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2011年5月23日 (月)

いい加減にして欲しい「水掛け」論議/やっぱり菅首相は、一刻も早く退陣すべきだ(34)

大震災の発生から2ヵ月半近く経つというのに、まだ、「言った、言わない」などともめている。
地震の翌日の3月12日のことである。
既に水素爆発を起こしていた1号機への対処の問題である。

東日本大震災で被災した東京電力福島第1原発1号機に関し、3月12日に東電は原子炉への海水注入を開始したにもかかわらず菅直人首相が「聞いていない」と激怒したとの情報が入り、約1時間中断したことが20日、政界関係者らの話で分かった。
最近になって1号機は12日午前には全炉心溶融(メルトダウン)していたとみられているが、首相の一言が被害を拡大させたとの見方が出ている。
政府発表では3月12日午後6時、炉心冷却に向け真水に代え海水を注入するとの「首相指示」が出た。だが、政府筋によると原子力安全委員会の班目春樹委員長が首相に海水注入で再臨界が起きる可能性を指摘、いったん指示を見送った。
ところが、東電は現場の判断で同7時4分に海水注入を始めた。これを聞いた首相が激怒したとの情報が入った。東電側は首相の意向を受けてから判断すべきだとして、同7時25分に海水注入を停止した。その後海水注入でも再臨界の問題がないことが分かった。同8時20分に再臨界を防ぐホウ酸を混ぜたうえでの注水が再開されたという。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110521/plc11052100440001-n1.htm

斑目氏は、「海水注入で再臨界が起きる可能性」という自分の発言とされる部分を強く否定していた。
結局、政府側で斑目氏が「可能性はゼロではない」と説明したと修正して、収まった。
当時の経緯は次のようにまとめられている。
312
日本経済新聞110523

政府の広報では、同日の部分は以下の通りであり、海水注入中断については触れられていない。
512
http://www.kantei.go.jp/saigai/pdf/201105121700genpatsu.pdf

細野氏は、東電の試験注入について「原子力安全・保安院には口頭で連絡があったが、官邸には届かなかった。首相が激怒することもない。私が知ったのも10日ほど前で驚いた」と首相の関与を否定。過去に公表した政府資料に「午後6時の首相指示」との記載があることについては「『海江田万里経済産業相が東電に海水注入準備を進めるよう指示した』と記述するのが正確だった」と訂正した。
複数の政府筋によると、首相が海水注水について「聞いていない」と激怒したことは複数の政府関係者が記憶しており、斑目氏が「海水注入は再臨界の危険性がある」などと指摘した事実もないという。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110521/plc11052122580008-n1.htm

不思議なのは、首相側が、情報が「官邸に届いていない」ことを、自分の正当性の御札のように言っていることである。情報が届いていないことは決して自慢できるものではないだろう。
「聞いていない」と激怒したことを複数の政府関係者が記憶しているのであれば、その人たちがそう言えばいいであろう。
それとも、差しさわりがあるということであろうか?

上記政府広報では、はっきり「総理大臣指示」と記されているが、細野氏は、海江田大臣の指示だという。
手柄になりそうな状況ではわが事にし、問題になりそうになると部下の行為にする。
どこにでもいそうな人望のない上司である。
「イラ菅」と呼ばれるほど怒りっぽい人である。「オレは聞いていない」と言えば、激怒と受け止めるであろうことは想像に難くないが、真相は今のところ、「藪の中」である。

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