古民家のある風景・向井潤吉展
三島市の佐野美術館で展覧中の「向井潤吉/古民家を描く-日本の風景美をたずねて」を鑑賞した。
向井は1901(明治34)年生まれだから、生誕110年ということになる。
向井は題材として民家を取り上げることが多く、「民家の画家」と呼ばれる洋画家である。
全国各地を訪ね、古民家のある風土を描いた。
中には見覚えのある風景もあった。
「富士山と畑」と題する上の絵は、三島から裾野にかけての箱根西麓から眺めた富士山であると思われるが、制作年代不詳とされている。
和風のレストラン等で古民家を移築したものがあるが、何となく懐かしいような寛いだ気分になる。
向井の絵は、そのような懐かしさ、寛ぎ感が、日本の自然が生み出したものであることを悟らせてくれる。
私は従来どちらかと言えば機能主義に親近感を持ってきた。
私の学んだ工学の本質は、合目的性にあるということを口癖のように説いていた教授がいたが、工学はあくまで手段の学であるということだろう。
だから、家の評価も機能に偏っていた。住むためのハコと割り切り、評価基準は、耐外気温、耐震、耐風雨のような自然条件を遮るかという点に関心が向かっていた。
旅行などでも機能的なホテルの方が、和風旅館よりも好みだった。
しかし、加齢と共に、自然との共生という視点が徐々にウェイトが高まってきている。
残念ながらそう度々家を住み替えるというわけにはいかないので、せめて旅行にでも行って、和風の旅館でゆっくりする贅沢を味わってみたいと思っていたが、今度は身体が不自由になってしまった。
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