静岡の美術館
友人が静岡の美術館にドライブに誘ってくれた。
まだ運転は自分ではできないので、今日のように気持ち良く晴れた日にちょっとドライブできるのは有難い。
行先は美術館、とだけ聞いていて、どこへ、誰と、どういうルートで行くかは事前には聞いていない。プチ・ミステリーツアーといった感じだが、メンバーはだいたい予想通りである。
早めの昼食に、蕎麦はどうか、という。
もちろん、私をはじめ、だれも異論はない。
静岡を通り越して、東名の吉田インター近くの蕎麦屋だった。藪蕎麦宮本という店である。
格別変哲のある店構えではないが、出てきた蕎麦は絶品だった。
私は、「狂」がつくほどの蕎麦好きではないし、通でもない。
しかし、これはまさに名人芸の域に達していると言えよう。
発症以来基本的には酒断ちをしているが、同行者の1人が独りで飲むのはどうも……、というので盃に半分ほど冷酒を味わった。
それでも陶然とした気分になる。
やはり蕎麦と日本酒は相性がいいようである。
腹ごしらえが済んだのでUターンして静岡ICへ。
昨年5月に開館した静岡市美術館で、「ハンス・コパー展」を観た。
静岡駅の駅前の葵タワーという高層ビルの3Fが市立美術館で、ユニークな街中美術館である。
地方都市でも、静岡市クラスになると結構な賑わいである。
日頃の生活圏である三島や沼津とは明らかに違う。
県庁所在地、政令市等が大きな要因であろうが、静岡県東部にはない都市的な魅力があって、人通りもまったく違う。
「中央対地方」の構図が、フラクタルのように現れている。
静岡市美術館でのコパー展は2009年に兵庫県陶芸美術館でスタートを切った巡回の掉尾ということになる。
これほど本格的なコパーの展覧会は海外も含めてもう当分見ることができないだろうと言われる。
ハンス・コパーの名前は、ルーシー・リーとセットで語られることが多い。
ルーシー・リーとハンス・コパーの二人展が、ニューヨークのメトロポリタンミュージアムで初めての個人作家を取り上げた展覧会である。
「運命が二人の出会いをもたらした」と言われるほど、お互いに影響を与え合っている。
最後のコーナーにルーシー・リーの作品が展示されている。
時間に余裕があったので、同じ静岡市立の「芹沢銈介美術館」へ行こうかということになった。
弥生遺跡として有名な登呂遺跡の中にある。
登呂遺跡は、私が小学生の頃は大スターの遺跡だった。現在でも遺跡の学術的価値は変わらないのだろうと思うが、三内丸山遺跡、吉野ケ里遺跡、纏向遺跡などのスターが次々と登場して影が薄くなったようだ。
芹沢銈介は静岡市出身の染色家。柳宗悦、沖縄の紅型(びんがた)との出会いを契機に、型染めを中心にした染色の道を歩む。
まさにデザインの神髄ともいうべき「色と模様」の天才だ。
幸いにして、今日が最終日の「屏風」展を観ることができた。珍しく文化にどっぷり浸かった日だった。
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コメント
こんにちは。
僕はハンス・コパー展は、品川の汐留ミュージアムで見ました。
作品にすべてを残して、日記やノートはすべて死ぬ前に焼いてしまったんですね。
蕎麦屋さんがおいしそうですね。
僕は、日本酒と蕎麦で過ごすのが好きです。
投稿: kimion20002000 | 2011年5月22日 (日) 17時02分
kimion20002000様
コメント有難うございます。
「きまぐれ美術館」訪問です。
該蕎麦屋は、蕎麦通(ソバリエの称号の保有者)の知人の話では、県内一だろうとのこと。
旨い日本酒が増えているというのに、嘗める程度に留めざるを得ないのが残念です。
いつの日か、痛飲を、と夢見ています。
投稿: 夢幻亭 | 2011年5月25日 (水) 20時45分