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2011年4月 2日 (土)

省エネ社会をどう構築していくか?

福島原発の事故により、わが国のエネルギー供給の脆弱性が露呈した。
東京電力の配電エリアでは、計画停電が実施された。計画停電と言っても、計画できるのは東電側であって、利用者の側では予定が建てられないことによる物心両面にわたる多大なマイナスが発生している。
蓮舫大臣は、利用者の冷静な対応によって需要が供給力の範囲内に収まっているという認識のようだが、展望もなくいつまでも受忍を強いるわけにはいかないだろう。
⇒2011年3月27日 (日):計画停電を避けるために、省エネルギーをどう実現していくか

エネルギー危機が深刻化したのは、今回が初めてというわけではない。
エネルギー源の主役を石油が占めるようになって、資源小国はわが国の宿命になった。
1970年代のオイルショックの記憶は鮮明である。
私は、1969年に石油化学の技術者として就職したが、この間炎上したコスモ石油の製油所のすぐ近くの市原のコンビナートの一隅が勤務地だった。
その頃読んだ、日本シンクタンク協議会編『日本の限界と可能性』日本能率協会(7306)の中に、笠井章弘『日本のエネルギー問題はどうなるか』があった。
笠井氏は政策科学研究所というシンクタンクの常務理事という肩書きだった。

笠井氏の論の初めの方に、次のような文章がある。

東京電力という会社は、電気を売っている世界一大きな株式会社であるが、今年、木川田会長は、「電力浪費防止キャンペーン」を大々的に展開した。電力という商品を売る株式会社が、「そんなに沢山買ってくださるな」という。株式会社成立以来歴史的にはじめての奇妙なキャンペーンを始めたわけである。

笠井氏はその原因を次の2つにまとめている。
1.現在の方法でエネルギーをこれ以上生産すると、公害・環境問題がますます激しくなると予測されること
2.これ以上のエネルギー資源の輸入が困難になると予測されること
つまり、地球上の限られた資源を有効に使い、公害・環境問題の発生を防ぐことが企業の社会的責任になってきたわけである。

この限りある資源という認識は、1973年10月16日に劇的な形で具現化した。
第4次中東戦争の勃発により、石油輸出国機構(OPEC)諸国が原油価格を4倍引き上げること、アラブ石油輸出国機構(OAPEC)諸国が原油生産の段階的削減を決定した。
このオイルショックによるパニックは、多くの人が忘れていないだろう。

それでは、なぜエネルギー消費量が急増したのか?
その最大の原因は、わが国が、資源・エネルギー多消費型である重化学工業化した産業構造をとることにより経済成長をとげたことにある。
さらに加えて、都市化の進展と家庭電化の普及、所得の向上と余暇の増大に伴う第三次産業の発展、モータリゼーションの進行などの要因があった。

油上の楼閣に対し、どのような対策が考えられたであろうか。
長期的な対策としては、産業構造の転換と原子力発電の推進である。重厚長大から軽薄短小へ。
折からマイクロエレクトロニクスの驚異的な発展と相まって、産業構造のドラスティックな変貌が図られた。
しかし、臨海工業地帯としての石油コンビナートは、多様な石油化学製品のために不可欠の存在であった。

笠井氏は、長期的なエネルギー対策として、原子力発電の重要性を挙げている。
産業構造の転換を図ったとしても、生活の高度化等により、エネルギー消費は増大していく。
エネルギー供給の長期構想としては原子力が本命であり、資源の有効利用と熱効率の点から、高速増殖炉あるいは核融合炉の開発が期待されるとしている。

現在、わが国のエネルギー源の内訳は下図のようである。
1_2
http://www.garbagenews.net/archives/1353828.html

オイルショック後、大規模なエネルギー構造転換が実施に移され、石油が一次エネルギー消費全体に占める比率は現象してきた。
代替エネルギーの筆頭として位置づけられた原子力は、1970年の0.3%からシェアを拡大してきたが、多様な問題点を抱えており、横ばいから逓減傾向にある。
天然ガスや石炭などの旧来の化石燃料が再び見直されていることが注目される。 

しかし、エネルギー資源は長期的に不足することは間違いない。
省エネが喫緊の課題であることには変わりがない。どの程度の省エネが可能か?
次に示すようなデータがある。
321  
3月の平均的需要に対し、実績は大よそ70%である。この程度の節電ならばイメージが湧くのではないか。
計画停電といった愚策よりもスマートな案が考えられよう。
もっとも、東電本社や霞が関では、本気で節電を考えていないのではないか、という情報もある。
http://www.liberal-shirakawa.net/tsurezuregusa/index.php?itemid=1339

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