものであることは間違いなさそうである。

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