海の汚染を憂い、悲しむ
福島原発が不気味である。
私だけの不安ではないようで、首都圏のコンビニで、飲み物類が品薄だと聞いた。
ペットボトルのフタを作っている工場が被災したこともあるらしいが、福島原発の汚染水が早期には決着しそうもないことが人々の心理に影響しているようだ。
各国からも懸念されている。
日本政府は6日、ウィーンの国際原子力機関(IAEA)本部で開会中の原子力安全条約の再検討会合で、福島第1原発事故について各国と意見交換した。日本側出席者によると、一部の国からは低レベル汚染水の海への放出に懸念が示された。
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会合に出席したウクライナの当局者は「日本側が問題点を把握しているのか、伝わってこなかった。わが国が持つチェルノブイリ原発事故の経験を日本と共有できればうれしい」と話した。
http://www.47news.jp/CN/201104/CN2011040701000335.html
原発については、政府の発表にどうしても懐疑的になってしまう。
ウクライナの当局者も同じことを感じているのではないか。
水は地球表面の約2/3を占めている。
その水の中で、生命の起源となる物質が誕生した。
人間の身体も2/3程度が水である。赤ちゃんの時は80%だそうで、加齢と共に水気が少なくなっていく。
水はポピュラーな物質であるが、神秘的な物質でもある。
分子量が18しかないのに、常温で液体である。空気の構成要素である窒素、酸素、二酸化炭素など、水よりも分子量が大きいが、いずれも気体である。
水が特異な物質であることが、この一事をもってしても理解できる。
この不思議な現象は、水分子が水素結合をしていて、あたかも分子量が大きくなったかのように振舞うからである。
水素結合については、以下のように解説されている。
Wikipedia110406最終更新
水素結合はもっぱら、陰性原子上で電気的に弱い陽性 (δ+)を帯びた水素が周囲の電気的に陰性な原子との間に引き起こす静電的な力として説明されることが多い。
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典型的な水素結合 (5 ~ 30 kJ/mole) は、ファンデルワールス力より10倍程度強いが、共有結合やイオン結合よりはるかに弱い。水素結合は水などの無機物においても、DNAなどの有機物においても働く。水素結合は水の性質、たとえば相変化などの熱的性質、あるいは水と他の物質との親和性などにおいて重要な役割を担っている。
「他の物質との親和性」が重要である。
生命が誕生したのも、生命を育てるための栄養補給に役立つのも、あるいは細胞を構成する媒体になり得るのも、この性質をもっているからである。
この水が、地球上を循環していることはよく知られている。水文循環である。
⇒2009年7月30日 (木):富士山湧水の水文学
生命の起源のみならず、文明の発祥も水文現象と深い係わりを持っている。
風土も水文現象の1つと考えられる。そういう意味で、「文明の水文史観」とでもいうものがあり得るのではないかと考えたことがある。
またまた三好達治の詩である。
海よ、僕らの使ふ文字では、お前の中に母がいる。
そして母よ、仏蘭西人の言葉では、あなたの中に海がある。
詩人の感性に脱帽せざるを得ない。
実際に、羊水の成分と海水の成分が類似しているということを聞いたことがある。
驚くべき話ではないか。
その海に、放射性汚染水を流していた。
水ガラスでそれを止めたというが、発生源が止まっていないのなら、根本的な解決にならないことは、素人にも分かる。
だから、人々は不安になるのである。
「直ちに影響が出るレベルではない」というような欺瞞的なレトリックはもはや通用しないのだ。
地下水で基準値を超えた放射能が検出される可能性もある。
「冷静な対応を!」と言われても、パニックに陥る下地は既にできていると考えられる。
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