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2011年4月 6日 (水)

やっぱり菅首相は、一刻も早く退陣すべきだ

私は、長いこと、自民党政権の利権と談合の政治への決別を期待してきた。多少胡散臭いものが混じっていたとしても、政権交代に大義があると考えていた。
しかし、鳩山、菅の両民主党政権を体験して、政権交代「だけ」では決定的に不十分であることを実感した。
市民運動やらリベラルやらに抱いていたシンパシーも雲散霧消してしまった。

対蹠的に、自民党右派(清和政策研究会)には好意的とされる産経新聞の阿比留瑠比氏の論調にシンパシーを感じるようになった。
私の人生にとっては、「想定外」のことだ。
私は果たして「転向」したのだろうか?

以下は、「無能な味方は敵より恐ろしい」と題する4月4日の阿比留記者の署名記事(政論)である。

相次ぐ失政と醜聞により、「退陣」と「やぶれかぶれ解散」の二者択一を迫られていたはずの菅直人首相が、東日本大震災を奇貨として続投を決め込んでいる。民主党の岡田克也幹事長は「危機的状況で首相を代えるなどありえない」ともっともらしい理屈をつけるが、菅首相でなければならない理由はない。むしろ危機に直面した現状において無能な味方は敵よりもよほど恐ろしい。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110404/plc11040421040017-n1.htm

ここまでは、私もまったく同感である。
続くセンテンスを読んで、身体が震えるほどの怒りを覚えた。

2日午前、約160人が避難生活を送る岩手県陸前高田市の市立米崎小学校へ視察に訪れた首相は、赤いランドセルを見つけ、被災者にこう話しかけた。
「新しいんですか。ナントカ直人がくれたのかと思いました…」

親は、ランドセルには特別の思い入れがある。
タイガーマスクの主人公伊達直人名のプレゼントも、ランドセルだったことが効果的だったと思う。
「泥だらけのランドセルをなでながら涙を流す遺族の姿」は被災の象徴でもあるだろう。
⇒2011年1月12日 (水):出口の見えない菅政権と民主党解党という選択肢

今回の視察は、東京電力福島第1原子力発電所の状況が全く予断を許さない中で強行された。
原発事故の見通しを誤り、後手後手の連続で、福島の地元だけでなく、首都圏の住民およびその関係者(つまり日本人の大部分が相当すると思う)が、固唾を飲んで対策の効果を見守っているさ中である。

汚染水の貯蔵場所をめぐっては、新たな仮設タンクの設置や静岡市から提供された鋼鉄製の大型浮体式構造物の利用も検討されてきたが、到着を待つ余裕がないという。ポンプとホースを使い、1~4号機南側と5、6号機近くにある放水口付近から流す。
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201104040245.html

「到着を待つ余裕がない」ほどに緊急の問題なのか。
今まで、そんなに緊迫しているような発表はなされてなかったと思う。

この放出の影響を試算した東電によると、原発から1キロ以遠の魚や海藻を毎日食べたとしても、年間に自然界から受ける放射線量(2.4ミリシーベルト)の4分の1程度としている。
同上

どういう計算なのか?
もはやこの種の説明で安心できる人はよほどおめでたい人というべきだろう。
実際、NHKのニュースに登場した東電の関係者は、泣いていたではないか。
解説者も、「ことごとくうまく行っていません」と言っていた。今ごろ、トレーサーを流す、と言っていたが、経路も分からずに対応しようとしていたのだろうか。
水ガラスによって、海への流出が止まったと報道されていたが、行き場のない水はどこに溜まっているのか?
高濃度の放射能の由来はどこなのか?
圧力抑制室(サプレっションプール)の破損とは無関係なのか?
関係があるとすれば、3月15日の枝野官房長官の発表は欺瞞と言わざるを得ない。
⇒2011年3月15日 (火):地震情報と「伝える力」

現下の状況を見かねてか、大連立という観測も流れている。
野党も震災対策に非協力などということはあり得ないだろうから、連立でも翼賛体制でもいいから、国の総力を挙げて取り組むべきだと思う。
まさに国難である。

ただし、火事場泥棒のように政権の延命を図ろうとすることだけは避けて欲しい。
私は、この人の言動を目にすると、気持ちが萎えて行く。
大連立するとしても、「菅抜き」が条件だろう。

菅首相が山口二郎北大教授らに、東日本大震災の被災者支援や東京電力福島第1原発事故をめぐる政府の指揮系統に関し「自分としては一生懸命やっているけれど、外から見ると複数あるように見えるのかな」とぼやいたという。
まるで、子供の言い草ではないか。
「菅外し」が遅れれば遅れるほど、日本国民の不幸が増すことを、民主党の皆さんは思うべきだ。

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コメント

毎日、不安な日が続いていますね。
お変わりありませんか?

目に見えない恐怖・・・放射能。
いつになったら落ち着くのか???

「やっぱり菅首相は、一刻も早く退陣すべきだ」
ホント・・・同感です。

「無能な味方は敵より恐ろしい」
この言葉のとおりですね。

投稿: YOKO YMA | 2011年4月 7日 (木) 09時43分

当然な結論だと思います。ただ見渡して一番嫌なのはホントにまともな政治家が居るのでしょうか?政治より金と考えている政治家のほうが多いというより殆どの様な気がします。選挙演説を聞いていてもまず公共投資や福祉活動・・・何処かピントが外れています。日本ではもう政治家が育たないような気がします。

投稿: | 2011年4月 7日 (木) 09時57分

「よりましな政府」と思い民主党と管氏に期待してきたが、自覚して退く潔さの欠片もないその人間性に失望し、怒りは募るばかり。
東北地震以前から、一刻も早く民主党は「顔」を代えるべき。と言いましたが、それができない体質のようなのでサジを投げています。
就任当初の尖閣問題、日中会見の模様以降もろもろもかつてない「なまくら総理」の言動にはあきれるばかり。
しかも原発事故の、一秒を惜しむ初期の事故処置中の現場を訪問、邪魔をした。これも重大な人災である。
「器」にあらざる最低の管氏は、奥さんと仙谷氏?らに操られているうちに、日本は「負の財産」を膨らませるばかり。与野党の中に「器」はいないのでしょうか、彼以外ならば誰でもいいのではないかと・・・。
前原氏、石破氏、ほかに議員でなくとも小泉氏など如何なのか。先が案じられます。

投稿: 広瀬てんゆう | 2011年4月10日 (日) 22時48分

YOKO YMA様
X様
広瀬てんゆう様

コメント有難うございます。
国民の多数がNoと言っているのに、変えられないしくみ。
いくら統一地方選で結果が示されても蛙のツラに何とかで、居座り続けることでしょう。しかし、ある所を超えると、一挙に……という期待感を捨てずにいるとします。

投稿: 夢幻亭 | 2011年4月12日 (火) 11時42分

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